第13話「捧名」
「待つのです!」
「ブルー!もっと速く走れないのか!」
「んなこと言ったって!こんな馬車の馬みたいなことさせてんのはお前だろ!」
「待ちなさぁい!」
ヴィントラオムたちは今ペルファに追われていた、ペルファは先ほどヴィントラオムたちにめっちゃ馬鹿にされたのでめっちゃ切れている。
ヴィントラオムはペルファを見て驚く。
「あいつ、足早いな!」
ブルーバルトが強がる。
「お前らを、運んでなければ余裕で逃げ切れるってのに!」
タックスが急かす。
「ブルー!もっと早く!追いつかれちゃうよ!」
ブルーバルトは苦しそうに言う。
「ヴィンなんかに作戦を考えさせなけりゃよかった!」
「しょうがないだろ!こうでもしないと俺たちがペルファに追いつかれちまう!それに俺だって影を形成するので一杯一杯なんだよ!」
一方ヒーナは……
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「みんなぁぁ!早く倒してぇぇ!」
ヴィントラオムに擬態したヒーナは今ヴィーナに追われていた。
バゴォォン!
ドゴォォォォン!
「早くぅぅ!」
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再び視点はヴィントラオムたちの元へ戻る。
ヴィントラオムの影によって形成されている影のソリの上でメドレが魔動砲のチャージをしている。
「にいちゃん!そろそろ行ける!」
その言葉にヴィントラオムはコクリと頷く。
ペルファは笑う。
「は!舐められたものだ!弱小精霊ごときの魔動砲、私には当たらないですよ!」
ヴィントラオムは叫ぶ。
「ブルーやれ!」
「あぁ!」
ブルーバルトはメドレに触れてトレリーノーミを発動する。
するとブルーバルトはペルファの方を向いて止まり、ブルーバルトの後ろに飛ばされたヴィントラオムは影のソリを消して体をうずめ、同じく飛ばされたタックスとメドレは魔動砲をペルファの方に向ける。
ペルファは嘲笑う。
「馬鹿が!そのままでは私に当たる前にブルーバルト少女に当たりますよぉ!」
今度はそれを聞いたヴィントラオムがうずくまりながら嘲笑う。
「お前はたしか……ブルーより遅かったよな?」
「は?何を言って……」
ペルファは何かに気が付いて叫ぶ。
「まさか!!」
そして今度は、タックスが叫ぶ。
「やっちまえ!」
「キューピーピー!!」
そのメドレの声が聞こえた後に、メドレの魔法陣から魔動砲が発射された。
その魔動砲をブルーバルトが当たる寸前で避けた。
魔動砲はペルファの方にまっすぐ飛んで行き、ペルファの胸に風穴を開けた。
ブルーバルトはガッツポーズをして言う。
「やったぜ!」
ペルファは絶句していた。
「ま、まさか……」
ヴィントラオムは言う。
「ヴィーナに手を出した報いだ!」
ペルファは静かに言う。
「まさかこれを使わせられるとは……」
「な!」×3
ペルファは唱え始める……
「忠犬の名を贄とし、我に力を与えたまえ……」
自らの胸にある風穴に手を入れて。
「捧名……」
次回「完璧美少女の弱点」