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「監督ー」
「よクローンアイドル」
「そんな軽口言ってくれるの監督だけだよ」
信也連れて映画の相談。
「映画作ろー、クローンの、クローンによる、クローンのため映画」
「リンカーンかよ」
「宣伝文句があると良いじゃない」
「どんな映画だ?」
クローンはまだ社会には認知されず存在だけする社会。一人のアイドルが、自分とそっくりな子と出会い多忙を軽減するため度々入れ替わる。ただすべてにおいて彼女の方が優れていたため、彼女のレベルで様々な事が期待されるがこなせず、やがてやる気をなくして、事務所が認めて入れ替わったまま別の人生を歩む話。
「これ没な」
「ええ面白いと思うけど」
「だから駄目なんだよ、これ主人公クローンについて知ったらどう思う?」
「ああ否定する…」
「誰かいつか作るかもしれないが、今お前が創るのは良くない」
「私が否定的な思いを持ってると思われるのはアウトか。なんだクリエイター皆地獄変かと」
「芥川か少なくとも俺はそうじゃないな」
信也「地獄変って?」
胡桃「ええ知らないの…、前から思ってるけど、信也って映像作品は良く見てるのに、物語そのものにうちに比べると興味が薄い」
監督「一般常識レベルじゃないのか」
胡桃「馬鹿じゃないけど、うちのせいでまともな青春時代送ってないから知識が偏ってるんだよね…」
信也「かわいそうな子扱い」
「いやお前そうなんだよ」
それじゃって事で違う話を没になると思ってなかったけど、念のためいくつか考えてある。
巴御前の遺体が発見されたという設定。実際見つかるのかわからん…。そういう世界で偉人のクローンを作ろうってプロジェクトを政府が秘密裏に開始する。ちょっとファンタジーなのは笑って許してもらう。巴御前クローンの主人公のうちが、期待されたように育たなくて政府の人がいろいろ残念になる話。
この末端の調査員が信也。重要なのか?と言われると子供のころから接してるのになぜか容姿が変わらないためクローンじゃないか?ってうちが疑っている。まあ小ネタみたいな設定。ただこの主人公運動神経は良い。だから遺伝の影響はあった可能性はある。
容姿は良い。そういう伝説があるのを利用してる。実際はノーコメント細部はいろいろファンタジーなので。最終的に女優になって大河で巴御前役落っこちる話。クローンは世間では知られてないためあまりメリットになってない。
そもそもこのプロジェクト偉人復活が目的じゃない。トップがしれっと国の金使って趣味をぶっこんできただけで、クローンがどう社会に影響を及ぼすかの事前調査。他にもいるらしいが、その人死体あったか?ってとんでもクローン多々あり。信長さんはさすがに笑う。まあどこかの寺にひそかに埋葬とか眉唾物の伝説がある。
それまにうけて信長さんも候補になる。結局皆微妙な人生送ってる。なんとか信長さんを自衛隊に誘い込むか政治家という話が出てるようだ、調査員がぺらぺら話してくれた。子供のころからやり取りしてるので、かなり口が軽くなっている。10年前からずっと会ってるけど、どうみても20代だよね?
最終的に大きな影響を与えないと判断されてクローンの存在が本人については秘匿したまま公表されて終わる。
試写会
「監督、うちはあれ巴御前役勝ち取っても良かったのに何故?」
「合戦シーンとか期待されると困るんだよ」
「うわー確かに期待したほどスポンサー持ってこれなかったけど、低予算って程じゃないんだよ。もうね工夫と言うより貧乏性…。内容はこれ良いね」
「だろークローンに否定的じゃなくて、無暗にクローンに期待する世間に否定的になってる。180度ぐらい没案と違う」
「もう優しいな、信也の次に好きだよー」
「その言い方引っかかるなー」
「信也これ雑な配役なのにはまり役だな…」
信也「ええそう?」
「10年は立ってるが容姿変わらんっておかしいだろ。だからクローンだったり、別人だったのでは?って考えもできるわけだ。情報は共有してるだろうからね。それを納得させる微妙なお前のモブ感が良く出てる」
「僕は雑な配役だと思ってないんだよね。この調査員なにげに主人公と一番映画に出てない?」
「言われてみると地味なくせにうちとの出演時間長いな。信長さん出すべきなんだろうがあの人いろいろ絵が残ってるからな、つい調査員との雑談で終わった。ほんとぺらぺら話すよな」
「くるみんの発案なので…」
「そうだね、別に出演時間長くする計画ではない、いろいろファンタジーだが、調査員との雑談に無理を詰め込んだ」
映画は話題性もありそれなりにヒットした。ただこの映画やらたらと真面目に評価してくれる人が多かった。うちが創ったうちの主演が重要なようだ。それゆえメッセージ性とかいろいろ語ってくれた。まあ的外れではない。ただそれ面白いんか?とは思うけどね。メッセージ性は目的じゃない、裏にぶっこんでおいただけだ。目的はうちと言うクローンが出てるクローン映画を楽しんでほしい。
この流れに乗ってうちも映画へのコメントを以前考えていた台詞でしておいた。
(私のクローンに対する社会に対する思いが詰まっています。おそらくすぐ考えつく利用法は偉人の復活じゃないか?と思って作りました。主演をやりたいので無理やり巴御前にしたのですが、様々な評価を読んで私の思いは伝わっているようです。容姿はクローンによってある程度再現できますが、皆が思う偉人への期待はクローン出来ないって自らの体験から作りました。
大活躍出来てるのでは?と疑問に思われる方もいるでしょうが、それは結果論です。途中経過はクローンだと知らなかった時、いろいろとおばあちゃんと時代も中身が違うと痛感し成長して今に至ります)
決め台詞なんとかぶちこめた。もっと突発的に出た感が演出したかったな。
世はクローン時代、ってまあいろいろ作られた。こりゃひどいと思った漫画が、クローンの5人の美少女とラブコメ。設定は全く違うが、これ根本的には以前アニメ化された5つ子の漫画と変わらんのじゃない?ある意味うちが生きやすくしてくれる応援作品みたいなものだ。
ちゃんと練りこまないと双生児を扱った作品とほぼ面白さのツボが変わらない。裏を返せば未知の怪物感があるクローンがあまり昔からいる双生児と変わらないのじゃない?って親近感に繋がってくれる。ヒットするのか?分からないがうちはこれ駄作認定だ。
世間は完全に沈静化したけど、創作物にその影響が強く出てきた。クローンって絵が退屈なので漫画では強い素材にならないけど、実写は逆に非現実的な話を高い絵を作らずに作れるので引っ張りだこに。うちもこの流れに乗ったんだけど、よく考えたら肝心の歌でやってないと気が付いて。
作詞うち、作曲桃姉のお金儲けうはうはのアイドル色まるだしの新曲クローンアイドルを送り出す。はっきり言うと作詞てこずった。有料配信ではほとんど使ってないので、自信満々だったくせにちょっとビビってた。映画とかの原案としての物語ならぽんぽん飛び出すけど、詞はまるで違うなと改めて。
いくつかフレーズは面白いが、全体がプロが創ったものに比べてどうも引っかかる。難航したけどまあ良いやとなった。うちが創作に重視する邪道哲学の王道のどんな内容に対して、作る人誰が創った?中身の登場人物、誰を描いた。このすべてが詰まった歌なので多分いけると。
桃姉の方も改めてプロはすごいなと。元々アイドルソングは任せていたので慣れてない。そのうえどうもよせちゃってる感が出る。多くの提供してくれる作曲家さんも元ミュージシャン自分の色があるのにアイドルソングに寄せてくれてる。ただ桃姉独自の色が出すぎて、うちが目指した元の作曲家さんの色が強いアイドルソングになった。
ただそれをうちが歌唱で加工した。決して悪くないそんな歌になったので、うちの重視する3原則が守られてるので、誰が作曲でも売れるーって姿勢で行ってしまった。まあ話題性もあり他のクローンものとは違う本人による本物志向で売れに売れた。アイドルの枠を超えて文句なしのNO1に。年間TOPは分からないが。今年を代表する話題とリンクした歌になったのは間違いない。
リトシスが後で歌っても良いからこれ遺産になったかも。いやうちと桃姉にお金はいるので年金?なんて考えたりして日々が過ぎて行った。
間違いなくうちの求める台風だが、どうも違和感があった。巨大アイドルグループ組んだ時とよく似ているうちが巻き起こしたものなのに乗っ取られてるのだ。一人歩き?こんな感じ。元々制御できるものじゃないし、する気もない。ただなんというかこれも台風が2個合体して別のエネルギーで動いてるやつが主軸なんだ。
しかもこのクローン旋風の中にいて疲れたため、また頑張って祭りについて考える気力がしばらく削がれてしまった。こんな騒動の後よしもう一度なんて簡単に立ち上がれるほどうちは超人ではない。
あっちを向いてもこっちを向いてもクローンクローン。と言いつつ気にしていろいろ見てた。ある時ラノベにもクローンをネタにしたものが出ていて表紙を見てイラストみよちんってあって、どこぞのネット絵師かとスルーしようとしてて、あれ?って気が付いた。
これまさか…。見るとタッチがみよちんの漫画のキャラデザにちょっと似てる。本人忙しいのか前よりは事務所に来てないので来た時聞くかと。数日後、
「みよちんラノベにも手出してるの?」
「ええあああれ見た?そうだねなんか断り入れるべきだったかな」
「いやいらないよ」
「特別な依頼、ラノベにはあれ以外やってない。3足の草鞋とか私死ぬよ…」
「クローンネタだから?」
「うん」
「いやーみよちんにまで波及するともう笑いが止まらないよ。うちとにかくうんざりしてて、割り切って金儲け頑張ってて、みよちんもそれで得をしたなら良い事だ」
うちが創ったもの以外クローンものはあまり創作に影響を与えず流行りものとして下火になっていく。なんというか盛大な一人勝ちになった。それによって創作物への影響も沈静化した。後は科学界、これはブラッドおじさんが一手に影響を引き受けていた。
継続してる研究以外に以前からクローンに関する規制や倫理などの会議に呼ばれていたがその頻度が激しくなり、どうなるか?と思ったがこれが一番の科学者としての罰のようだと愚痴をこぼしていた。ここは当分収まりそうにない。ただうちら家族のDNA鑑定にはうちが拒否反応を示してるため慎重に対応してくれてるようだった。まあすでに証拠はないが世間ではクローンだと認知されてしまってるのだが…。
うちは反対してるわけじゃなくて、興味本位で知りたい人間に漏れないなら別に協力しても良いのだが、科学界と言ってもその信用がな…。眉唾物だが、知能より好奇心に関する遺伝子が科学者は発達してるとか聞いた事がある。興味本位でいじくられるのは本当にいやだ。
創作のクローン熱は下火になったが、うちらのHP動画などの閲覧数は以前の状態に戻らなかった。一時的な勢いは間違いないが、何割かは固定客になってくれたようだ。瞬間的にも総どりして、長期的にもファンがついて、おどおどしてたクローン騒動終わってみれば金儲けにもつながって大儲けになった。
瞬間的には圧倒したが、固定客を増やしたがいつもの位置に降りてきてアイドルとしてはまた帝国の中に埋没する中堅アイドルに戻ってしまった。だが1つだけ良い事もある。この騒動でリトシスもおこぼれをもらって固定客を増やしていた。長い序列のランキングには再生数が入ってくるようになった。
ちょっとだけ巨大帝国の真似ができたとほくそえんでいた。まあ世代交代のため作ったので、帝国の並列思想とは全く違うのだが。直系思想も含んでるから帝国は面倒な敵だ。
桃子「思うんだけど、私たちのキャラを見せるってのが多くの動画の目的だよね?もう胡桃ちゃんってそういうの通り超えてない?」
「桃姉邪魔だというのー」
「いや純粋にだよ」
「確かに露出が多いししゃべりまくってるうちは意味合いが違うかも。その点はシンプルな露出による刺激と見ていいよ。ただ露出は多いけど演技による檸檬とかはかなり違うと思うよ。特例としてうちだけじゃないかな?その問題」
「確かに」
胡桃「ただうちも全く気が付かなかったよ。いろいろ言ってる本人は全く意味合いが違うって説得力ないなーって」
「まあ子供のころから意識してやってるから、当時の胡桃ちゃんは認知度も露出も少なかったので説得力自体はあるよ。今から思うと変な子だよね」
「ブラッドおじさんの影響が大きい。あの人どこまで考えていたか分からないけど、うちにアイドルを強制しないようにって親族皆に伝えていたけど、当初の趣味のアイドル史に対するうちへの薫陶がなければうちはまるで違っていたと思う。なんで今時の10代の女の子がおに〇ん子を熟知してるのか…」
「いやあのグループだと知ってるんじゃない?」
「偉大な皇帝の過去の功績を讃えてるか…、まああそこそういう統制全く感じないけどね。おに〇ん子知らない子ごろごろいそう…」




