14 “明るく元気に”がいつもいいわけではないね
いつもありがとうございます。
3人の設定について活動報告でまとめておりますので、是非お手隙の際にご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/3002389/blogkey/3556930/
ギルドの朝は、いつもより少しざわついていた。
掲示板の前に、人が集まっている。
「派遣、出たみたいだね」
リナが紙を見ながら言う。
「近隣の町。人手不足で、期間は一か月くらい」
「一か月……」
ミオが短く復唱する。
戻ってくる前提ではあるけれど、生活が一度切り替わる長さだった。
「無理に行かなくてもいいよ」
リナはそう付け足した。
「応援要請だから、受けられる人だけで」
「……そっか」
フィアはそう答えた。
声は落ち着いている。
でも、目は掲示板を見ていなかった。
「今日すぐ決める話じゃないし」
「……考えとく」
それだけ言って、フィアは話を切り上げる。
拒否でも、賛成でもない。
距離を取っただけの反応だった。
「じゃあさ」
フィアが、急に明るい声を出す。
「先に今日の依頼行こ!
ちょっと遠いけど、三人なら問題ないよね!」
声が大きい。
テンポが、いつもより早い。
リナが一瞬、フィアを見る。
ミオも、同じように視線を向ける。
でも、誰も何も言わなかった。
⸻
道中、フィアはよく前に出た。
「こっち見とくね!」
「大丈夫、大丈夫!」
判断が早い。
早すぎる、というほどでもない。
でも、いつもより一歩だけ前にいる。
「フィア」
リナが一度、声をかける。
「ん?」
「少しペース落とそう」
「えー?
でも、時間かかるよ?」
「問題ない」
リナはそれ以上言わない。
フィアは一瞬だけ口を尖らせて、
でもすぐに笑った。
「はいはい」
⸻
魔物が出たのは、
予想より少し早かった。
数は少ない。
強さも想定内。
「私、行くね!」
フィアが前に出る。
「待って」
ミオが言う。
「……?」
一瞬、
フィアの動きが止まる。
「位置、ずれてます」
ミオは、
冷静に後ろを指差した。
「今行くと、
挟まれます」
フィアは、
ほんの一瞬だけ迷ってから下がった。
「……了解」
⸻
戦闘は、
大きな問題なく終わった。
怪我もない。
魔物も倒した。
結果だけ見れば、
成功だった。
「よし。」
フィアが拳を上げる。
“ほぼ”いつも通りの反応。
帰り道は何故か少し会話が弾まなかった。
⸻
ギルドに戻ると、
セラが報告を受け取る。
「問題ありませんでしたか?」
「はい」
リナが答える。
「……そうですか」
それで終わり。
特別な反応は、ない。
⸻
ギルドを出たあと、
フィアは少し遅れて歩いていた。
「フィア」
ミオが声をかける。
「大丈夫ですか?」
「え?」
一瞬、
本当に驚いた顔をした。
「……うん」
でも、その返事は
いつもより軽かった。
「ちょっと、
考えすぎてただけ」
⸻
宿の前で別れるとき、
フィアはいつも通り手を振った。
「またね!」
声は明るい。
でも、
背中は少しだけ丸まっていた。
その夜、フィアは一人で宿の天井を見ていた。
(……前に出すぎた)
分かっている。
頭では、ちゃんと。
でも、体が先に動く。
(止まったら、また――)
思考が、そこで、




