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102話 恋心

「…あ、それともう一つ聞きたいことがあったのでした」

「なんだ?俺が答えられることならいくらでも答えるぞ?」


 聞きたいことがもう一つあった私はそう声を漏らすと、クオンは手に持っていた串焼き肉を口にしながらもそう返してくれました。


 それなら、ちょっとそれについて聞いてみますか。


「じゃあ聞かせてもらいますが、私に出来ている親衛隊とはなんですか?」

「ブフッ!?」

「キャッ!?く、クオン!?」

「だ、大丈夫だ…」


 私の言葉を聞き、クオンは思わずといった様子で口に入れていた串焼き肉を吹き出してしまいました。


 吹き出された串焼き肉はすぐにポリゴンとなって消えましたが、クオンはすぐさま一息ついた後、私の疑問に言葉を返してきてくれました。


「…レアの親衛隊か、それは少し前から出来ていた時空姫親衛隊というスレのメンバーのことだな」

「な、何故私の親衛隊というものが出来たのでしょうか…?」


 別にそれがダメというわけではないですし、それのおかげで特に声をかけられないのかもしれませんが、それでも気になるものは気になります。


「あー、それは多分、レアの可愛さに魅入られたからじゃないか?」

「うーん、私の可愛さと言われても、特に自信はありませんが…」

「いや、レアは俺が今までの人生で見てきた人物の中でも圧倒的に可愛いぞ?サラサラとした雪のような白髪に宝石のような黄金の瞳。身長はかなり小さいが、それでもわかるスタイルの良さ。まさに、絶世の美少女といった見た目だし、性格も完璧だから皆が惚れるのも仕方ないさ」


 そ、そんな真剣そうな表情で褒め称えないでくださいよ…!そんな口説くように言われたら、クオンの顔を見れなくなってしまいます…!


 クオンの言葉に顔を真っ赤にして両手で顔を隠していた私ですが、それに対してクオンも、言葉にした後から自分が口説いているかのような言葉を発したのをわかったのか、私と同様に顔を赤く染めていましたが、それに気づくことがない私だったのでした。


「二人とも、そんなイチャイチャしてないでそろそろ攻略の続きにいかない?」

「あ、ああ、悪い」

「い、イチャイチャ…」


 私たちの様子をニヤニヤとしながら見ていた皆さんでしたが、メアさんの一声で私とクオンはハッとして、私は膝の上にいたクリアをすぐさま肩に移してから立ち上がり、そのまま皆で再びダンジョン攻略に向かいます。


 そ、それにしても、メアさんからはイチャイチャしてないでと言われましたが、どうしてもクオンの顔を思い浮かべてしまいます。


 あ、あんなに真剣そうに私を見つめて褒めてくれたクオンですが、クオンがあそこまで情熱的に褒め称えてくれたのは初めてだからか顔の熱が収まりません…!


「ねえねえレアちゃん」

「…な、なんですか、メアさん」


 未だに頬を赤く染めていた私ですが、微笑ましそうな感情とニヤニヤが合わさったようななんとも言えない表情をしつつ私に声をかけてきたメアさんは、私だけに聞こえるように私のケモ耳付近でコソッと話しかけてきます。


「レアちゃん、クオンのことが好きなんでしょ」

「にゃ、なぜそれを…!?」

「そんなの、レアちゃんの様子を見れば一目でわかるよ!あそこまでクオンに褒められて顔を赤くもしているし、ここまでの道中でもチラチラとクオンのことを見てたでしょ?」


 …え、それは初耳です…!?私、そんなクオンのことを見ていたのですか…!?で、ですが思い返せばそんなにも見てたかもしれません。それに、そこまで私の気持ちがバレバレなら、もしかしてクオンにもバレて…!?


「あ、クオンは多分そこまで把握はしてないと思うよ?」


 私の疑問が顔にでも出ていたのか、メアさんはそう返してくれました。う、うーん、それはなんだか残念なような良かったような…


 ま、まあまだバレていないのなら、クオンには秘密にしてくれるようお願いしないとです…!


「あ、大丈夫!もうクオン以外の皆は知っているだろうし、きちんと秘密にしておくから安心して!」


 …本当にバレバレなのですね。それなのにクオンは知っていないなんて、鈍感なのかなんなのか….…まあいいですけど。


 ですが、そこまで気づいていないのなら、いつか私の方から告白を…………む、無理!無理です!私からいきなり言うなんて、絶対に無理です…!クオンのことが好きだとはいえ、そんな私の思いを言うなんて、心臓が持ちません…!


 それにクオンも私のことをどう思っているかもわかりませんし、ま、まだこの気持ちは先送りにしておきます…!




「…ふぅ、とりあえず、メアさんたちには秘密にしてもらってますが、他の人にもバレているのでしょうか…」


 そうしてクオンとそのパーティメンバーの皆で遺跡タイプのダンジョンの攻略を進めていき、途中で転移ポイントの解放も済み、時間も良かったので今日の攻略はいったん終わりにして現実世界へと戻ってきました。


 今の時間はまだ五時半より少し前くらいなので、まだご飯の用意をするには早いです。


「…まあそれは一度おいときますか。とりあえず、六時半くらいまでは部屋で宿題でも進めておきましょう」


 私は未だにほんのりと頬を赤くしつつも、そう思考をしながらいつものストレッチを済ませます。


 そしてストレッチもしっかりと済ませた後は、教科書などを部屋に置いてあるローテーブルの上に取り出し、クッションに座りながら勉強を始めます。


 そこから黙々と時間になるまで宿題を進めていると、かけていたタイマーがなることで意識が戻ります。


「もう六時半ですか。なら、そろそろリビングに降りてご飯の用意でもしてきましょう」


 私は出していた勉強道具たちを全て片付け、その後に部屋を出てリビングへと向かいます。


 まだご飯の時間には早いからか、兄様は降りてきてはいないようでした。まあ料理を作り終わったころには降りてくるでしょうし、早速調理に取り掛かりますか。


「…音がすると思ったら、美幸だったか」

「あ、兄様!もう出来上がるので少しだけ待っていてください!」

「了解、なら他の物を出しておくな」

「ありがとうございます!」


 テキパキと進めていた調理が終わる頃に、兄様がリビングへと降りてき次第そう声をかけてきました。


 なので私は使っている手は止めずに言葉を返し、兄様にコップやお皿などの用意を任せます。


「…よし、出来ましたよ、兄様!」

「お、もうか」


 そこからはすぐにご飯が出来上がったので、兄様が出しておいてくれてお皿などに盛り付けたら用意は完了です。


 今日の夜ご飯はニンニクを効かせたポークチャップですので、夏バテが起きそうな今の季節には合っていると思うので簡単に食べられるでしょう。


 兄様もこういったお肉の料理は好きですし、多く食べるかな?とも思ったので結構な量を作りましたが、ちょっと多かったですかね…?


 ま、まあ残ったとしても明日のご飯にできますし、大丈夫ですね!


「では、いただきましょうか」

「ああ、いただきます」


 そんな思考をしつつも、私たちはそう言って料理を食べ始めます。


 うんうん、しっかりとしたニンニクの風味もありますし、ケチャップメインの味もきちんとするのでなかなか美味しく作れてますね!


「そういえば美幸、最近は大丈夫なのか?」

「んむ?」


 私が機嫌良さそうにお肉にかぶりついていると、ふと兄様からそのように聞かれました。


 兄様は少しだけ私を心配するかの様子ですが、別に悠斗との関係を悩んでいる以外は特に問題などはないですし、素直に答えますか。


「…特に心配されるようなことはないので大丈夫ですよ!」

「そうか」


 口の中のご飯や飲み込んだ後に私は兄様の言葉にそう返しましたが、兄様は僅かに心配そうな感情を漏らしてはいますが、私の言葉に納得したようで頷いています。


 まあ、私の心のうちの闇も悠斗が晴らしてくれましたし、これからも特に問題は起きないでしょう。すでにトラウマも本当に克服は出来ましたしね。


 そうした取り止めのない会話をしつつも私たちはご飯を食べ進め、同時に食べ終わったタイミングでいつも通り兄様に食器洗いなどは任せてわたしはお風呂などの諸々を済ませに行ってきます。




 そしてやることを終わらせてきた私は、すぐさま自分の部屋へ戻ってきました。


 今の時刻はすでに八時を超えていますが、とりあえずはいつもと同じように九時くらいまでは職人都市の北にある鉱山で採掘でもしてきましょうかね。


 最近はやってなかったのでスキルレベルもイマイチですしね。


「では、早速いきますか!」


 私はベッド横にあるサイドテーブルの上に置いていてヘッドギアを頭につけ、再びゲーム世界へとログインします。




 ログインしてすぐの場所は迷宮都市にある遺跡タイプのダンジョンのすぐ近くだったので、私はそこからすぐに転移ポイントである広場まで向かいます。


 その道中ではやはり視線は集まりますが、それでと声をかけてくることはありません。やはり親衛隊とやらのおかげなのでしょうかね?


「…まあそれはいいとして、さっさと鉱山まで向かいましょう」


 私は集まる視線を無視しつつ歩いていると迷宮都市の広場まで着いたので、すぐさま転移を行って職人都市まで移動します。


 そして転移が完了次第即座に北へと向かい、その足で鉱山へと歩いていきます。


 その道中で出てくるスライムやダンゴムシ、アリなどはスルーして歩くこと数十分。


 やっと鉱山まで着いたので、軽快な足取りでそのまま鉱山内を歩いていき、インベントリから取り出した鉄のツルハシを手に採掘をしていきます。


「あ…」


 ですが、そんな採掘をしている途中でバキッと何かが折れるような音がしたと思ったら、私の振るっていたツルハシが折れてポリゴンとなっていってしまいました。


「…ツルハシ、壊れてしまいましたね」


 そういえば、ツルハシがもう少しで壊れそうな状況でしたね。壊れてしまったものは仕方ないですし、時間もちょうどいいのでこの辺で街まで戻るとしましょうか。


 私は即座にそう考えて今いる鉱山から外に出て街まで戻り、街に着いたタイミングで現実世界には戻るためにログアウトをします。




 そしてそこから時間は飛び、悠斗パーティとダンジョン攻略してきた日からは特に目立ったこともなく日にちが過ぎていき、今日は第二回目のイベントである無人島サバイバルが始まる日、つまり土曜日です。


 このイベントではアリスさんとソフィアさん、ネーヴェさんと一緒に参加するため、私を含めた四人でパーティを組んで迷宮都市の広場に集まっています。


 え?それまでの日には何があったか、ですか?ふふん、それはですね、水曜日の日は次のイベントのためにとカムイさんに頼んでアリスさんと共に特訓をしたり、アオイさんに誘われて狩りに行ったりなどをしてました。


 木曜日はクオンとのダンジョン攻略の際に手に入れた機械のパーツや採掘して集めていた鉱石を使ったゴーレムをたくさん作り、クリアと一緒に狩りなどをしてスキルのレベル上げを。


 そして金曜日は、初期の街にある商業ギルドに寄ってから料理スキルのレベル上げもかねてたくさんの料理を作り、ついでに屋台として売ったりして小銭稼ぎ兼【料理】スキルのレベル上げをしていました。


 とまあ、そうしたことをしているとすぐにイベントの日である土曜日になったというわけなのですよ。


 それとその合間にレーナさんに頼んでいたワンピースの強化も終わり、すでにそれは受け取っていて今も着ているところです。今回のイベントではよく着ているゴスロリドレスではなく、こちらを使ってみることにしました。


 ちなみに、性能はこんな感じとなっています。


 ➖➖➖➖➖

 黒宝姫・暗夜 ランク B レア度 稀少(レア)

 DEF+35

 MND+27

 耐久度 100%


 ・暗闇の膜 暗いところにいると隠蔽系スキルの効果を上げる。

 ・隠れる影 察知系の能力をある程度無効化する。

 ・夜の姫 夜間の間は自身の全ステータスを強化する。


 様々な素材をを使って作られた漆黒のゴスロリワンピース。素材が持っていた隠蔽効果などを持っている。

 ➖➖➖➖➖

 ➖➖➖➖➖

 黒宝姫・夜陰 ランク B レア度 稀少(レア)

 DEF+26

 MND+20

 耐久度 100%


 ・暗闇の魔 暗いところにいると自身の装備全ての耐久度を回復する。

 ・暗転の繭 暗いところにいると自身の気配を察知しづらくする。

 ・夜の影 暗いところにいると自身の全ステータスを強化する。


 様々な素材をを使って作られた漆黒のゴスロリ風ニーハイソックス。装備の耐久を回復する効果などを持っている。

 ➖➖➖➖➖

 ➖➖➖➖➖

 黒宝姫・夜半 ランク B レア度 稀少(レア)

 DEF+28

 MND+20

 AGI+15

 耐久度 100%


 ・静かな闇 歩く時の音がなくなる。

 ・静寂の闇 自身の気配と魔力が感知しずらくなる。

 ・夜の魔 夜間の間は自身の出す全ての音がなくなる。


 様々な素材をを使って作られた漆黒の編み上げブーツ。素材が持っていた小音効果などを持っている。

 ➖➖➖➖➖


 このように名前も変わり、レア度についても上がっています。


 しかも性能もきちんと強化されつつ、新しいスキルも付与されているのでなかなか強くなっているのでとてもありがたいです!


 見た目に関しては特に前と変わっていないようで、漆黒色のゴスロリ風ワンピースとなっています。


 そして最後は、待ちかねである私の現在のステータスです!今の私のステータスはこのようになっています。


 ➖➖➖➖➖

 名前 レア

 種族 狼人族

 性別 女

 スキル

【双銃Lv22】【鑑定士Lv13】【錬金術Lv17】【採取士Lv16】【気配感知Lv21】【隠密Lv20】【鷹の目Lv20】【ATK上昇+Lv22】【AGI上昇+Lv22】【DEX上昇+Lv22】【体術Lv56】【気配希釈Lv20】【採掘士Lv8】【INT上昇+Lv19】【第六感Lv18】【飛躍Lv8】【夜目Lv46】【言語学Lv25】【魔力制御Lv17】【魔力感知Lv12】【魔力希釈Lv10】【MP上昇+Lv8】【HP自動回復+Lv7】【MP自動回復+Lv7】【栽培Lv3】【調教Lv23】【STR上昇+Lv2】【料理Lv18】【細剣Lv5】【短剣Lv1】【生活魔法】【水泳Lv7】【闇魔法Lv15】

 ユニークスキル

時空の姫(クロノス・プリンセス)

 EXスキル

【心力解放】【???の兆し】

 所持SP 53

 称号

 〈東の森のボスを倒し者〉

 〈時空神の祝福〉

 〈第一回バトルフェス準優勝〉

 〈深森の興味〉

 〈西の湿地のボスを倒し者〉

 〈火霊旅騎士の魔印〉

 〈時駆ける少女〉

 〈蟲惑の暗殺者の弟子〉

 〈南の平原のボスを倒し者〉

 〈北の山のボスを倒し者〉

 〈人業のお気に入り〉

 〈世喰の玩具〉

 ➖➖➖➖➖


 これまでの経験で全てのスキルが満遍なく上がり、かなり成長したのがわかります。


 確認することはスキルの武技とアーツに称号、そしてEXスキルというものです。


 まずは武技ですが、銃はレベル二十で〈ムーブバレット〉という対象を追尾する弾丸を放つ技を、【刀剣】スキルは今までにも使ってきた〈スピードスラッシュ〉と〈デルタスラッシュ〉。


 【細剣】は同じく前に使ったことのある〈パワースラスト〉とレベル五で覚えた高速で三連続の突きを放つ〈トリプルスラスト〉、そして【短剣】はレベル一で覚えた〈パワースラッシュ〉でした。


 これからはロールプレイ時などの剣を使う時に使う機会があると思うので、少しだけ意識しておきますか。


 次はアーツですが、唯一覚えた【料理】スキルはレベル十で〈食材の目〉というアーツを覚え、使用すると食べられる食材がわかるようになるという効果なので、今回のイベントでは大活躍しそうですね。


 続いて【闇魔法】はレベル五で矢を飛ばす〈ダークアロー〉、レベル十で盾を出現させる〈ダークシールド〉、最後にレベル十五で暗いところが見えるようになる〈ナイトビジョン〉を覚えました。


 これらは細剣と同様にシスター服の時に使うでしょうし、しっかりと覚えておきましょう。


 ➖➖➖➖➖

 〈世喰の玩具〉

 世喰の興味を特に引き、遊び相手として見定められた者に与えられる称号。料理を食べた時のバフを強化し、不思議の力が獲得者に宿る効果がある。

 ➖➖➖➖➖


 そして称号である〈世喰の玩具〉はこんな説明で、前にも獲得した〈深森の興味〉と〈人業のお気に入り〉と似たような説明となっており、この称号では料理を食べた時のバフを強化する効果があるみたいです。


 それにこの称号にも不思議な力が宿るとも書いてありますが、未だにそれについては情報がないので相変わらず放置ですね。

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