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11話 クオンパーティと森

 ログインすると、そこはレーナさんのお店の前でした。昨日ログアウトしたのはここでしたしね。


 それとメッセージが来てたので確認してみると、レーナさんからで、ワンピースが出来たのでいつでも受け取りに来ていい、と書いてありました。ちょうど目の前にいますし、クオンと会う前に受け取りに行きますか。そう思い私はお店の扉を開けて中へ入ります。


「いらっしゃいませ」

「すみません、レアですけど、レーナさんはいますか?」

「申し訳ありませんが、今はいらっしゃいません」


 店員さんは申し訳なさそうな顔でそう答えます。


「そうですか…」

「それとレア様ですね?それならレーナさんから装備品を預かっております。ただいまお持ちしますね」


 店員さんはそう言って奥へと向かっていくので、その間に私はクオンへメッセージを送ります。店員さんと会話をしている時に、今から行くから広場で集合な、と連絡が来ていたのですよね。


 それに対して私は、レーナさんのところで装備を貰ってから行きます、と書いて送信します。


 私が連絡をしていると、奥から店員さんが一つの箱を持って戻って来ました。


「こちら、注文されていたワンピースになります」


 そう言って箱を開ける店員さん。中には、レーナさんが書いてくれていたのと同じ姿のワンピースがありました。見た目は昨日ラフ描きをして見せてくれたのと同じ感じで、肩を出してあるオフショルダーのワンピースの姿をしており、色は水色で涼しげなイメージが湧きます。


 ➖➖➖➖➖

 木綿のワンピース ランク E レア度 一般品(コモン)

 DEF+9

 MND+5

 耐久度 100%


 木綿を使って作られた水色のワンピース。軽くて丈夫。

 ➖➖➖➖➖


 鑑定するとこんな説明が出ました。ランクがFではなくEになっていますね!レーナさんの【裁縫】スキルもレベルが上がっているのでしょう。それにステータスも結構上がっていいですし、見た目も可愛くて素敵なので文句ない完成度です!


「ありがとうございます!」

「いえいえ、代金は前払いで貰っているらしいので、このまま着ていっても大丈夫です」


 私が感謝を伝えること、店員さんはそう返してくれました。では早速装備させてもらうますか!


 フィッティングルームへと向かい、メニューから革の胸当てから今貰ったワンピースの装備へと変更します。うん、鑑定の説明にも書いてありましたが、なかなか軽くて動きやすいですね。


 確認が済んだのでフィッティングルームから出ます。そして改めて店員さんにお礼を言ってお店を出て、広場へと向かいます。


 歩いて向かっている途中で、私はステータスを確認します。


 ➖➖➖➖➖

 名前 レア

 種族 狼人族

 性別 女

 スキル

【銃Lv17】【鑑定Lv7】【錬金Lv6】【採取Lv9】【気配察知Lv13】【忍び足Lv13】【遠視Lv14】【ATK上昇Lv13】【AGI上昇Lv13】【DEX上昇Lv13】【体術Lv8】【気配隠蔽Lv9】【採掘Lv7】

 所持SP 7

 ➖➖➖➖➖ ➖


 【銃】のスキルがLv15に達した時に新しく〈バウンドバレット〉の武技を覚えました。これは壁などに当てると、三回まで跳ね返るようになる弾丸が撃てるようです。なので今度試してみましょう。


 そして採掘に行った時に上がったスキルと新しく覚えた【採掘】も増えていますね。それにSPは三増えて七になりました。【錬金】はあまり触っていないので上がっていないので、今度またやって上げますか。


 あ、それと忘れないうちに【INT上昇】を獲得しておきますか。そのまますぐに私はSPを一消費して【INT上昇】を獲得しておきました。よし、これで良いですね。


 そうして確認が終わり、広場が見えてきました。すると、少し先にクオンとそのパーティメンバーらしき三人組が見えてきました。


「クオンー!」


 私は大きな声でクオンへ呼びかけつつ、手を振って走ります。クオンは私の声に気づいたのか、こちらへ視線を向けます。


「レアか」

「なになに!待ち合わせの友人ってあの子のこと!?すっごい可愛いじゃん!」

「凄い美少女ですね」

「白髪ロリか!いいね〜!」


 クオンたちに近づくと、クオンの近くにいた女性と男性たちがそう話していました。


「クオン、こちらの方々は現実で言っていたパーティメンバーですか?」

「そうだ、こいつらはベータ時代からのフレンドで、よくパーティを組んでいるんだ。まずはお互いに自己紹介でもするか」


 そう言ってクオンはパーティメンバーへと視線を向けると、一人だけいた女性が前に出て声をあげます。


「まずはわたしから!わたしはメア!よろしくね!」


 クオンたちパーティの紅一点である、ミディアムの灰髪に琥珀色の瞳、身長160cm半ばで褐色肌のダークエルフで元気が溢れている女性がメアさん。


「僕はライトです。よろしくお願いします」


 肩まである薄い金髪に緑目で、中性的な顔つきの身長150cm後半くらいの少女にも見えなくもない、おとなしめの人間の男性はライトさん。


「俺はヴァン!よろしく!」


 背中まである髪をひとつ結びにした赤髪に紫目で、身長170cm後半くらいの魔人らしき灰色の肌で爽やかそうな男性がヴァンさん。


 メアさん、ライトさん、ヴァンさんですね。よし、皆さんの名前は覚えました!


「私はレアと申します。よろしくお願いします!」


 私はそう言ってペコリと頭を下げて挨拶をします。


「ねえねえ、クオンとはどんな関係なの!」


 挨拶を済ませると、メアさんは私にそう聞いてきました。


「どんな関係と言われても、ただの幼馴染としか言えないですね」

「幼馴染!だからそんな仲が良さそうなのね!」


 きゃー、とメアさんは黄色い声を上げます。そんな興奮することですかね…?このくらいは昔からの友人ならば普通でしょうけど…


「こんな可愛い幼馴染がいるなんてなぁ、クオンも幸せもんだな!」

「もしかして、付き合ったりもしてるんですか?」

「いや、別にそんな深い関係ではないぞ?」

「そうですよ、私とクオンは昔から付き合いのある友人ってだけですよ」


 私とクオンがそう答えると、メアさんとライトさん、ヴァンさんはため息を吐きます。


「こりゃ脈はなさそうねぇ」

「恋愛にも発展はしなさそうですね」

「だな」


 そう言って皆さんはクオンを憐れんだ目で見つめますが、クオンはそれにムッとしたのか反論をします。


「おい、その視線はやめろ」

「あはは…」


 クオンはそう言って注意しますが、それに対して私は苦笑を浮かべます。


「ま、まあそれはともかく、今日はどこに狩りに行くのですか?」

「…まあいい、今日は東の森に行って狩りをするつもりだ」


 話題を変えるかの如く私が聞くと、クオンはそう返してきました。今日行くのは森みたいですし、特にわからない場所でもないので問題はなさそうです。


「森ですね、わかりました」

「じゃあさっさとパーティを組んで行くか」

「はい」


 クオンがパーティ申請を送ってきたので了承し、三人とのフレンド交換も済ませてからそのまま東の森へ向かいます。




「そういえば、新しく装備を作って貰ったって言ってたけど、それが新しいやつか」


 森へ向かっている途中でふとクオンがそのように聞いてきました。なので私は特に隠すことでもないので素直に答えます。


「そうです。木綿を使った装備で、能力も結構高いのですよ。そういうクオンたちもカッコいい装備をしてますよね」

「俺たちも昨日のうちに作って貰っていたからな」


 クオンは要所要所に鉄のパーツが付いた動きやすそうな軽鎧を、メアさんは木綿で出来た白いシャツにレザーのホットパンツ、ライトさんは兄様のパーティにいた女性二人組と同じような、青い飾りが付いた空色のローブを、そしてヴァンさんはクオンと似たような装備に鉄製の籠手とグリーブを付けた装備をしており、なかなかに立派な装備ですね!


 そうお互いの装備を確認しあっていると、気づいたら森の入り口に着いてました。


「じゃあ、行くぞ」 

「はい」


 そう言って私たちは森へと入っていきます。そして入って少しすると、少し奥から狼の群れが【気配察知】に反応しました。どうやらあちらにはもう気づかれているようです


「クオン、狼の群れがこちらに来ます」

「了解、各自戦闘準備を」


 クオンはそう言い、インベントリから片手剣を手元に出します。メアさんは短弓を、ライトさんは短杖、そしてヴァンさんはそのままで籠手を構えます。


 そうして構えること数秒、狼が飛び込んで来ました。先頭の狼は一番近くにいたクオンへと噛みついてきますが、クオンはそれを横にズレらることで躱し、手に持っていた片手剣を振るってその狼の首を切断します。


 続いてやって来た狼が、今度はヴァンさんへと飛びついて来ましたが、こちらはヴァンさんが狼の頭を下から左手でアッパーをして、それに狼は怯みます。そこに続いてヴァンさんは怯んだ狼の頭目掛けて右手でのストレートを繰り出します。


 それを受けた狼は頭部が凹んでポリゴンとなります。チラリと見た感じ、ボクシングの動きに似ているように感じましたね。


 そして後衛である私とメアさんは銃弾と弓矢を、ライトさんは水魔法を放ち狼の群れへと攻撃します。私たちの攻撃は後方にいた狼たちへ殺到し、数匹の狼をそのままポリゴンへと変えていきます。


 そこへ前衛であるクオンとヴァンさんも突撃し、私たちも後ろからサポートをすることでそのまま狼の群れの全てをポリゴンへと変えることが出来ました。


「よし、片付いたな」

「やっぱり前衛がいると楽でいいですね」

「そういえば、レアさんは基本ソロなんでしたっけ?」


 私がそう呟くと、ライトさんからそのように話しかけられました。


「はい。兄様やクオンとパーティを組んで一緒にやることはありますが、基本はソロでやろうと思っていますね」

「そうなんですね。ソロで大変じゃないんですか?僕は動くのが苦手なので、一人では出来ないのですけど…」

「昔からこういうVRゲームをやっていたので、それで慣れているのだと思いますね」

「なるほど…僕はこのゲームがVRゲームは初めてなのですよね」


 お父さんが誕生日プレゼントにこれを買って来てくれたんです、とライトさんは続けます。なるほど、初のVRゲームなら動き慣れないのは仕方ないですね。


「だから、後衛の魔法使い兼ヒーラーなのですね」

「そうなんですよ、これなら基本的に動かなくてもいいですしね。魔法に憧れもありましたし」

「そろそろいいか?」


 私とライトさんが喋っていると、クオンから声をかけられました。


「すみません、喋るのに夢中になってました」

「僕もすみません」

「いや、そこまで謝らなくていいぞ?」


 クオンは頭を下げて謝る私たちに苦笑をこぼしつつ、そう発します。


「じゃあ、続きといこうか」

「はい」


 そうして薬草や木の実などを採取しつつ森の中を再び歩き始めます。すると今度は大きめの鹿を発見しました。そしてそれを狙っている熊も一緒に察知しました。


「クオン、前方少し奥に鹿と、それを狙う熊を発見しました」

「別々のところに二匹か……苦戦はしないだろうし、逃がさないように三人と二人に別れて行ってみるか?」

「大丈夫だとは思うが、振り分けはどうする?」

「そうだな、前衛である俺とヴァンは別れるとして、後衛である三人はどうするか」

「なら、私は熊の方へ向かいますか?一度倒したこともあるので大丈夫だと思うので」

「じゃあ俺とレアで熊に、ヴァンとメアとライトで鹿を狩りに行くのでいいか?」

「私は大丈夫です」

「わたしも問題ないわ」

「僕もです」

「俺もオッケーだ」

「んじゃ、行くぞ」


 クオンがそう言うと、私とクオンの二人は三人と別れて獲物である熊を狙いに行きます。


 熊は鹿を隠れて見ているようなので、その視界に入らないようにしつつ、音を出さないよう気をつけながら移動します。


 私とクオンは熊の斜め後ろについて、そのまま戦闘準備をします。クオンも準備をしつつ、フレンドメッセージであちらの様子も確認しているみたいです。


 ちなみにフレンドメッセージやフレンドチャットとは、離れているフレンドとも電話やメッセージの交換のようなものが出来るシステムです。


「あちらも良いらしいから、狩るぞ」

「わかりました。なら先手は貰いますね」

「オッケー、いいぞ」


 そしてクオンはフレンドメッセージで了承を貰い、そう言いました。それに対して私は両手に銃を呼び出して右手の長銃を構え、熊の頭部へ武技の〈パワーショット〉を放ちます。


「ゴガアアッ!?」


 しかし周りを警戒していたからか、直前で気付いてギリギリで頭部へ迫る弾丸を躱しました。だが完全に躱しきることは出来なかったようで、弾丸は頬を掠めて背後の木々の中へと飛んでいきます。きっとソロの時に狩った時は、蜂蜜に夢中になっていたから躱されなかったのですね。現に今も躱されていますし。


「じゃあ前衛は任せますよ、クオン」

「ああ、任せとけ」


 そう言ってクオンは熊へと走り出します。それに対してこちらを捕捉した熊は、近づいてきたクオンへその両腕を振り下ろします。それを見たクオンはそれを難なく左に躱し、手に持つ片手剣を振り下ろされた右腕へと振るいます。今回は初期装備ではないからか、この前二人で戦った時と違ってしっかりと切れていますね。


 そして熊がクオンへと攻撃をする前に、私は覚えたばかりの〈クイックバレット〉を熊の右目へと放ちます。


「ガアアアッ!?」


 普段撃つよりも速い速度で弾丸をが飛び、しっかりと熊の右目へと命中しました。熊はその痛みで怯んでいるので、その隙にクオンが片手剣を振るって首を切り裂きます。血の代わりの赤いポリゴンが派手に撒き散らされて、熊はポリゴンとなって消えました。


「よし、倒せたな」

「お疲れ様です」


 やっぱりスキルのレベルやステータスも上がっているおかげで前よりも簡単に倒せました。それに武器の性能も上がっているのも関係しそうですね。


「あちらはどうなっているんでしょうか?」

「今聞いてみるか」


 クオンはフレンドメッセージを飛ばし、確認をしています。その間に私は採取した薬草たちの確認をします。実はこの前採取した時には取れなかった、魔草という物が少しですが取れたのです。鑑定してみると、薬草とは違いMPの回復効果を持つらしいです。三個しか取れませんでしたが、今度これでポーションを作ってみますか。


「あちらも狩れたようだ」

「それならよかったですね」


 アイテムの確認をしていると、クオンがそう言葉を発します。お互い上手く狩れたようですね。


「なら合流するか」

「そうですね」


 そうして合流し、また狩りへと向かいます。


 合流した後もさらに森の中を歩いていると、突然半透明でかなり大きめの蛇が襲って来ました。クオンは直前に殺気で気づいたのか、躱そうとしましたが僅かに遅く、そのまま腕に噛みつかれ引きづり倒されそうになります。


「ぐっ…!」

「クオン!?」


 メアさんが悲鳴をあげて動揺していますが、私はすぐに銃を構えて、蛇の頭蓋を正確に撃ち抜きます。するとその蛇は耐久は低かったのか、すぐにポリゴンとなって消えました。クオンはその衝撃で尻餅をついています。


「これは…毒か…!」

「ライト!状態異常を回復する魔法って覚えている!?」

「す、すみません、まだ覚えていないんです…!」

「あ、それなら私、自作の解毒ポーションを持っています」


 クオン以外の皆さんが慌てていますが、私がそう言うと少しは落ち着いたのか、静かになります。私はインベントリから解毒ポーションを取り出し、クオンへ渡して飲ませます。するとクオンのステータスに書いてあった毒状態がなくなりました。


「スッゲェ不味いな……まあそれはともかく、レア、ありがとな」

「いえいえ、作ったきりで忘れていたくらいですから、問題ありませんよ」


 そう言いつつクオンは立ち上がったので、その言葉に私はそう返しました。


「それにしても、自作って言ってたよな。もしかして【調合】スキルでも持っていたのか?」

「いいえ、私は【錬金】スキルで作りました」

「【錬金】か。それでも作れるんだな」

「それとさっき不味いって言ってましたけど、そんなになのですか?」


 私が問いかけると、青汁を何倍も濃縮したような物、とクオンは真顔で答えます。そ、それは確かに不味そうですね…


「よし、じゃあもう少し狩りを続けるか」

「だ、大丈夫なの?」

「ああ、単に継続ダメージを受けていただけだしな」


 そう言ってクオンは笑います。まあ序盤の毒ですし、そこまでヤバいものはないとは思いますしね。


「それにしても、まさか【気配察知】に反応しないとは思いませんでした」

「レアのスキルレベルを超えた【気配隠蔽】を持っていたんだろうな」


 そう、私のスキルには反応しなかったのです。明らかに普通の蛇ではなかったですし、なにか特殊な蛇だったのでしょうか。あ、ドロップアイテムを鑑定すれば少しはわかりますかね?

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