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EPISODE15 復活の幸人

 知沙の死から数時間後。

「こっちは全員取り除きました!」

「わかった!こっちもあとちょっとよ…!」

「ウゥウゥ…!!」

「頑張って…!」

 麻酔なしでカプセルを取り除く緊急オペ。玲乃やその仲間たちの腕がいくら優秀でも切り開いて取り除き、急いで縫合をする。それを生存者24人の手術をたった3人で行う…震えを抑えながらメスを入れる。そして数時間後

「はぁ〜…これで全員ね?13時43分…24人全員のカプセルを摘出完了…!」

「恩に着るわ…」

「明美さん…」

 明美は最低限の手当てで何とか生きながらえている。

「真美ちゃんと水瀬はしばらく入院になりそうです…」

「そう…」

 当然知沙にも緊急オペを行ったが既に失われた命を繋ぐことはできなかった。幸人と真美もかなり危険な状況だったが何とか一命を取り留めた。彼はかろうじて意識を取り戻したが婚約者を亡くした事実を受け入れることができず、点滴を引っこ抜いて出て行ってしまったという。

「明日知沙の葬儀を行うわ…またいつ奴らが攻撃してくるかわからない」


 知沙の死から1日後、Rose Orangeのみで極秘の葬儀が行われた。幸人も参列したが泣き崩れてまともに歩けていなかった。葬儀が終わって1週間後、月が変わって11月になり明美と真美は傷を癒しながら最終決戦へと臨む中、一方幸人は…

 ゴク…!ゴク…!ドンッ…!

「もう1杯です…」

 グラスにすり切り注がれたウォッカを何杯も飲んでいる。顔を真っ赤にしてフラフラでも飲むのをやめる気配がない。

「あの…お客さん…流石に飲みすぎじゃないですか…?」

「黙れッ…!!」

「キャ…!?」

「頼まれたらあんたは注げばいいんだよ…!」

 本来女性に優しいはずなのにバーの女性に怒鳴り散らしている。渋々女性は彼のグラスに再びウォッカを注ぎ

 ゴクゴク…

「もう1杯…」

「もうやめなさいよ…!そんなに飲んだら死んじゃうわ!」

「黙れって言ってんだ…!!」

 ドンッ…!

 彼の大声で静かなバーが一気に騒々しくなる。すると別の客が

「おい!姉ちゃん嫌がってんだろ!これ以上騒ぐなら表出てもらおうか!」

「誰だお前…」

「スゲェ酒臭ぇな…テメエこっち来いや!」

 男は彼の腕を掴んで外へ出そうとした瞬間

 バリーン!

「うわっ…!!」

「何してんだ!?コイツ急に瓶で殴りやがった!」

 彼は何の躊躇もなく空瓶で男の頭部を殴りつけた!周りの客も必死で止めようとするが…

 ドスッ…!バリーン!

 客をパンチで吹き飛ばして店のガラスまで割ってしまう。そして終いにはカウンターに向かって

「こっちはお金払ってんですよ…ここで飲まなきゃいいだけですよねぇ〜…」

 すると彼はカウンターからウイスキーボトルを持って外に出た。37.5度のウイスキーをストレートで飲みながら歩いている。もはや最強の男が酒浸りに転落しているこの瞬間はRose Orangeの誰もが彼に頼ることを一切やめている。それもそうだ。葬儀の日から今日に至るまで朝っぱらから飲んだくれ、気を失うまで度数の高い酒ばっかり飲み干す…愛猫たちの世話はきちんとしているようだが、肝心の自分へのケアを忘れている。当然明美や真美は必死で奮い立たせようとするが、婚約者を失い、挙げ句母親からも裏切られた彼には激励など馬耳東風だった。最終的に明美からは

「腰抜け男に用はない」

 と言われる始末だ。


 同日。再び傷だらけになってしまった真美は兄である川崎弘達と酒を飲みながら話をしていた。

「川…いや、兄さん…?」

「慣れないだろ?無理に呼ばなくていいよ。俺もずっと隠してて悪かった…」

 彼女自身職場の飲み会に行ったことがなかったため、初めての飲み会感覚になる。

「右目…」

「片目は見えるんだ。この程度でくたばったらチビたち育てられないからな!」

 見ていてわかるのは無理に明るくしている。妻を殺されただけでなく自分の右目を失い、それでもこの数日間で会社の設立に奮闘していた。元々子供たちや部下の前では格好良い姿を見せたがる性格だ。

「まだ終わってないんだろ?」

「うん…あと一歩なんですけど、どうしても幸人の力がないと無理で…」

「この前見かけたけどボトル持って歩き飲みしてたな…」

 話によるといつもなら派手に髪型を決めてスーツを着こなしているのにボサボサ髪で服装のセンスが壊滅的に悪かったという。

「でも何かさ…あの人無理して酒に溺れてる気がするんだ」

「どういう…」

「本当なら戦いたくて仕方ないと思うんだ。けど大切な人を失った恐怖と自分の力のなさに怯えて動けないだけなんじゃないか?」

 初めて語るが彼は職にこそ就かなかったものの、福祉大学で心理学を学んだことがある。ある程度の雰囲気で人間の心理がわかる。

「真美は水瀬さんのこと好きか?」

「えっ…」

 嫌いなわけない…!あのときのキス、セックスは偽りだ。触れ合ったときから彼の温もりなど忘れるわけがない。

「…好き」

「ちょっと強引かもしれないけど、水瀬さんの愛を確かめるべきじゃないのか?」

「強引にですか?(まさかセックス…!?)」

 少し妄想をすると秘部が疼く。でもコンドームはしっかり付けてもらわなきゃ。彼なら嫌がらなそうだが…

「真美!」

 ガシッ…!

「全部終わったら、是非兄ちゃんのとこで働かないか!」

「そんな…私が社会復帰するなんて迷惑が掛かりますよ…!」

「兄ちゃん会社立ち上げたんだ!今空席で秘書探してるんだけどさ、好待遇を約束するから…どうかな?」

 彼は生活関連サービス業の会社を立ち上げていた。これから都内に美容室を何店舗か開店する予定で軌道に乗り始めている。ちょうど秘書を探しているというが

「やっぱりダメです…人殺しの私が働くなんて笑える話じゃないです。他を当たってください…」

「真美…」

「私はひっそりと生きます…それに、もう私のことは忘れてください…」

 トン…

 彼女は飲み代の他に彼女なりの迷惑料を含めた金額をテーブルに置いた。必死に訴えられたが答えはやはりNO。彼が兄とわかった以上より家族には迷惑を掛けられない。社会復帰したくないと言ったら嘘になるが、それでも明美に尽くしたい。明美から「水槽から出ろ」と再三言われているが恩を返せずどう出ろと言う?例え水槽から出ても顔を変えてどこか遠くの国へ移住した方がいいと考えている。店を出てしばらく歩いていると

「キャアー…!」

「厶ッ…!?こっちね…」

 悲鳴に気付いた彼女が猛ダッシュ。傷が痛んでもお構いなし、これ以上犠牲者を出したくない。救出した24人の女性はまだ入院中だ。玲乃含めたメンバーが護衛に回っているがまだ奴らには金城兄弟にメルス、メースが生きている。

「才加!才加ー!やめて…来ないで…!」

 部活帰りの女子高生が2人。一人の才加と呼ばれる生徒は滅多刺しにされて殺されてしまった。生き残った生徒は恐怖のあまり尻もちをつくが

 ドゴォーン!

「えっ…」

「一足遅かったか…」

「あなたは…?」

「名乗るほどの者じゃないわ…」

 何と彼女は一蹴りで男を絶命させた。知沙の教えをしっかり獲得している。

「才加が…」

 幸い生き残った生徒に怪我はなかった。知沙が亡くなったことは奴らにとって戦力の大分を失ったに等しい。さらに千草を除いた人質が救出される形で失ったことが怒りに火を点けた。よって珠水鳳凰は完全に怒りで暴走し、通りがかる女性を無差別に殺害して回っている。

「家まで送ってあげる…早く帰らなきゃ危険だわ…」

「私、池田日菜子っていいます!お姉さんも教えてくださいよ?」

「私は神戸真美よ」

「真美さんでいいですか?」

「いいわよ」

 一人保護したところで都内に何人の女性がいる?実質今都内に住む女性全員が人質のようなものだ。こんなとき幸人がいれば…最強戦力として明美はいるものの自分含めた2人で金城兄弟たち4人に勝てるわけがない。

「いい?スーツか軍服みたいなの着た怪しげな男には気を付けて…」

「確かさっきの男もスーツ着てましたね…」

「例えば…たった今後ろから付けてくる奴とか?」

「えっ…?」

 何と彼女は怪しい気配をノールックで感じ取っていた。流石彼女は努力家だ。

「あら?3人だけでいいのかしら?」

「女は社会の敵…」

「下がってて」

「真美さん!相手武器持ってますよ…」

「大丈夫!」

 すると3人の男はナイフを持って彼女たちに襲い掛かる。明らかに男たちは強者感が出ているが

 ドスッ…

「嘘ぉ?」

 彼女は一切ダメージを負うことなく3人の男を赤子の手を捻るようにボコボコに…こんな短期間でそこまで強くなれるとは。一人の髪の毛を掴み

「あんたら珠水鳳凰ね!何で女性を見境なく殺すの!?」

「大城さんが…女は敵…それしかないって…!」

「あんたもミソジニストか…」

「高橋知沙が死んだだろ…それで」

 ドス!

「もう黙りなさいよ…!クソッ…」

「凄い…」

「ごめんね…この通り今外は本当に危険よ。早く帰ろう」

「うん…」

 少し刺激的なものを見せてしまったが仕方ない。自分は暴力や殺人で犯罪を制し、守るべき存在である以上。


 翌朝。昼夜問わず珠水鳳凰は無差別殺人を続け、Rose Orangeが襲撃を仕掛けないことをいいことに戦力を増している。一方幸人は飲んだくれてはいるが…

 バリーン!

「コイツベロンベロンなのに強えぞ…!」

 かなりフラフラだが襲われた女性を救うべく戦闘力を発揮している。シラフでいるより戦い方はかなりえげつないが。

「ウップ…」

 酔い潰れた男が容赦なく襲撃者の頭を瓶でかち割っている姿に助けられた女性も思わず逃げ出す。

 コツ…コツ…

「やっぱり水瀬幸人はいつまでも戦闘者のようね?」

「むむ〜…おっとそこにいるのは真美さんだぁ…」

「うっ…!酒臭ッ!」

 下手したら殺した元旦那より抜群に酒臭い。彼女はなるべく息を止めながら

「幸人…いつまでウジウジしてんのよ…酒飲むのは自由だけど、今の幸人は周りに迷惑掛けてばっかよ!」

「自由ならいいじゃないですか…それとも真美さんも飲みますぅ?」

 すると差し出したのは度数40を越えるスコッチウイスキーのボトル。こんな濃いものを飲みながら歩いてたのか?

「お願いだから目を覚まして…私の知ってる幸人じゃない…」

「僕は好きな人すら守れない最低男…これが皆さんが知ってる僕ですよ…」

 ダメだ話にならない…もうこうなったら

 ガシッ…

「ちょっと何するんですかぁ返してくださいよ…」

 パチンッ…

「いい加減にしなさい…そうやって知沙さんの命をまた死なせる気かよ!」

 強い力で叩かれた彼は少しアルコールが抜けたのか

「真美さんに何がわかる…知沙さんはいつだって翔星君を殺したことを後悔していた!それでもあの人は命を削って多くの人を救ってきた!そんな人が…あんな死に方しちゃいけないだろうッ…!」

 彼は泣き崩れるように項垂れた。彼女も知沙が右腕を失いながら捨て身の行動で人質を救出した場面をリアルタイムで見ている。

「よくわかってるじゃない…その通りよ。そんなの私だってわかってる…けど、知沙さんの想いを背負ってるのは誰?」

「誰って…それ…はぁ…僕…?うっ…」

 バタンッ…

 何と酔いすぎたのか彼はその場で倒れ込んでしまった。

「ねぇちょっと!あぁ~もう!」

 本当に酔うと困った奴!むしろ好都合か…取り敢えずこのままRose Orangeへ連れて行こう。


 数時間後。

「ん〜…」

「お目覚め…?」

「真美さん…ってここは?」

「Rose Orangeよ」

 目が覚めるとRose Orangeのアジトにいた。何と彼女は目が覚めるまで見守っていたようだ。ここまで大男の彼を運んだのか?アルコールは完全には抜けずまだ頭痛が治まらない。

「起きたばっかで申し訳ないけど、奴らが無差別に女性を殺しているわ…今幸人がすべきこと、わからない?」

「そんなことはわかっています。でも…」

「何が、戦えない理由なの?知沙さんがいないからなの?」

 どうやら今奴らが悪行を重ねていることを知ってはいるようだ。

「でも幸人の中に知沙さんはいるわ…」

「これは…?」

 彼の首にかけられたのはルビーが付いたネックレス。ルビーは彼の誕生石だ。

「知沙さんの所持品から出てきたの。ずっと幸人にプレゼントしたかったみたい…」

 知沙はサプライズプレゼントでずっと欲しがっていたネックレスを購入し、ギフト用に包装していた。死の間際までポケットにしまっていたのか、一部は焼け焦げていた。

「知沙さん…本当バカ…いつまでも僕のことを…うぅ…!」

 すると彼女は

 チュッ…

「えっ…」

 何といきなりキスをした。一体何のつもりだ?

「あのときは偽りだったかもしれないけど、いつか幸人と偽りのないキスをしてみたかった…私じゃダメかな?」

 彼はずっと知沙のことを愛していた。それなのに自分が彼のことを愛していいのかと思い悩んではいた。

「お願い…!今日だけでいいから、幸人のこと好きでいさせて…」

「僕でいいんですか?」

「でも…ゴムだけは付けてね?」

「勿論です」

 チュッ…

 熱いキスを交わす彼の手は無意識に彼女のブラジャーに手を入れて胸に触れていた。

 バサッ…

 すると先に服を脱ぎ始めたのは彼女で、それに続いて彼も服を脱ぐ。

 チュ…チュッ…

 彼はブラジャーのホックを外して

 チュッペロ…

「うぅ〜…」

 彼女の胸に吸いつき、そのまま仰向けに寝かせて彼女の右足を掴むと

 ペロペロ…

「えっ足も…?きたな…あッ…!気持ち良い…」

 彼女の足裏から指まで丁寧に舐める。足から徐々に全身を舐めていき…

 チュ…チュ…

「ねぇ…頂戴…!」

 彼はコンドームを付けて彼女のパンツまで脱がせると

「来て…!」

「はい…」

 ズボッ…

「あぁ…気持ち良いわ…」

「うぅ…僕も…あっ…!」

 幸人と真美の偽りのないセックス。彼女にとって2回目のセックスだがこれほど気持ち良いものはない。熱いキスを交わしながら彼は激しく動き…

「真美さん…イキます…イッちゃいそうです…!」

「私もイキそう…もっと来て…あっ!頂戴…!」

 2人は涙を流している。その涙はセックスの気持ち良さと愛する人を失った切なさ、そしてお互いに愛を確かめ合っている想いが込められている。

「ウゥ…イ…イク…!」

「私も…イク!」

「ウッ…!」

 2人はお互いに絶頂を迎える。彼は絶頂を迎えるとコンドームを瞬時に外し

 ドピュッ…ピュー…!

 射精した精液は彼女の臍と胸にまで飛んだ。

「いっぱい出たね…おへそに溜まってる…」

「気持ち良かったです…」

 彼女は自分の臍に溜まった精液を指に付着させて舐め取った。そのまま抱き合いながら横になり

「ありがとう…初めて本物のセックスができた気がする…」

「今まで僕を本気で愛してくれたのは知沙さんだけでした…真美さんは僕のどこを好きになったんですか?」

「多分知沙さんと同じ理由よ」

 そう言って誤魔化しているが正直彼のことが好きな理由などなかった。一つ確かなことは、元旦那に振るわれた暴力のトラウマを癒やしてくれる存在が彼だったということ。けど何も考えられないほど、やっぱり気持ち良すぎる…!

「もう一回頂戴…」

「もう一回いいんですか?」

「うん…」

「じゃあ、真美さんが望むなら…」

 彼は再びコンドームを付けて彼女の中に挿入した。

「気持ち良ぃ…またいっぱい気持ち良くなって…」

「はい…!」

 この日は寒くなり始める時期で最も激しくて熱い夜を過ごした。彼女は初めてセックスの気持ち良さを知り、そして彼の愛を知ることができた。少し強引ではあったが、幸人復活のときを迎える。


 翌朝。熱い夜を過ごした2人は裸のまま目覚める。2人共涙が乾いていない…

「幸人とセックスした知沙さんはきっと幸せだったはずよ…」

「それは僕もです。真美さんも最高です…」

 チュッ…

 彼にとって熱いキスを交わすのはこれで3人目。ベットから起き上がった彼女は裸のまま2人分のコーヒーを注ぐ。そして冷蔵庫からカットされたオレンジを出した。初めて食べたときは酷く苦かったことを思い出す。お互い服を着るのも忘れてコーヒーを飲み、そしてオレンジを一口食べる。味は?

「ちょっと酸っぱいですけど、美味しいです」

「そうね。甘酸っぱい」

 オレンジは甘酸っぱいくらいが美味しい。

「幸人のキスも…甘酸っぱいわ」

 チュ…

 何か幸人のキスはオレンジよりイチゴのような味がする…セックスは気持ち良くてキスは甘酸っぱい…こんな良い男を知沙さんはゲットしていたのか…羨ましい…!

 コツ…コツ…

「どうやら…お互い偽りのない愛を確かめ合えたようね…?」

「明美さん…?」

「まだ事の最中だったかしら?」

「いえ…終わりました」

 明美は食べ進められたオレンジを見ると

「オレンジが甘酸っぱくなったときは、自分自身を取り戻したとき…苦くなるほど自分を見失ったとき…哀しみと嬉しみが入り混じる私たちこそRose Orangeよ」

 理念を語った明美は近付くと裸の幸人と真美を抱き締めた。

 ギュッ…

「よくやったわ…この偽りのないセックスがあなたたちを強くするのよ…」

「明美さん…」

「明美さん…!」

 2人はまた涙を流した。知沙を失って辛いのは皆同じ。知沙さんが成し遂げられなかったことを、今僕たちが成し遂げる!

「さぁ、千草を助けに行くわよ」

「…はい!」

「はい!」

「幸人君、真美、後には引けないわ。今の内に準備してね!13時にここ集合よ!」

 13時まで残り4時間。一度戦いに出たら抜けることは絶対にできない。真美と明美はアジトで装備を整える。

 スゥーシャキン!

 明美は今日のために入念に研いだ刀を鞘から抜刀。真美はナイフと銃を装備する。今度こそ私自身の強さを発揮するとき…!

 幸人は一旦自宅へ帰りダサかった私服からいつも着こなす黒スーツを着込み、ヘアスタイルを決める。戦いの準備に備える彼に駆け寄ってくる愛猫たち

「良い子で待っててください」

「にゃあん…?」

「必ず生きて帰りますから!」

 最悪の場合二度とレオとミアに会えなくなるかもしれない。だがそうはさせない。必ず生きて帰ってまた愛猫と遊ぶんだ!一旦のお別れの挨拶として抱っこをしながら撫でる。迎えた13時。

「揃ったわね…うん、やっぱり幸人君はスーツが似合うわ」

「そうですか?」

「そうだよ!イケメンは服装もキメるってね!」

 今ここに集まった3人の執行人。知沙の想いを背負った執行人たちが向かう最後の決戦の地。戦いは遂にクライマックスを迎える!

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