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バッドエンドのその先にある転生  作者: 八十神 たたま
第一章:シュピーゲル編
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第11話「魔」

「そうして王子さまは伝説になったとさ……めでたしめでたし……ぐへぇ」

 ヴィントラオムが最後の章を読み終わると同時にぶっ倒れる。


「ひ、ヒーナ……少しは落ち着けたか……」


「ぐーぐー」


(寝顔可愛いかよ……じゃ、じゃなくて!)


「お、おい!ヒーナ起きろ!」

 ヴィントラオムがヒーナの体を揺するとヒーナが目を擦りながら起き上がる。


「ヴィン?おはよぉ」


「いやおはよぉ、じゃなくて!の・う・りょ・く!」


 ヒーナはヴィントラオムの声を聴き我に返った。

「あ!わ、わすれてたぁ!」


「すまないけど早めに言ってくれないか?あと2時間でタイムアップなんだ」


 ヒーナはコクリと頷き自分の能力を話始める。

「え、えーとぉ……私ができるのは……や、薬品生成と……ぎ、擬態……」


 ヴィントラオムは質問する。

「擬態って例えば他人の姿になったりできるとか?」


「う、うん……ただ擬態できるのは私の知識の範囲以内だけど……だから直接見たことが無い物には擬態できないの……あ、後は私より大きい物とか……た、例えばドラゴンとか?」


「ドラゴン!?」

 ブルーバルトが飛び起きる。


「どこだ!ドラゴンどこだ!」


 タックスもいつの間に起きたのかブルーバルトに言う。

「いや居ないから……」


「ちょうど起きたか……ブルーバルト……お前が最後だ……お前の能力を教えてくれ」


 ブルーバルトはそれを聞くと誇らしげに胸を張って喋り始める。

「お!ついに超最強の私の力が必要になったか!」


 ヴィントラオムは恐る恐る言う。

「て、手短にな?」


「聞くが良い!驚くが良い!私の能力はな!エネルギー増幅変換魔法だ!」


 ヴィントラオムは驚く。

「お前そんな難しい感じの言葉言えるのか?!」


「言えるわぁ!驚くとこそこかよぉ!てかなんだ、言えるのか?!って普通、知ってたのか?!とかだろ!私の事舐めすぎだろ!」


 ヒーナがヴィントラオムに教える。

「ブ、ブルーちゃんって、わ、私よりも本をよ、読む子……だよ?」


(そうだったのか!遊ぶときはいつも相撲とかしてたから知らなかった……)


「と、とにかく!具体的にその魔法で何ができるんだ?」


「やってみるか!」


 ブルーバルトがそう言うと指をパチン!と鳴らすと背中側に魔法陣が出現した。


「いくぜ!」


 バッチンッ!


 雷が落ちたような音が鳴るとブルーバルトがいつの間にかめっちゃ遠くにいた。


 パチン!

 バッチンッ!


 再び高速で移動しヴィントラオムたちのところに戻ってくる。


「ふぅ……こんな感じだ!スゲーだろ!」


 ヴィントラオムは驚いて言う。

「す、すげぇ……な、なにしたんだよ!?」


 ブルーバルトが自慢げに語りだす。

「私の魔法はトレリーノーミつってな今のは変換と増幅に関する法則を破って指を鳴らして発生した振動を熱エネルギーに変換して体を前に追い出したんだ!」


(ヤバイ、何言ってんのか全然わからん……)


「まぁ魔力の消費がはんぱねぇから連発できないしめっちゃやべぇことはできねぇけど……」


(いや十分ヤバいことやってんだろ!)と心の中で思うヴィントラオムだった。


「ほぅ、興味深い……」

 不気味な声が毒蛇の様に子供たちの首を絞める。

 ペルファだった。


「つまり魔力さえあればめっちゃやべぇことでもできるという事ですね……やはり魔法とは崇高で、すばらしいものだ」


(な!時計よりも1時間早く来やがった!やっぱこの時計ずれてたか……)


 ペルファは両手をブルーバルトとヴィーナの方に片手ずつ差し出す。


 ペルファは二人の方へゆっくりと歩きながらしゃべる。


 ちなみにヴィーナはまだ眠っている。


「あなた方の様な崇高なる魔法の使い手が忌むべきものを愛すなど、本来とても罪深いことです、しかし今回に限っては、私の寛大な心の下に贖罪のチャンスを与えましょう。」


「あ、愛してなんかねぇし!」

 ブルーバルトがほぉを赤らめながら言う。


「ほう、そうですか」


 ペルファが目の前にまで来てようやくブルーバルトは焦り始め、動かなくなった体を必死に動かそうとする。


「それは素晴らしいことです」 


 ブルーバルトだけではなく、全員の体は全く動かなず視界もぼやけてもはやほとんど何も見えなくなっていた。


 本人たちは恐怖のせいでそうなっていると考えていたが、これもペルファの力によるデバフだった。


「さぁ……共に行きましょう!」

 ペルファがブルーバルトに触れようとする。


(やばい!ブルーがっ!!)

 ヴィントラオムが体を無理やり動かそうとしているせいで体が異音を発している。


(これなら……動く!)

 ヴィントラオムが勢いよく一歩を踏み出したその時にはすでにペルファは彼女の体に触れていた。


 ヴィーナの体に。

 

 彼女はヴィントラオムよりも先に体を動かし、ペルファがブルーバルトに触れる直前でブルーバルトを押し倒して身代わりになっていたのだ。


「愚かな……」


「うおぉぉらぁぁ!!」×3

 ブルーバルト、タックス、ヴィントラオムが一斉にペルファに襲い掛かる。

 がその攻撃はいとも容易く防がれてしまう。


 誰であろうみんなの天使ヴィーナ・シュピーゲルに。

 

 

明日は21時に12話、23時に13話を投稿します。

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