表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/22

旅路、宿泊所にて

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

年明けから2章開幕です。


街を出て、

少し歩くと道が一本に収束した。


踏み固められた土。

轍の跡。

人の往来が途切れない。


「ここ、巡礼路だよ」


フィアが、地図を見ながら言う。


「巡礼?」


ミオは聞き返した。


「うん。

 アリア教の」


その名前を聞いたとき、

ミオは一瞬だけ考えた。


——聞いたことがある気がする。


でも、

思い出せない。


「国家宗教だっけ」


「そうそう」


フィアの返事は軽い。


「信仰って感じじゃないよ」


「宿とか、相談所とか」


「生活にあるやつ」


「へえ」


ミオはそれ以上、

踏み込まなかった。


今は、

歩くことで頭がいっぱいだ。



日が傾く頃、

石造りの建物が見えてきた。


飾り気はない。

でも人がいる。


入口の札には、

控えめな文字。


アリア教 巡礼者宿


「ここに泊まろう」


フィアが言う。


中に入ると、

神官が一人だけいた。


年配で、

声も動きも穏やかだ。


名前を聞かれ、

人数を確認され、

鍵を渡される。


祈りはなかった。


祝詞も、儀礼もない。


「夜間は外出を控えてください」


「揉め事があれば、

 原典に従ってください」


事務的な説明だけ。



部屋は三人一緒だった。


簡素だが、清潔だ。


「十分だね」


フィアが言う。


「十分すぎる」


ミオも頷く。


リナは、

窓の外を見ている。


「何か気になる?」


「いいえ」


即答。



夕食は、

温かいスープだった。


「こういうの、助かるよね」


フィアが言う。


「考えなくていいし」


その言葉に、

ミオは一瞬だけ箸を止めて、

すぐに動かす。


「……そういう日もある」


否定も肯定もせず、

そう答えた。


リナは、

会話に入らない。


ただ、

二人の声の間を

静かに聞いている。




夜。


灯りが落とされる。


決まりだから、

誰も不満は言わない。


布団に横になって、

ミオは天井を見る。


………ふぅ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ