18話 ユニークスキル
「では、お楽しみのユニークスキルとの確認ですっ!」
ワクワクしながら、私は自身のステータスを確認します。
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名前 レア
種族 狼人族
性別 女
スキル
【銃Lv30MAX】【鑑定Lv15】【錬金Lv16】【採取Lv21】【気配察知Lv25】【忍び足Lv25】【遠視Lv27】【ATK上昇Lv28】【AGI上昇Lv28】【DEX上昇Lv28】【体術Lv17】【気配隠蔽Lv24】【採掘Lv11】【INT上昇Lv16】【直感Lv7】【跳躍Lv3】
ユニークスキル
【時空の姫】
所持SP 23
称号
〈東の森のボスを倒し者〉
〈時空神の加護〉
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ボスモンスターを多く倒しましたし、かなり育っていますね!【銃】スキルが最大まで上がってレベルが二十五の時に〈スプリットバレット〉を、三十の時に〈トリガーハッピー〉を覚えました。これはユニークスキルを確認する時に一緒に確認しますかね。
それと最大まで上がったみたいですし、次にログインした時に進化させますか。
それでは、お待ちかねのユニークスキルです!
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【時空の姫】
時空神の力とレアの深層心理が合わさって出来た、レアのみが扱えるスキル。その力が手繰り寄せるのは過去か未来か。
〈第一の時〉 消費MP 微 リキャストタイム五秒
・武技を当てた対象の動きを十秒間加速させる
〈第二の時〉 消費MP 微 リキャストタイム五秒
・武技を当てた対象動きを十秒間遅くする
〈第三の時〉 消費MP 微 リキャストタイム五秒
・時属性と空間属性の混じったINT依存で防御無視の弾丸を放つ
〈第四の時〉 消費MP 小 リキャストタイム十秒
・武技を当てた対象に込められた過去の記憶や体験を知る
特殊なアイテムの場合、固有世界に行ける
〈第五の時〉 消費MP 小 リキャストタイム 三十秒
・武技を当てた対象の次使うスキルをMP消費二倍にして強化する
〈第六の時〉 消費MP 中 リキャストタイム三十秒
・武技を当てた対象に付与されたバフ・デバフの効果時間を三十秒伸ばす
〈第七の時〉 消費MP 中 リキャストタイム一分
・武技を当てた対象の分身体を三十秒間生成する
〈第八の時〉 消費MP 大 リキャストタイム一分
・武技を当てた対象が過去にやられたことのある敵を三十秒間生成する(生成された敵は自身の味方になる)
〈第九の時〉 消費MP 特大 リキャストタイム三分
・武技を当てた対象がこの戦闘中に受けたダメージの全てを与える
与えた場合それまでのカウントはリセットされる
〈第十の時〉 消費MP 特大 リキャストタイム三分
・武技を当てた対象の時間を一分間分巻き戻す
〈第十一の時〉 消費MP 極大 リキャストタイム五分
・武技を当てた対象の足を五秒間縫い止める
〈第十二の時〉 消費MP 極大 リキャストタイム二十四時間
・武技を当てた対象の時を三秒止める
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…深層心理、ですか……おそらく私の思いも関係して時の力を得たのでしょう。…どこまでいっても、私はこの過去から逃れられないようです。
…まあそれは置いておいて、確認を続けましょう。私が得たユニークスキルはこのような技がたくさんあるようですね。結構種類が多いのでちゃんと活かせるかは少し心配ですが、使いこなせたらかなりトリッキーな動きが出来そうです。
今日はスキルなどの確認だけ済ませますが、明日にでも使用感も確かめておきますか。
あ、称号も確認しないとですね!
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〈時空神の加護〉
時空神の興味を引き、尚且つ気に入られた者に与えられる加護。自身の使う時属性と空間属性のスキルのMP消費を少しだけ下げる効果を持つ。
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今回得た称号は、エリアボスのとは違って効果付きのようです。おそらく時と空間の属性を持ったユニークスキルのMP消費を下げられるのはかなりありがたそうですね!
よし、確認は済みましたし、ここから出て街まで戻ったあとにログアウトしますか。
テテテッと小走りで中央にあった魔法陣に移動します。そして魔法陣の中心に立つと、魔法陣が光り、視界が真っ白に染まります。
光が収まったので目を開くと、そこは教会の入り口でした。空はもう日が暮れて、周りはかなり暗くなっています。
「急いで街に戻りますか!」
そうして私は急いで街へと走り出します。ここは西と南の間ですが、汚れるのはいやなので南門の方に向かいます。
道中では襲いかかってくるモンスターも特にいないので、気楽に走れますね。
『【夜目】スキルを獲得しました』
暗くて走りづらいと思いながら走っていると、システム音がなり、スキルが獲得出来ました。暗い所にいることが多かったから獲得出来たのでしょう。【夜目】スキルを獲得したことによって、先程よりも周りが確認できるようになりました。まあレベルが一なので、まだ気休め程度ですけど。
そして走っていると街の南門に着いたので中へと入ります。そんな中歩いていると、気がついたら満腹度が30%を下回っていたので、落ちる前に何か食べてからログアウトしますか。
そう考え、ちょうど南にいることですしと周りをキョロキョロしてお店を探します。すると、なにやら良い匂いが漂ってきました。その匂いの元を辿ると、ある一軒のお店を発見します。私はそのお店に決めて中に入っていきます。
「いらっしゃいませ!何名様ですか?」
「一人です」
「ではカウンター席にどうぞ!」
中に入ると、店員さんが声をかけて来てカウンターまで案内をしてくれたので、そこに座ってメニューを見て注文を考えます。
「そうですね、今は温かいものが食べたいですし、この兎肉の煮込みスープとパンにしますか」
注文を決めた私は店員さんを呼び、それらを注文します。そして料理が届くのを待っている間にインベントリの中の木綿を確認します。
「量を見る限り、ギリギリ二キロあるくらいですね…」
このくらいならまた取りにいかなくても大丈夫ですかね?
確認を終わらせると、ちょうどそのタイミングで料理が届きました。兎肉の煮込みスープはポトフと似た見た目と匂いをしており、パンも柔らかい白パンのようです。
「では、いただきます」
そう言って私はまず白パンへと手を伸ばします。白パンは現実と同じかそれより少し硬いくらいで、手でちぎって口に運びます。うん、ほのかな甘みと小麦の風味が美味しいです。次は煮込みスープですね……んー!こちらも味が濃すぎず、しかし薄くもないちょうどいい梅塩の味です!兎肉も、豚や牛などよりも柔らかく旨みもあり、食べやすくていいですね!
そうして私は舌鼓を打ちながら食べ進め、完食しました。いやー、美味しかったです!
私は代金を払ってお店を出ます。とりあえず広場に行ってから落ちますか。
少し歩いて広場に着いた後、私はメニューからログアウトを選択してこのゲーム世界から一時的にいなくなります。
現実世界に戻ってきた私は身体を伸ばしつつ時刻を確認すると、どうやら今は八時半くらいのようです。確認だけでしたし、そこまでかかってはいないみたいですね。
「少し疲れたので、今日はもうゲームはやめて勉強でもしていますか」
そう呟きつつ私は九時まで勉強を始めます。そして時間になったので区切りのいいところで勉強を終わらせ、鞄に教科書などの道具をしまって明日の準備を済ませ、そのままストレッチをします。では、早いですがもう寝ます。おやすみなさい。
朝になりました。今日は金曜日です。いつも通り朝の支度を済ませ、悠斗と兄様と一緒に学校へ向かいます。
そして午前の勉強も終わり、お昼休憩の時間になりました。
「なあ、美幸、今度公式イベントがあるらしいぜ」
「イベントですか?」
お昼ご飯のお弁当を取り出し、私は食べながら話を聞いています。現実ではなにもないですし、おそらくゲーム内のことでしょう。
「ああ、公式から出た情報には、最強のプレイヤーを決める闘技大会があるとかかなんとかって出てたな。それと生産職の作った物の人気投票みたいのもあるらしい」
「へー、そうなんですね」
最強のプレイヤーを決める、というのは少し興味がありますね。それに生産者のなら、知り合いのレーナさんが作った装備とかも出て来ますかね?
「そのイベントが開催されるのはいつなのですか?」
「確か、一週間後の土曜日だったはずだ」
一週間後ですか……ユニークスキルを手に入れてもいますし、それまでに確認も済ませてスキルのレベルも上げないとですね。
「教えてくれてありがとうございます」
「まあどうせゲーム内でも公式からメッセージが来てわかると思うから、わかっていたと思うがな」
そう言って悠斗は笑います。確かに公式からのメッセージはきそうですね…
そしてたわいない会話を続けていると、お昼の時間も終わるらしく先生が入ってきました。なので悠斗は自分の席へ戻っていきます。
よし、授業の続きですね!
そのまま午後の授業も終わり、帰る時間になりました。
「美幸、帰ろうぜ」
「はい」
そして悠斗と一緒に、校舎の入り口で待っていた兄様と合流してから帰路につきます。
いつも通り悠斗と別れ、少し歩くと家に着きました。家に入って時計を確認すると、今は四時半くらいです。
「では、作り置きをしておきますね」
「わかった、俺はリビングの掃除でもしておくかな」
そう言って兄様は掃除機をとってきてリビングを綺麗にしていきます。そこまで汚れているわけではないので、あのくらいで大丈夫そうです。それじゃあ私はご飯でも作りますか。私はそんな兄様を尻目に冷蔵庫を開けます。
「んー、食材がなくなってきてますね……明日は休みですし、その時に買いに行きますか」
少ないですが食材はまだあるので、それでご飯を作ります。作るメニューは、野菜が多く残っているので野菜メインの餃子でもしますか。
そうして私は前に買ってあった餃子の皮に、作った野菜の餡を入れていきます。私はそこまで食べるわけではないですが、兄様はやはり男性だからか結構食べるので、そこそこの量を作っておきます。残っても明日のお昼にすれば良いですしね。
「掃除が終わったし、俺も手伝うか?」
「あ、それじゃあお願いしてもいいですか?」
兄様が手伝いを申し出てくれたので、お願いします。このくらいなら兄様でも問題はないはずです!
「そういえば、公式イベントがあるって聞いたか?」
餃子の皮を包んでいると、兄様からそのように話しかけられました。
「はい、今日学校で悠斗から教えていただきました」
兄様の言葉に私はそう答えます。
「聞いているなら話が早い。そのイベントのために俺たちのパーティはスキルのレベル上げをするんだが、一緒にやらないか?」
「んー、今日はユニークスキルなどの確認を済ませておきたいので、明日でもいいですか?」
「ああ、問題ないぞ。それじゃあまた明日にやろうな」
「わかりました」
私たちが会話をしながら包んでいると、いつのまにか終わっていました。後は焼くだけですし、焼くならそこまで手間もかかりませんし、ログアウトしてご飯の時に焼いちゃいますか。
「焼くのは食べる時にしますね」
「わかった、焼きたての方が美味いもんな」
「じゃあ私は部屋に行ってゲームでもしてますね」
「ああ。俺もやっていようかな…」
そう呟いている兄様に声をかけたあと、そのまま自分の部屋に向かい時刻を確認すると、今は五時半くらいでした。そして私は置いてあったヘッドギアを頭に着けてゲーム世界にログインします。
目を開くと、そこは初期の街の中心にある広場でした。昨日採ってきた木綿を渡そうと思い、フレンドリストを開いてレーナさんがいるか確認すると、ちょうど今ログインしているみたいです。それに私は、今大丈夫ですか、とフレンドメッセージを送ってみます。
『レアちゃん〜?どうしたの〜?』
少し待っていると、レーナさんからそうフレンドチャットが返ってきたので、私はそれに出て答えます。
『昨日頼まれていた木綿をある程度採ってきたので、今そちらに行ってもいいですか?』
『もう採ってきてくれたのね〜!もちろんいいわよ〜、待ってるわね〜』
そう言ってフレンドチャットが切れました。いいみたいですし、早速向かいますか!
そうして今いる広場から西にあるレーナさんのお店へ歩き、着いたので中に入ると、カウンターのところでレーナさんが待っていました。
「すみません、待たせてしまいましたか?」
「そんなに待ってないから大丈夫よ〜、それで、木綿を確認してもいいかしら〜?」
「はい」
レーナさんへ取引メニューを開き、採取してきたたくさんの木綿をリストに入れます。
「今回も結構な量を採ってきてくれたのね〜…この量なら、代金は20,000Gくらいでどうかしら〜?」
「それで問題ありません」
「じゃあ取り引き成立ね〜」
私はお金を、レーナさんはたくさんの木綿を交換しました。量がたくさんあったおかげで結構な額になりましたね!
「そういえば、レーナさんは近々ある公式イベントにはなにか作品を出すのですか?」
「ふふん、出すわよ〜!まあまだ作ってはいないけどね〜。でも、何を作って出すかは秘密よ〜」
「すごく気になっちゃいます…!何かを出す予定なら、優勝出来るよう頑張ってくださいね!」
「ええ、ありがとね〜!それとレアちゃんは闘技大会に出るの?」
「はい、やってみようかなと思ってました」
「そうなの〜、じゃあお互い頑張りましょうね〜」
「はい!」
では、と言ってお店を出ます。次は森の手前で【銃】スキルとユニークスキルの確認に行きますか!
私は西にあったレーナさんのお店から東の森の手前まで向かい、着きました。プレイヤーたちはもうだいたい先のエリアに行ったのか、ここまでの道中で兎を狩っている人はまったく見当たりませんでした。これなら、誰にも見られないで確認出来ますね。
「まずは… 〈スプリットバレット〉」
右手に取り出した長銃でその武技を撃つと、撃った弾丸が五発に分裂して森の手前に生えていた木に当たります。複数の弾が当たるみたいですし、全て当たれば普通に撃つよりも火力は高そうです。
「消費MPは大体二割ですか…」
説明通り、消費MPは〈スナイプショット〉と同じくらいのようです。それともう一個の武技である〈トリガーハッピー〉は少しの間弾丸を使用しなくなるという効果らしいので、この武器を使う限り私は使うことはなさそうなので確認は別にいいですね。
「そして、【銃】スキルの進化もですね」
【銃】の進化は【長銃】や【短銃】など、他にも何種類かありますが、私が選ぶのは二丁の銃を扱う【双銃】です。そして今持っているSPを二消費して、進化させます。進化して新しく覚えた武技は〈ツインシュート〉というらしいです。これは説明を見て使った感じ、両手で撃つ〈クイックバレット〉みたいなようですね。
よし、【銃】の確認は済みましたね!
それでは、次はユニークスキルですね。数が多いですし、今は基本的に使いそうなのだけピックアップして使ってみますか。というか、武技を当てた対象を、と書いてありますし、もしかして自分で自分を撃つ感じなのですかね…?ちょっと怖いですけど……やってみますか。
「〈第一の時〉」
左手に短銃を取り出してこめかみに銃を突きつけ、引き金を引きます。すると対した衝撃はきませんでした。そして…
「身体の動きがなんだか速くなってますね」
少し動いてみると、明らかにいつもより速くなっています。蹴りの速度や走る速度など、おそらく普段の二、三倍くらいの速さになってます。ちょっと速いですが、そこまで使いにくくはないので、これなら普段から戦闘に使えそうです!
それに消費MPもかなり少なく、全体の2%くらいしか使わないようです。加護の力もあるでしょうが、これは凄いですね!ですが、効果時間は十秒のみと少し短いようです。まあリキャストタイムが短いうえMP消費もほとんどないので、連発しても問題はなさそうですが。
「次は、〈第三の時〉」
効果時間が切れたのを確認した後は、次はその武技を使います。その武技で今度は別の木目掛けて撃ってみると、撃ち抜いた木を容易く貫通して弾丸が奥へと飛んでいきました。唯一の攻撃技ですが、これは強力そうです…
説明には防御を無視すると書いてあったので、木だけではなく盾や鎧なんかも貫通出来そうです。なかなか使いやすそうな武技でいいですね!
「最後は、〈第七の時〉」
最後に確認するのはこれです。先程と同じようにこめかみを短銃で撃つと、私の分身体が横に現れます。
「本当に分身なのですね……私とまったく同じです」
分身は意思などはないようで、私の思考通りに動けますし喋れもするようです。それと分身の視界も共有できるようで、慣れないうちはちょっと難しいです。そしてそのまま私と分身は互いに格闘戦をしてみます。うん、ちょっとまだ慣れないですが、使っていけば慣れることはできそうです。
それと加護の力もあってか消費MPは一割と結構低めなので、これも普段から使えそうです。
効果時間は三十秒と短いので、少し相手をしているとすぐに消えちゃいました。分身と格闘戦をして気づきましたが、ちゃんと触れますし分身もダメージを与えられるうえ、リキャストタイムが一分と短くて連発も出来るので本当に便利そうな武技です!




