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「ねえママー」
「何あんた?」
「たまには良いじゃん、檸檬って実は不評でしょ」
「うちの子ちょっとわがままな所あるけど、おおむねそこらにいるガキと変わらないと思ってたけど妹をそんな風に言うなんて…」
「ああもう失敗してほしいとかじゃないよ」
「じゃ何?」
「正当な評価が聞きたい」
「胡桃は変な事ばかり覚えてくるよね微妙に使い方違うような気がしてしまうのが、うーんってなるけど、言いたい事は分かるんだよね。何が不満なの?」
「それだと失敗してほしいって聞こえるじゃない」
「違うの?」
「いやもうそこは明らかにせずにいろいろ教えて」
「あの子が演技力あるのは分かってるでしょ?」
「いやそのほらあの子わざとらしいでしょ?」
「どこが?」
「言葉が違う、嘘くさいでしょ?」
「ああなるほどね、そこか、子供なんだからそこまで求めてないよ。根本的には演技は嘘なんだよ。普段と違うって言いたいんでしょ?そしてそれが隠しきれてないと」
「そうそれー」
「それ私でも完璧と思ったことなんて無いよ?それをあの子の年でやられたら私が自信なくす。何か問題?」
「ううママーうちも仕事ほちいー」
「檸檬がもっと売れたらセットならいいわよ」
「檸檬頼みか…」
「そうじゃないとコネが酷い。私が仕事出来る限りあけて現場見に行ってるのって、ごり押しの念押しよ」
「ママからそんな言葉聞くなんて」
「元天才子役と言われた私は間違いなく子役としてはとびぬけた存在だったの、その私のごり押しよ?でもね、女優としてはそんな風には見られてないの、あなたをごり押すにはそれが必要なの」
「便秘のうんこが先でないとダメか」
「胡桃ー妹をうんこにたとえちゃ駄目でしょ」
「3人の時は言ってるもん-」
「あんたは使いにくいのよ…」
「ううそれおばあちゃんから勝手に想像してる」
「ああごめん確かにそれってつらいわね。でも未知なものごり押すのはもっと難しいよ?」
「母さんって檸檬みたい…」
「私は胡桃大好きだけど、似てるのは確かに檸檬ね…」
「大好きと言えばごまかせると思ってー」
「まあお兄ちゃんもそんな癖あったかな。でねあなたは良い演技ってどんなだと思う?」
「すごいって演技?」
「なんか子供っぽく見えるけど、意外とかっこいい。あなたのおばあさんってそうなのよね。でもね誰にでも納得できて明快なものってあるのよ。ファン同士でいい演技を話してて、これが駄目あれも駄目と話してて、いやいやこういう時はすごいからって反論がちょいちょいあるの。ああこれだなアウトって私は開眼したわけ」
「長い経験の中で私も納得できる演技の言語化が出来たのよ」
「ネットの書き込みのエゴサでは?」
「どこで覚えてきた言葉か知らないけど、胡桃っていつも檸檬に言い負かされるけど、その手数はすごいわね。まあその通りだけど、それも長い経験やってきたのよ。あなたのおばあさんは、典型的なこーしたらすごい、この場合は力が発揮されないって水の中にいる時は無敵の魚みたいなの」
「まだ見てもないのに、陸の上でアタフタになると?」
「だから見てもない未知ならもっと押せないから…、ママの事があるからまだ頑張ってあなたを使える場合を考えてるのよ。まあ分からないならママの演技見ておきなさい。まずはそこから」
「ええ低予算多いし、つまらない映画やちょい役のドラマしかないからな…」
「檸檬もだけど、あなたもそうよ」
「マジで?」
「おおマジで、たまに分からなくなるけど、胡桃って普通に無知な子供よね。ママもこうだったのかしら?」
「見てもない脳内母親とうちを比べないでー」
「ああお兄ちゃんから聞いてると普段が特にすごく似てると言われるから。ごめんねこれはほんと私が悪い。でも出たいならママの映像作品見ておくこと」
「はーい」
頑張れ私第3の導火線。あれ??そうそう導線。いや導火線もありだな、これ今度檸檬に言ってみるか忘れそだけど。
おばあちゃんの作品全部見た。早い?一応アイドルだからね、CMは抜きにしたら、すぐ見終わるつらかったのは、やっぱり詰まらん…。大人向け?それもあるしとにかく低予算ってなんでホラーばかり多いんだ?うちあんまり怖いの好きじゃないんだ。
とても重要な事に気が付いた。意外と母さんって抜けてる驚いた。これうちできひんわ。年齢が違いすぎる、そしてその魅力をふんだんにばあちゃんは出してる。何故気が付かない?あれれ檸檬も見てるよな。あああいつは批判しかしてなかったわ。
ただオールアウトではない。一部今の年でもできる。これはさすがにあーだこーだ注文つける下手演技と言わせないぞ。