198話 プレゼント
「ご馳走様でした!」
ちょっぴり不思議に思いつつも美味しい料理を食べ進め、私たちはすぐに完食しました。料理がとても美味しかったのですぐに食べ終えてしまいましたが、満足感もあるのでこのお店は最高のお店ですね!
こんな美味しい料理が食べられるお店なんですし、ここのお店は覚えておくことにしますか!また機会があれば食べに来たいですしね!
「そういや昨日も思ってたんだが、レアの左目が変わっているけど、何かあったのか?」
「あ、それわたしも思った!色が変わっているよね?」
「それに、なんだか模様みたいなのも浮かんでいますよね」
「ん?なんか変わっていたのか?」
食べ終えて一息ついたタイミングでクオンからそう聞かれ、そこにメアさんとライトさんも乗っかるように左目について聞いてきました。ヴァンさんは気づいていなかったようですけど、やはり色が変わっているのは簡単にわかりますよね。
とりあえず、話してはダメなことでもないので素直に教えておきますか。知られても支障はないですしね。
「実は前に特殊なスキルを獲得して、その時に変わったのです」
「特殊なスキル…」
クオンたちは私の言葉を聞いて驚いていますが、そりゃそうですよね。普通のスキルならともかく、"特殊な"と頭につくので明らかにそんじょそこらのスキルとは違うとわかりますし、その反応も無理はありません。
私が獲得したスキルについての詳細は流石に話しませんが、この情報だけでも普通とは変わったスキルだとは想像がつくでしょうし、クオンたちも獲得出来るかはかわかりません。
まあそのスキルは大罪関係とわかりますし、いずれは私とは違う大罪を持つ人は現れそうですが。
私が獲得したのは【嫉妬】なので、そのスキルはその大罪を持つのに相応しいものが得ることが出来ると推測出来るため、クオンたちでは手に入れるのは難しそうですよね?皆さんはいい人なんですし、私のように闇を抱えているわけでもなさそうなので。
「まあそれについてはこの辺にして、早速あの後について皆さんにも伝えておきますね」
「お、了解。頼むな」
「任せてください!では、まずはクオンが救出したエリナさんについてですが…」
そう前振りの言葉を発してから、私がルルアさんのお屋敷に行ったときに聞いた情報についてクオンたちにも伝え始めます。特に重要そうな情報はないですけど、事件に関わった人なんですし伝えておくべきですしね。
「…なるほど、結局はそうなったんだな」
「なら、これでもうこの街で悪さをする人はいなくなった、ってことだね!」
「ですね。それで間違いないです」
そうしてルルアさんのお屋敷にて聞いたことを皆さんにも伝えましたが、メアさんの返してきた言葉に私は頷きながら同意します。
すでにルルアさんの手によって邪命教は壊滅してますし、これでこの街には平和が訪れました。いずれは再び悪事を働く者も出てくる可能性はありますが、それに関しては当分は先なはずです。
現段階で悪さをしていた人たちは大半が捕まえることが出来てますしね。なので、しばらくはゆっくり出来るはずです。
それとエリナさんのあの後についてもクオンたちへと話しましたが、それを聞いた皆さんも私のように安心したような表情を浮かべてたので、やはり心配だったのでしょうね。
「ひとまず、伝えるべきことはこれでおしまいです」
「そうか。無事に解決出来たのならよかったな」
「だな!いやぁ、昨日は大変だったし、無事に終わって一安心だぜ!」
「わたしもそれを聞いて安心したよ!エリナさんも大丈夫みたいだしね!」
「教えてくれてありがとうございます、レアさん」
「いえいえ、このくらいは大丈夫ですよ!」
クオンたちも私からの情報を聞き、一安心しているようでそう声に出しています。皆さんもこの件には深く関わっていましたし、全員が無事だとわかればそうなるのでしょうね。私も同じですし。
あ、そういえばもう一つクオンに聞きたいことがあるのを忘れてました!ちょうど話も一区切りついたタイミングですし、ここで聞いてみますか!
「忘れていたのですけど、クオン」
「ん、どうした?」
クオンに向けてそう声をかけると、クオンは私へと視線を移しながらそう返してきたので、その後に聞こうと思っていたことを聞いてみます。
「クオンの誕生日は明日ですけど、良ければ明日にでも私の家でお祝いをしませんか?」
「いいのか?」
「はい、もちろんですよ!」
「…なら、行かせてもらおうかな」
よし、それならクオンの誕生日パーティのために色々と用意しておかないとですね!今回の誕生日パーティはクオンと恋人になってからは初めてなので、たくさん楽しめるように頑張りますか!
って、なんだか皆さんの顔が驚きに染まっていますけど、もしかしてクオンの誕生日は知らなかったのですかね?クオンは自分からそういったことを言うタイプではないですし、知らないというのも納得は出来ますけど…
「クオン、明日が誕生日だったんだね!」
「流石に驚いたぜ…」
「僕も初耳ですね」
メアさんたちがそう声に出しているので、やはり私の予想は間違ってはいなさそうですね。それにしても、クオンは少しくらいそれについて言ってもよかったのではないですかね?…いえ、いちいち誕生日について言及するのもそれはそれで面倒な人になりますか。なら、今回は仕方ないですね。
「すまんな、わざわざ言うことでもないと思ってな」
「そっかー。なら、この後はクオンへの誕生日プレゼントを買いに行かない?」
「お、いいな、それ。俺は賛成だ!」
「僕も賛成です。タイミングもいいですしね」
おっと、思考を巡らせているといつのまにかそんな話題に移っていましたね。ふむ、皆さんはゲーム内ではありますがクオンへの誕生日プレゼントを買いに出かけるみたいですし、私はどうしましょうか?
今の時刻はおよそ五時であるため、夜ご飯までの時間には余裕があります。それなら、ここは私もご一緒させてもらうことにしますか!リアルでなら誕生日プレゼントはすでに渡していますけど、もう一度渡しても悪くはないですし、そうしましょう!
では、まずは私もご一緒してもいいかを聞いてみましょう。断られることはないとは思いますが、少しだけ緊張しまいますけど、どうでしょうか…?
「よければ、私もご一緒してもいいですか?」
「もちろんいいよ!レアちゃんも一緒に行こ!」
「はいっ!」
無事にメアさんたちからも了承をもらえましたし、一緒にクオンへの誕生日プレゼントを買いに行くとしますか!
現実世界では財布をプレゼントしましたが、ここはゲーム世界なのでそれにあったものがよいですよね?とすると、武器やアクセサリーとかが良いでしょうか?まあ考えることはたくさんありますが、ひとまずはショッピングをしながら選ぶことにしますか。
クオンに喜んでもらえるように、しっかりと選ばないとですね!
「んー…っと、降りますか」
あの後は皆で揃ってショッピングをしていましたが、最終的に皆で決めた一つのアクセサリーをクオンに贈ることで誕生日プレゼントを渡すのは無事に終わりました。
ちなみに、私がルルアさんのお屋敷に行っている間にクオンたちはクエストで助けた人たちからお礼をもらっていたらしく、それを私にも渡してくれたのでちょっぴりありがたかったです。
それはともかくとして、今はそのショッピングの後に解散としてログアウトをしてきた、というわけです。今の時刻はショッピングを長い間していたのですでに六時半を超えているため、そろそろ夜ご飯の支度をしないとですね。
最近は兄様と情報交換をするだけであまり深く会話をしていませんでしたが、いつも通りご飯は一緒なためさっさと支度に移らないとです。あ、ついでにそこで悠斗との誕生日パーティをすることも伝えておきましょうか。どうせ兄様も参加するでしょうしね。
「…そうですね、今日の夜ご飯はオムライスにしますか」
自分の部屋でいつものストレッチを済ませた私は、そのままリビングに移動して冷蔵庫を確認しながら今日の夜ご飯を決めます。
ログアウト前に食べた洋食屋のせいで作るメニューがそれに釣られてしまいましたが……別に兄様も嫌いなものではないですし、いいですよね。それに、私も食べたいですし。…よし、作るものも決まりましたし、早速調理を開始しますか。
「…美幸、もう降りていたんだな」
「あ、兄様!もうすぐ出来るので少しだけ待っていてください!」
そうしてテキパキと調理を済ませているとそのような声と共に兄様が降りてきたので、私はそう言葉を返しながら手を動かしていきます。
ご飯の時間にはしっかりとリビングまで降りてきてくれるので、いちいち待たなくてもいいのはちょっとだけ楽でいいですね!まあ遅れても問題はないですけど、待つのは面倒ですからね。
それに兄様だけには限りませんが、作った料理を美味しそうに食べてくれるのも作る身としてはとても嬉しいので、やはり私は誰かに料理を作るのは好きみたいです。
こ、この調子で料理の腕前をあげて、いずれは悠斗も魅了出来るよう頑張りますか!すでに恋人にはなれていますけど、それでも手は抜かないでしっかりと作るのがいいですからね!
「…よし。出来ましたよ、兄様!」
「お、早いな。今日はなんだ?」
「ふふーん、オムライスですよ!」
そう言いながら出来上がった二つのオムライスをテーブルへと持ってきながら、私は自身満々にそう答えます。
兄様も少しだけワクワクした様子ではあるので、やはりオムライスは人気な食べ物とわかりますね!まあお店よりかは自信は当然ありませんけど、私たちが美味しく食べられればそれでいいですよね!
「んじゃ、食べるか」
「ですね!いただきますっ!」
私たちは手を合わせてからそう声に出し、出来上がったオムライスを早速食べ始めます。
うんうん、やっぱりオムライスはいいですよね!ふわふわの卵にアクセントのケチャップ、そして中に入っている赤色をしたお米!やはり何度食べても飽きる気はしません…!
「やっぱり美幸の料理は美味いな」
「ふふ、そう言ってくれるとこちらも嬉しくなります!」
兄様にも褒められましたし、すごく嬉しい気分になっちゃいます!こうして褒められるのなら次の気力にもなりますし、もっと褒めてくれてもいいのですよ!
っと、それは一旦置いておくとして、このご飯の間に悠斗との誕生日パーティについて兄様にも伝えておかないとですね。流石にダメとは言われないでしょうけど、先に何も言わずに準備をしているのを見られたり悠斗が来てしまえば、驚いてしまうでしょうしね。
「兄様、兄様に伝えないといけないことがあるのですけど、いいですか?」
「ん、なんだ?」
「実は…」
そう前振りをしてから、私は兄様に対して明日に行う予定である悠斗の誕生日パーティについてのことを伝えます。
「ふむ、そういえばもうそんな時期だったな。いいぞ、別にダメな理由もないしな」
「それならよかったです…!」
悠斗との誕生日パーティは毎年やってますし、兄様もいつも通りの反応なので、これで伝えるのはオッケーですね!
しかーし!今回は悠斗と恋人になってから初めてのお祝いなのです!なので、今年は例年よりも気合を入れて用意しますよ…!ということで、今日と明日はゲームへのログインは控えて誕生日パーティに向けて料理を作ることにしましょう!
誕生日パーティについて考えている今の段階でもすでにワクワクしてしまい、兄様からは微笑ましそうに見つめられていますけど、それは無視です!そのくらい楽しみなんですし、仕方ないのですよ…!
まあそれはさておき、ご飯を食べ終わった後は早速準備に取り掛かりましょうか!悠斗の喜ぶ顔が見たいですしねっ!




