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い哂は影で側裏のて全
「あの時は、ガラスに映った春樹を冬哉だと勘違いしていたな。」
春樹が飛び降りるのを、ガラスに映っている私は同じ体制をしながら見ていた。
火葬場で、春樹は弥生の血に染まって『赤』い髪になっていたのだ。それに気付かずに、泰祐は冬哉と春樹を別人だと思い込んだ。
だから、疑わなかった。
春樹は、確かに『弥生』を愛していた。だが、『弥生』よりも愛していた弥生を、『弥生』を愛していたことを知っただけで殺したのは西が、春樹を引き取った日に『弥生』のことを決して口にしなかったからだ。
私は鏡像だ。春樹が死ぬと同時に死ぬだろう。
結局、全てを知っているのは『冬哉』で。最初から壊れていたのは春樹だったのかもしれない。
だが、それの確かな答えは――、永久に出ないのだろう。
ガシャンッ、!