第14話「完璧美少女の弱点」
皆が使う魔法はみんなが生まれた部屋の魔導書がルーツです。
「捧名…」
ヴィントラオムたちはペルファの異常行動を見て呟く。
「あいつ…何する気だ…」
ヴィントラオムが瞬きをするとそこには無傷のペルファが立っており、まるで何事もなかったかのように近づいてくる。
そんなペルファをブルーバルトが阻止しようと拳を繰り出した。
「さっさと死ねやぁ!!」
ドガァァン!!
パンチによる影響で雪が舞い上がり、轟音が響いた。
サァァァァア…
雪が晴れるとそこには肩をペルファに触られている、ブルーバルトの姿があった。
「そ、そんな…」
ヴィントラオムは絶句する。
「こんな、こんなことって…」
ペルファは不気味にニチャァと笑うと、自信に満ちた声で話し始めた。
「フハハハハ!!凄いでしょう!これが二つ名を持つ者だけに許された最強の切り札!捧名の力だ!!」
ヴィントラオムは静かに言う。
「こんなに…上手くいくなんてな…ハハハ…ぺルファ…今ブルーに触った自分の手を見てみろよ…」
ペルファは嘲笑いながら言う。
「ハ!強がりも程ほ…ど…」
自分の手を確認したペルファの顔は見る見るうちに青くなって行き、最終的には見苦しい絶望の表情に歪んだ。
「お前、自分でも言ってただろ、高嶺の花には棘があるって…その通りだったな…今まさに、お前は花の棘に触れちまったわけだ」
ペルファは口から泡を吐き出しながら叫びだす。
「うぎゃぎゃぎゃががが!!!」
ヴィントラオムはニチャァと笑い言う。
「ヒーナ特性愛情猛毒を吟味しなぁ!タックス!メドレ!やっちまえ!」
タックスとメドレは魔法陣を構築し始める。
「行くぞ!メドレ!!」
「キュピピ!!」
ペルファは白目をむきながらも自らの腐りかけの声帯から声を抉り出す。
「女ァ゛ダデニザレェ゛」
ブルーバルトはペルファを守る体制に入る。
しかしヴィントラオムとタックスは全く怯まなかった。
「タックス!3秒後に撃て!」
ヴィントラオムはそう言ってブルーバルトの方へ全力で走って行った。
(俺の考えが正しければブルーは身体への過剰な接触や、一定以上の興奮で本能的にタックルしてしまう生き物だ!つまり俺が今ブルーに抱き着けばブルーは俺にタックルをする!そうすればペルファからブルーを引き離せる!)
「ウオォォォォ!!」
ガッ!
ヴィントラオムが思いっきりつまずいた。
その勢いでヴィントラオムは思いっきりブルーバルトに頭突きをしたと同時に口も付けた。
ガシィィィイ
それはブルーバルト史上最大級のタックルであった。
ズガァァァァアアアア!!!ドゴォォォォォン!!!
ペルファからブルーバルトが離れたことを確認したタックスが叫ぶ。
「撃て!メドレ!!」
「キューピーピー!!!」
ビュゥゥン!
ズド!
その魔動砲は見事にペルファの胸を貫いた。
タックスが「仕留めた!」と雄たけびを上げた、その時であっただろうか、いきなりペルファの体から糸の様な物が出てきて、その糸がペルファの体を操り始めた。
腹話術人形ペルファは言葉を発する。
「ブルーバルトオトココロセ」
その言葉が発せられるとブルーバルトはヴィントラオムの首を掴みヴィントラオムを絞め殺そうとした。
「ゔ!ブルー……」
もはやタックスの魔力も尽き果て万事休すと言ったその時であった。
「お兄ちゃんを傷つけたら許さないって言ったよな?」
ブシャ!グシャァ!バシャァアァ!!
ペルファは背後から伸びてきた手によって首をぐちゃぐちゃに引き裂かれ死んだ。
グチャグチャになったペルファの首はさながら噴火をしている火山の様であった。
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迷宮のとある部屋にて……
暗闇で男が二人、白髪の男と紫色の髪の男が背を向けあって座っていた。
紫色の髪の男が不気味な声で言う。
「ペルファ……アイツ……やってくれたな」
白髪の男もそれを聞いて言う。
「あぁ……上出来だ……」
男は真顔でそう言った。
今日の23時に出せたら良いなと考えています。
題名は考え中ですが、次回からしばらくはヒーナ主体の物語になります。
その後ついに外に!?出るかもしれません。
考え中です。