2話 キャラメイク
次の日、午前中に勉強をし、お昼ご飯を食べてお手洗いも済ませた私は部屋に戻ります。
「よし!準備が出来ました!」
私は部屋に戻ったあと、早速ゲームの設定をしてそのままヘッドギアを装着してベッドへ横になります。
「では…!コネクト!」
その言葉を合図に私の意識が一瞬沈みます。
そして気がつくと私はVR世界にいました。そこは全てが真っ白で、他には何もない部屋です。
「ようこそMemorial Story Onlineへ」
突如背後から、そのような言葉が聞こえました。振り返るとそこには、十代後半くらいに見える、腰まで伸ばした金髪に金眼でお淑やかそうな美少女が立っていました。
「私はこの世界の管理を神様から任せられている十二星座の一人、リブラです。これから少しの間よろしくお願いします」
神様……つまり、運営のことですかね?
おそらくはそういう設定なのでしょうし、特に気にすることでもなさそうなのでそれは置いといて私も挨拶を返しましょうか。
「私は月白美幸と申します。よろしくお願いします!」
私がそう返すと、リブラさんはニコリと笑い言葉を返してきます。
「さっそくですが、まずは種族を選んでください」
リブラさんがそう言うと、私の前に半透明なメニュー板が浮かび上がります。
そこには人間をはじめとして、定番のエルフや獣人、吸血鬼なんてのもあります。
それぞれのステータスはマスクデータとなっていてわかりませんが、ある程度の向き不向きはわかるようです。
たとえば、エルフなら魔法には強いですが近接戦闘には向かない、吸血鬼は夜になると強くなりますが、日中は弱体化するなど、その種族によって強さ弱さがあるみたいです。
せっかくのゲームですし、人間でなく他の種族を選びたいですね…
「なら、私は狼人族にします」
無数にある種族から私が選んだのは狼人族です。この種族は、素早さが高く、防御が低いという説明で、私はいつもスピードタイプを選んでいるのでそれが一番合うと思ったらからこれにしました。
「では次はアバターの造形を選んでください」
リブラさんのその言葉で、メニュー板に私が現れました。
腰まである白髪に金眼で身長139cm。慎ましやかな体型に、とろんとして眠そうな表情が特徴の少女です。さらにそこに、選んだ種族の特徴である狼の耳と尻尾が生えています。まさにケモ耳少女ですね!
ちなみに、獣人は耳と尻尾が生えてるだけのから、二足歩行の動物レベルまで出来るらしいです。私は耳と尻尾が生えているだけのにしましたが。
身長が大きいのがいいのですが、アバターの造形を変えると動くのに支障が出るようなので、仕方ないですが身長は諦めましょう…
あ、胸も盛れますね……いやいや、それは流石に負けた気がするので、やめましょう…
うーん、日本人離れした見た目ですし、このままでも大丈夫そうでしょう。せめて髪は、腰までのロングから肩あたりまでのセミロングにします。
「では続いて、初期スキルを10個選んだください」
その言葉と共に決定した私の姿が消え、先程と同じ様にメニュー板に無数のスキルの情報が現れます。
これに関しては先にもう決めていたので、選びましょうか。
ポチポチと決めていたスキルを選んでいき、最終的に私のステータスはこんな風にになりました。
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名前
種族 狼人族
性別 女
スキル
【銃Lv1】【鑑定Lv1】【錬金Lv1】【採取Lv1】【気配察知Lv1】【忍び足Lv1】【遠視Lv1】【ATK上昇Lv1】【AGI上昇Lv1】【DEX上昇Lv1】
所持SP 0
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私の初期武器は銃を選びました。なので【銃】を選び、そしてそれに使えるであろう【遠視】【ATK上昇】【AGI上昇】【DEX上昇】を選択しました。
私は基本的にソロでやろうと思っているので、一人でもやっていける様にと【鑑定】【錬金】【採取】【気配察知】【忍び足】と、これで十個選びました。
「そして最後に、あなたの名前を選択していただきます」
「はい。では、レアでお願いします」
「了解しました。レア様ですね。これで設定は終了です」
リブラさんのその言葉で、私の前に浮かんでいたメニュー板が消えました。
「では最後に… 貴方は何を求めてこの世界にいらしたのですか?」
何を求めて、ですか。それはすでに決まっています。
「私の求めているのは、新たな発見とワクワクですね」
真剣そうなリブラさんのその言葉に、私はこう返しました。
そう口にした私による素直な言葉を聞いて、リブラさんはクスッと笑みを浮かべます。
「あなたは面白い方ですね」
「そうでしょうか…?」
私が首を傾げていると、リブラさんは先程までの作り物のような笑顔とは違う、自然な笑みを浮かべます。
「他の方は、そういうしっかりとした意見はあまりおらず、見ていてつまらなかったのですよ」
そんなにいないものなのですね…?私くらいの人なら他にもいそうですが…
「そんな中、私の声をしっかり聞いてくださるうえ、そのような楽しい気持ちを伝えていただいてます。ですから、私個人としては、あなたのような人は大変興味深いのですよ!」
そう続けて言葉にするリブラさんですが、それは喜んでいいのでしょうか…?
ですが、褒められてはいるみたいですし、悪くは感じませんね。
「それに、私はこういうちっちゃい子が好きですし…」
「えっ?」
「いえ、なんでもありません」
…聞き間違いでしょうか?いまなんか凄いことを言われた気がしますね。まあ今の話題を気にしてもあれですし、そのままスルーしておきましょうか。
「では、名残惜しいですが、そろそろこちらの世界にいきましょうか」
「あ、それもそうですね…!」
リブラさんの言葉に今はまだキャラメイク中だったのを思い出しました。意外と話していたみたいですし、この辺で会話は終了しておきましょう…!
「また会いましょう!」
「はい。では、あなたの旅に幸在らんことを」
リブラさんのその言葉と同時に、私の視界がログインした時と同様に真っ白に染まります。