6話 現実世界
現実世界に戻った私は、ヘッドギアを外してサイドテーブルに置き、ベッドから立ってストレッチをした後、そのまま部屋から出て階段を降りてリビングへと向かいます。
「やっぱりVRゲームは楽しいですねぇ….」
前々からやりたかったゲームですし、楽しさは2倍ですね!そう考えながら、私は扉を開けます。
「美幸か」
すると椅子に座っていた身長170cm半ばくらいでツーブロックをした黒髪に金眼のイケメンがそう声を掛けてきました。このイケメンは私の兄で、月白玲二といいます。一学年違いますが同じ高校にも通っているのです。
「なんだか楽しそうな顔をしてるな?」
「あ、わかります?実は悠斗から貰ったゲームをしていたのですよ!」
私がそうフフンとした顔で答えると、兄様はこう聞いてきます。
「どんなゲームを貰ったんだ?」
「Memorial Story Onlineというゲームですね」
私がそう言うと、兄様は少し驚いたのかこう続けます。
「美幸もやっているんだな」
「も?ということは、兄様も?」
「ああ、俺はベータに参加していたからな」
兄様もベータテストに参加出来ていたのですね。少しくらい教えてくれても良かったですのに。ということは…
「ゲーム内でも兄様と会えるのですね」
「そうだな。なら、明日の昼に一緒にやるか?今日はもう遅いからやらないが、明日はフレンドとも約束してたから」
「そうですね……じゃあ、兄様のフレンドさえ良ければ私もいいですか?」
「多分大丈夫だとは思うが、メッセージで聞いてみる」
兄様はそのままスマホで連絡を取って聞いてみているようです。
私はそれを横目にご飯を用意し始めます。今日の夜ご飯は、昨日のうちに作っておいたカレーです。今日は長くゲームをやると思ってましたからね。私はお米とそのカレーをよそってテーブルの上におきます。もちろん兄様の分も置いてあります。
「大丈夫らしい」
「それならよかったです。では食べましょうか」
「そうだな」
そう言ってきたので私はそう返し、私たちはいただきますと言って食べ始めます。
そうそう、私たちの両親は基本家にいません。両親とも外国で働いており、母親と父親ともにエンジニアの仕事をしています。なので家事や料理は私たちがすることがほとんどです。まあ好きなことなので、別に困ってないですけどね。
そうして夜ご飯を食べ終わり食器を片付け、少し休んだ後にお風呂へと入ります。そしてゆっくりと湯船に使ってリラックスしつつ、明日のゲーム予定を考えます。
「とりあえずは防具を受け取って、今度は東以外の方角へも行ってみたいですね」
そう考えていると、少しのぼせてきたのでお風呂から上がります。
お風呂から上がり、スキンケアをしっかりします。これは大事と母様から言われていますからね。
その後はパジャマを着て洗濯などのやることを済ませた後、私はそのまま自分の部屋へと戻ります。時計を確認すると、もう八時半くらいになっていました。なので、軽く勉強のおさらいを三十分くらいしたあと、ストレッチをしてからベッドへと横になって就寝しました。
そして朝、目が覚めました。今日は日曜日です。時計を見ると、今は七時くらいのようです。私はベッドから起き上がりパジャマから着替えた後、ストレッチを済ませて部屋から出てリビングへと向かいます。
「おはよう、美幸」
「おはようございます、兄様」
リビングに入ると、もう起きていたのか兄様がそう声を掛けてきたので、私は返事を返してから朝ごはんとして食パンをトースターにいれて焼き始めます。
「集合時間と場所は、昨日のサービス開始時刻と同じく一時に中央の広場でいいか?」
「いいですよ」
私はその言葉にもそう返し、焼かれたパンを取り出してイチゴジャムを塗って食べ始めます。んー、やっぱり焼きたてのパンは美味しいですねぇ。
「じゃあ俺はもう行くな」
「はい、またあとで」
おう、と言って兄様は部屋へと戻っていきます。私もパンを食べて、自分の使ったお皿などを洗ったあとそれを片付けて、洗顔、歯磨き、スキンケアを済まして洗濯物を畳んだ後に自室へと戻ります。
軽く三十分くらい勉強をしたあと、洗濯を始め、終わるのを待っている間に、私は食材などの買い物へ歩いて向かいます。ゲームをし続けてると運動不足になりますからね。
そして五十分くらいで帰ってきて、終わっていた洗濯物を干して食材たちを冷蔵庫に入れた後、使う食材だけだしてお昼ご飯を作り置きしておきます。お昼ご飯に作ったのはオムレツです。
ちなみに、料理や洗濯は私がやりますが、掃除のみは兄様がやっています。兄様よりも私の方が美味しく作れますからね。兄様が作るのはちょっと……とだけ言っておきます。
時計を確認すると、今は八時半くらいみたいです。やることを済ませた私は、部屋に戻り昨日と同じくヘッドギアをつけてゲームを始めます。