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春の赤 と 冬の白銀  作者: よづは
20/26

そうして役者の即興を終わらせた演技に思いを馳せれば





 暗い路地、そこに歩を進める背の高い学生。元気の良さそうな人の良さそうな、男。

 西、両手にはアイス。片方にはレモンシャーベット、もう片方にはチョコミント。あまり好まれないチョコミントは西も好きじゃなかった。


 西は躊躇いがちに私に声をかける。私の、私を守るものの名前を

「とう、や…?」

 そうだ、私は私ではない。身代わり、自分以外の誰かに守ってもらわなくてはいけない。



 「――っ、ぁ――!」


 苦しそうに、西が声を上げる。その手から…アイスが落ちる。西はそれでも抵抗はしなかった。

 西の手が、微かにチョコミントに向かった。もったいないと思っているのだろうか。



 西が意識を手放す瞬間。西が目を見開く、そして何処か納得したような穏やかな表情を見せた。


 そんな眼で、見るな。


 そんな、『春樹』を見る目で見るな!






 辿りついたのは、水辺。いや、海だった。かなり街からは遠いが、それでも遠出の価値はあるだろう。私は、近くににあった倉庫で扉の開く物を捜す。


 【八番】そう書かれた扉が開き、中にちんまりとした車を見つけた。ここには昔から質の悪い種類の人間が屯する。

 その車には鍵がかかってなく、近くの箱の上にはその車の鍵が置かれていた。私は、車を出す。


 そして、海からそれなりに距離をとったところで降り、西を運転席に乗せる。足は、アクセルだけに置いた。

 エンジンをかけ、西の身体を前に傾ける。西の足に力が掛かり、アクセルを踏む。私は扉を閉め、遠目にその車を見る。


 西の体重が完全に足にかかったらしく、車は勢い良く海に飛び込んだ。






 

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