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196話 様々なポーション

「よし、ではこの時間はどうしましょうか…?」


 あれから十一時を過ぎるくらいまではあそこにいた皆で談笑をしていたのですが、お昼の時間になったのでいったん解散した後にゲーム世界から現実へと戻り、お昼などの諸々を済ませて再びログインしてきました。


 今いる場所はルルアさんたちと談笑をしていたあの部屋ですが、流石に解散したのと時間が経ったのも合間ってすでに人は一人もいなくなっていました。


 今の時刻は十二時くらいなので、夏休みで休日な私にはたっぷりの時間が残っています。そのため、色々とやる時間はありますけど……何をしましょうか。


 昨日は夜遅くまで邪命教との戦闘を繰り広げていましたし、ゆったりと過ごしたいので……そうですね、錬金でもしますかね。今までに集めた素材は種類も数も豊富にあるので色々と試すことも出来ますし、この機会にたくさん作っちゃいますか!


「なら、一旦職人都市に行って、そこからギルドに移動してから錬金をするとしましょうか」


 よし、やることは決まりましたし、善は急げでですね!時間はたくさんあるとはいえ、無駄に過ごすのももったいないので早速行動に移りましょう!




「…とりあえず、ポーションでも作りますか」


 そうしてルルアさんのお屋敷から外に出て、私はそのまま節減都市の転移ポイントから職人都市まで飛びます。


 そして次に職人都市のギルドに向かって個室を二時間分借りた後、個室に移動してから手始めに今まで集めていた素材でポーションを作っていきます。


 実は、今の時刻はすでにお昼になっているからか大部屋には結構な人がいたので個室にしたのですよね。一応、私は有名人なのでどう考えてもそこで生産をしていると声をかけられて面倒そうに感じたので、そうしました。


 まあ元より大部屋を使う気にはならなかったですし、人がいなくても個室を借りた可能性もありますが。


 ちなみに、ポーションに使うガラス瓶はここで買うことも出来るらしく、先に大量に買っておいたので尽きる心配はありません。なので、今の時間はたくさんポーションを作っていきますよ!


「…よし、まずはこんなものですね」


 そんなことを考えつつも、私は今までにも作ってきていた中級ポーションと無数のゴーレムを作り上げ、まずは一息つきます。ここまでは前と同じ物なので心配はなかったですが、次からが問題です。


 目新しものといえば、前にブローズ密林で確保していた植物類や今までに狩ってきていた魔物たちの素材ですけど、これらは初めて使うのでどう作るかが悩んでしまいます。


 私の生産スキルである【錬金術】はこの手で一から作り出すスキルではないので、そこまで悩まなくても良いのでしょうが……レシピなどはわからないのでそう考えてしまうのは仕方ありません。それに素材を無駄にしたくない気持ちもあるため、適当に作るわけにもいかないですからね。


「ひとまずは、いつもと同じ手順で作ってみますか」


 今から作るのはポーションなんですし、よほどのことがなければさっきと同じやり方でも大丈夫だとは思います。なので、私は手始めに下級錬金セットを使って超薬草と水入り瓶を合わせて〈合成〉をしてみます。


 すると、置いてあった二つの素材が光り、光が収まる頃にはそこにはすでに何もなくなっていました。…何もないということは、失敗したとみて良さそうですね?


 ふむ、この作り方ではいけなかったみたいですね。なら、次は中級ポーションの時にも使った触媒草を合わせてしてみますか。それでも出来なければ、今までとは違う作り方とわかりますし、まずは試してみましょう。


「…これでも失敗、と」


 そこからそれも試してみましたが、そちらも光が収まると何もなかったので失敗してしまったようでした。うーむ、やはりレシピもなく手探りで作るには情報が足りなくて失敗が続いてしまいますね…?それなら、他にも試してみますか。素材は贅沢にありますし、問題もないですしね。


「…なら、超薬草は当然として……今度は同じ森で採れた治癒(ヒルヒ)の葉を加えてみますか。そしてそこに水入り瓶も入れた三種で…〈合成〉!」


 そう考えて〈合成〉を使った私でしたが、三つの素材が光った後、そこには緑色をした一つのポーションが存在していました。


 ➖➖➖➖➖

 上級ポーション ランク F レア度 一般品(コモン)

 HPの回復効果のあるポーション。傷口に掛けても効果がある。素材の質が低いため、効能が下がっている。

 HP45%回復。

 ➖➖➖➖➖


 早速鑑定をしてみたのですが、そこに書いてあった説明文を見て私は難しい表情を浮かべてしまいます。何故なら、素材の質が低いために効能が下がっていると書かれていたからです。


 別に素材の質は低くないはずなのですけど…?深森による称号のおかげで、採取した超薬草と治癒(ヒルヒ)の葉は共に品質がBランクなのですが……あ、もしかして使っている水が関係しているのでしょうか?


 それなら、質が低いというのにも納得出来ますね。私が使っているのは【生活魔法】の〈飲水〉で生み出した水ですし、上位のポーションでは品質とランクが足りないのでしょう。ということは、ここから先の上位のポーションを作るのなら水などにも気をつけないといけないようですね。


「…ですが、それは今は持ってないのでこちらは一旦作るのはやめておいて、素材は貯めておきますかね」


 【錬金術】のレベル上げのために作るのも悪くはないですが、効能が下がっているのならわざわざ粗悪な物を作るのももったいないですし、今回は後回しにしておきましょう。


 ということなので、上級ポーションの製作はやめて今は他の魔法薬などを作るとしますか。魔物系の素材に植物系の素材はたくさんありますし、色々と試しながら作っていきますか!




「…っと、もう時間ですか」


 それからインベントリにある無数の素材を贅沢に使って様々な魔法薬やポーション、ゴーレムに上位変換した素材などを色々と作っていた私でしたが、気づいたらすでにに結構な時間が経過していたようで、今の時刻はあと少しで二時になるところになっていました。


 借りていられる時間も後少しでなくなりますし、ある程度の生産は完了したのでこの辺で終わりにしておきますか。上級ポーションの製作については品質の良い水が必要なので作っていませんけど、それについては入手出来た後にでも再び作ることにします。


 …まあどこにあるかもわからないので、時間はかかってしまうかもしれませんけどね。あ、というかここは職人ギルドの本部なんですし、その素材の情報などはありそうですよね?なら、ここを出た後に職員さんにでも聞いてみますか。


 私の使う【錬金術】はマイナーらしいですけど、人気のある【調合】などにも間違いなく水は必要ですし、おそらくはそれの情報はあるとみて間違いないはずです…!では、早速聞きに行ってみますか!個室を借りていられる時間も迫っていますし、タイミングもいいですしね!


「職員さんは……あ、ちょうどミリアさんがいますね。なら、ミリアさんに聞いてみましょうか」


 そう考えて個室を出た後にカウンター付近まで向かった私でしたが、今私が口にした通り、カウンターの向こうにはミリアさんが暇そうにしながら座っていました。


 …なんだか退屈そうな顔をしていますけど、それは何故でしょうか?まあ何はともあれ、上級ポーションに使える水の素材について聞きに行きたいですし、顔見知りでもあるのでミリアさんのところに行くのは確定ですが。…ちょっぴり不安になってしまいますけど、他のところに行く気もないのでさっさとそこに向かいましょうか。


「ミリアさん、今いいですか?」

「あら、レアちゃんじゃないですか。今日はどうしたのですか?」

「実は上級ポーションを作ってみたのですが、それに水のランクが足りないようなので、それについて聞きにきたのです」


 私が試した上級ポーションの作り方では、超薬草と治癒(ヒルヒ)の葉、そして水入り瓶を使いましたが、それでは品質が低いということだったのです。


 称号のおかげで植物系の素材の品質は悪くはないので、間違いなく水のランクが足りないのが確実であります。なので、出来ることならここでそれについての情報を知りたいですけど……ありますかね…?


「なるほど、水のランクですか。それなら、キチンとそれの情報についてはありますよ」

「本当ですか!」


 私の問いかけにミリアさんは自信満々にそう返してきてくれたので、少しだけ安心しました。もしなかった場合はどうしようかと悩んでいましたが、どうやら杞憂だってようですね。


 で、その水についての情報を快く説明してくれたミリアさんによると、その水の名前は"命脈の雫"といって、ポーションに使うことでその効能を高める効果を持っているらしいのです。


 ふむふむ、やはりポーションに使うための水系の素材があったようでした。しかも効能を高める効果を持つということは、HPやMPを回復するポーション以外のポーションや魔法薬にも使えそうですし、これは是非とも量を確保しておきたいですね!


 加えてミリアさんによれば、その"命脈の雫"がある場所はリリムラ草原から東に進むとある森の中に湧き出ているとのことでした。


 なるほど、それなら今すぐにそれを入手するのは難しいとわかりますね。うーむ、私はポーションを使うことは少ないので問題はないですけど、これは他のプレイヤーに対してはちょっぴり面倒かもしれませんね?回復量が少ないポーションでそこに向かわないといけませんし。


 とりあえず、そこに命脈の雫があるのなら、それを入手するのを目指すのも良さそうですね。ワールドモンスターの討伐を目指すのももちろんですが、こうして世界を巡っているとやりたいことが増えてしまいます…!


 よし、聞きたいことはこれで済みましたし、この辺で私は行くとしますか!夜までの時間はたくさんあるとはいえ、無駄に過ごすのも勿体無いですしね!


「では、私はこの辺でいきますね!」

「わかりました。気をつけてくださいね」


 そんな言葉と共にミリアさんから見送られて職人ギルドを後にした私でしたが、そこから広場に向かいながら考えます。


 命脈の雫を探しに行くためにリリムラ草原の攻略を目指すのもいいですけど、それに関しては別に急いでやらないといけないわけでもないですし、今の時間はどうしましょうか?


 時間は大いにあるのでのんびりと街の散策をしているのも悪くはないですが……そうですね、なら深森の討伐を目指しているのでエルフェリンデのさらなる攻略を進めることにしますかね。


 こちらもそんなすぐに深森と戦えるわけでもないのでゆっくりとでもいいですけど、他に目指していることもないですし、たまには進めておかないといけないですしね!


「それでは、早速そこに向かい……っと、メッセージが届きましたね?」


 やることを決めた私は、早速とばかりに意気込んでエルフェリンデへと向かおうとしたのですけど、そのタイミングで何やらメッセージが私に向けて届きました。


 そのためすぐにそれを確認してみるとどうやら送り主はクオンのようで、メッセージの内容は端的に言うと、遅くなったが昨日のクエストクリアで打ち上げでもしないか?といったものでした。


 ふむ、打ち上げですか。確かに昨日はクエストをクリアしてすぐに解散しましたし、改めて今日にそれをするのに反論はありませんね。なら、エルフェリンデの攻略も急ぎではないですし、今はそのお誘いをうけさせてもらうことにしますか。


 ということで、ぜひ参加させてください、っとメッセージを送って……おっと、すぐに返ってきましたね?ふむふむ、待ち合わせの場所は雪原都市ノースの広場で、ですか。それなら、ちょうど広場に向かっていたところですし、転移をしてそこへ向かいましょうか。

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