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バッドエンドのその先にある転生  作者: 八十神 たたま
第一章:シュピーゲル編
9/23

第9話「愛の実験」 

この世界では1日は32時間です。


「ん、ん~?こ……こは」

 

 ヴィントラオムは目を覚ます、そこがどこであるかをヴィントラオムが理解する頃には目を覚ましてから2分が経過していた。


「ここは、氷魔研究室?なんで俺がこんなところに……」


 ヴィントラオムが立ち上がろうと両手を地面に着くと何かモチモチとした触感がヴィントラオムの両手に広がる。


 下を見ると雪の上でヒーナが寝ていた。


 感触の正体は言うまでもないだろう。


 寝ていたのはヒーナだけではなかった。


 タックスにブルーバルトそしてそこにはヴィーナの姿まであった。


(クソ……何がどうなってんだ……)


 ヴィントラオムは混乱を隠せなくなる。


 ここでヴィントラオムはクシャミをハクシュ!とする。


 その衝撃で頭が少し冷静になった。

 その結果一番最初に確認すべきことに気が付く。


「そうだ!凍死とかしてないよな!?」


 ヴィントラオムは一番近いヒーナから順に、タックス、ヴィーナと彼ら彼女らの胸に耳を当てて、心臓の鼓動を確認してゆく。


「よし、皆動いてる!後はブルーだけか……」


 ヴィンはブルーバルトの胸に耳を当てて心臓の鼓動を確認する。


 ブルーバルトは眠りの中で思う。


(ん?なんだ……胸のあたりに違和感が……でも……なんか落ち着くな……)

 ブルーバルトはそんなことを思うと、自らの胸に耳を当てているヴィントラオムの頭を押さえつける。


「ん~!ブルー?!なんだ!ちょ!痛い痛い!力!力強すぎ!!」

 ヴィントラオムがそう叫ぶとブルーバルトは目を覚ますと同時に、大声で叫んだ。


「わぁぁぁぁぁぁ!何やってんだよおまえぇぇぇ!」


 ドゴォォォォン!

 バサァァァ!


 そのままヴィントラオムを抱え込んだままブルーバルトは高速で10m先にあった大樹にヴィントラオムごと突っ込んだ。


 大樹からは大量の枯葉が落っこちてきた。


 この轟音に寝ていたほかの3人も起き上がり何が起きたのかを必死に把握しようとした。

「何の音!?ここどこ!?」×3


 キィィィン!

 森の中にいきなり甲高い音が鳴り響く。


「説明しましょう」

 甲高い音の次には若い男の声が響いた。


 その声を聴いたヴィントラオムは驚いて言う。

「その声…………ペルファか!?」


「ペルファ……さんでしょぉが!この異端児めが!」


 ヴィントラオムは困惑し叫ぶ。

「何言ってんだあんた!?」


 それに釣られる様にヴィーナが叫ぶ。

「今!お兄ちゃんになんて言ったぁ!!」


 荒ぶるヴィーナをブルーバルトが抑え込む。

「落ち着け!ヴィーナ!」


 ペルファがあざ笑う。

「ハ!滑稽なことですね、さっそく仲間割れとは!そんなんじゃ全員、私に殺されてしまいますよぉ!」


 ヴィントラオムは叫ぼうとした、しかしこの状況に混乱して叫ぶ言葉すら浮かばなかった。


 ヴィントラオムの代わりにペルファが再び声を荒げる。

「あなたたちには私と戦ってもらう!せいぜいみんなで力を合わせて頑張ることです、慈悲として1日だけ準備時間を与えましょう」


 タックスは困惑と恐怖が入り混じった声で叫ぶ。

「待ってくれ!ペルファ兄ちゃん!なんでそんなことするんだ!」


 少し経つと魔行響音機から声が響く。

「理由か……そんなの決まっている!ヴィントォラァオムゥしょぉうねぇん……あなたが異端だからですよぉ、あなたのそのお眼目、白目の中に黒目がいくつもある多眼症はなぁ悪魔の生まれ変わりっていう証拠なんですよぉ」


 ヴィントラオムはますます困惑する。


「あなたが成長すれば必ずあのお方の邪魔になるぅ、だから弱いうちに殺すんですよぉ!ちなみに異端と仲良くした奴も同罪だ!全員喉笛を掻っ切ってくれましょう!」


 ペルファは魔行響音機で話す最後の内容を一同に、主にヴィントラオムに伝える。

「あなたのせいでぇ大切な兄弟たちが死ぬんですよぉ……よかったですねぇヴィントラオム少年!あなたたちは一緒の空間で死ねる!ずっと一緒になるってわけです!これ以上の幸せがあっていい物か!これはまさに愛の実験ッ!よかったですねぇ!ヴィントラオム少年!アハハ!アハハハハハハハハハ!!!次話すときはちゃんと目を合わせながらゆっくりじっくり話しましょう、それでは!32時間後にまた!」


 ブツン


 ヴィントラオムたちの耳の中ではまだハウリングの音が響き渡っている。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 パチパチパチチ……


「急に俺たちを殺すなんて……ペルファ、俺に敬語使ったりするなんて……もう俺の知ってるペルファじゃなかった……」


 枯葉で作られた焚火を囲み、各々は己が不安を語り始める。


「もしかして……俺たち殺されちゃうの?」

 タックスは震えた声で泣きそうになりながら言う。


 その声はいつもの元気なタックスから出てきた声だとは考えられない声だった。


「い、いやで、でも……」


 ヴィントラオムは慰めの言葉を考える、しかしいくら考えても自分のせいでみんなを危険にさらしているという責任感が邪魔をしていつもの自分を出せなかった。


 それは何もヴィントラオムだけではない、皆がそうだった。


 皆寒さと不安で今にも張り裂けそうだった。


 しかしここには天使がいることをヴィントラオム思い出す。


「みんな!あんな奴を怖がることないよ!」

 天使ヴィーナだった。

   

次回「てめぇの名は!」

   

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