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私は元子役の役者として復帰した。当然最初は仕事なんてない。だが、じわじわ増えてくるとやはり聞かれる。何故引退していたのか?ただ引っ張るだけ引っ張って誤魔化した。私がくるみの娘なので病気説が一番多かった。でもお兄ちゃんがこんな事無視してクローンなんて計画するわけがない。
あれは遺伝病ではないらしい、運が悪かった本当にそれしか言いようがないと話していた。私はそもそも同一の遺伝子じゃ無いし、お兄ちゃんもそうだ。だが胡桃は違う。だから不安ではあった。なぜすぐに言ってくれなかったの?ってお兄ちゃんを問い詰めたら、じゃ絶対にならないと保証をしなくちゃいけないだろ?って言われた。
それにこれが一番大事だけど、将来ママと会えるわけじゃないぞ?ってくぎを刺された。環境がものすごく大事だから。お兄ちゃんは瓜二つのママを作るような事は絶対しないって言ってた。本人の自由意思であの子は多分魅力的なアイドルになる。って言ってた。
私は画面の中のママしかしらない。だから怖くなった。何かわざとらしい縛りのようにあの子を育てるのは絶対にやめよう。お兄ちゃんは世間で自分が気持ち悪いと思われることをしてると自覚はあると言ってた。最大の部分をやってしまったので後はもう大枠だけで後は流れに任せると覚悟したと話していた。
後何年かしてあの子たちを私に関わらせる事になったら発表しよう。
ある日お兄ちゃんがあの子たちについて話してきた。だが聞いてると疑問が湧いた。
「ねえそれ嫌がっていた事じゃない?」
「いや雁字搦めでやらせるわけじゃない。計画はするがあの子たちと野薔薇が相談しながらやって行けば良い」
「それでも変じゃない?」
「ごめん焦ってる。これからちょくちょく話せなくなるかなと思って」
「なんで?」
「かなり先になるかもしれないけど、結婚してここを出て行こうかなと思って…」
私は固まってしまった。
「なんとなく言葉にするのが嫌で避けてきたけどお兄ちゃん私の事好きなの?」
「好きだよ」
「じゃ何故結婚なの?」
「いやその返し何故?いつもならキモーとかじゃないの?」
「私も嫌いじゃないから…」
「え兄以上で見てたの?」
「それはその私達特殊な家庭だからね」
「秘密があるから?」
「それが要因じゃないけど、あるのは確か。ただそれをそのまま進めるとあの子たちがどうなるの?」
「うん、僕はそこで引き返せない。だから結婚しようかと」
「そうか、私はそこで引き返せるから。ごめんねお兄ちゃん」
「いや良いよ僕もあまり考えると母さんが悪いんだってつい言ってしまいたくなる。でもそれ本気で言いたくない」
「うん止めよ私はママ否定しないよ」
「僕こそ後免。たださ悪い連鎖止めるとかそんな気全くないからね?相手の子かなり特殊なんだ」
「ちょっと複雑な気分」
「いや聞いたら逆に楽になると思うよ。本人には知らせてないけど多分僕の姉さん」
「はあああ???」
嫉妬心がないと言えば嘘になる。それぐらいは好きである。だがなんとなく楽になると言うのが分かった。
「僕は以前からかなり優秀な種馬の親父は多分同じ研究者だと思うし、子供が同じように研究者になる可能性を考えていた。それで彼女と僕のDNA検査してしまってね。姉だと判明した」
「なんで黙ってるの?」
「怒ってる?」
「おかしいよ」
「だって知ってしまったら彼女別れようとするかもしれないじゃないか。引き返せないところまで来たら言っても良いかなと」
「ちょっとそれ大丈夫?」
「良いよそれで別れようと言うならさすがに僕も諦める。ただ家族ぐるみで付き合いするからなーーー、これで縁が切れたなんて思わないでくれよ」
焦りの原因が分かったので最初の話を話すことにした。
「ええーとさ、チャイドルって知ってる?」
「一応知ってる」
「野薔薇ってもしかして、母さんのファンだけどドルオタではない?」
「うん」
「ああだからか謎が解けたなんでアイドルやらないんだ?って思ってた」
「ああそれは違うよ、私その時期逃したから」
「ああそうか」
「後悔はしてないよ」
「ちなみに僕はドルオタじゃないぞ?アイドルの歴史オタで歴オタだ」
「何が違うの?」
「知的興味だ。これでも一応研究者だからな。大体研究者ってオタっぽいからな。まあそれは良い、僕もまだ生まれてなかった母さんが子供のころぐらいの時代そういうのがあったんだ。今なんかなくなっただよね。でもさ、母さんもそのあたりボーダーなんだけど、それなりに有名な女優さんとか子供のころチャイドルとかやってたのあるんだぞ?」
「そうなんだ」
「うん、まあそのあたりで完全消滅だな。子供じゃなくて今なら若いころアイドルだった女優さんならちょろちょろいるだろ?」
「まあ居るね」
「だがね、グループでやってると年齢差があるわけだよ。若い子だけ集めて別ユニットにするとチャイドルと変わらないんだよな。ちょっと古いがモーニ〇グ娘初期のころミニモニってのがいてさ、お姉さんもいるけど、若い子だけならまじでチャイドルと変わらない」
「ママの世代?」
「ちょい前だな、母さんはその後の地方アイドル地下アイドル時代の人だからな」
「上洛?」
「まあ地下の場合同じ東京だから違うけど、そんな感じ、下剋上?インディーズから上がってくるってバンドみたいな感じだよな。ああ母さんの話は良い。でチャイドルならもう数年したらあの子たち売り出せない?って思ったんだ。どーせ檸檬だけ子役で売り出そうと思ってただろ?」
「うん、あの子は才能あるね」
「金髪碧眼はどうする?」
「目はそこまでブルーアイズじゃないし、髪なんて染めればいいんだよ。お兄ちゃん顔のせいで多分その発想無いでしょ?」
「うん僕は染めてもアラブ人かラテン人にしか見え無いからな…、そう考えるとあの子の髪って武器だな。漫画アニメの実写化多分すごい強いぞ。金髪だけど外人に見えないって設定だけの外人ハーフキャラってすごい多いんだよな。あの子ってそのイメージにぴったりだな」
「そういう枠があったら一人勝ちだね」
「だからそれだけやると、胡桃がすねるから」
「ああそうかも、お兄ちゃん胡桃の事詳しすぎ」
「一緒に暮らしてるし、母さんの遺伝子強すぎるわ。僕の知らない経験ですごく変わったところもあると思うし、何より病気が性格大きく変えただろうな。でもさほんと遺伝子と言いたくなるような根っこと言うかすごく母さんだって所があるんだよな」
「なんかすごく悔しい」
「母さん裏表のないアイドルってわけじゃないが、すごく自分の性格上手く使ってた。あれはほんとアイドルのDNAだと思うよ」
「ああそれもあるんだ、だから自由にさせよっていうんだね?」
「そそ、機会は与えてやらないといけない。細かいあーしろこーしろは一切しない。あの子は勝手に機会と場所さえ与えればアイドルになっていく。ただそれだけじゃない、桃子ちゃん引き込もう」
「ああ桃子ちゃん可愛いね」
「なんだ野薔薇さん反対ですか?なんか反応弱いじゃない」
「いや可愛いと思ってるよ。母さん可愛いもん」
「お前器用だよな、僕はもう母さんと言えない、社長奥さん若すぎるんだよ」
「ママと母さん使い分けてるからねー、父さんを社長って言うのもね…」
「僕はさここに遊びにはずっと来てたけど、後から引き取られたんだよ。だからそれまでの関係性があるから無理だよ。で、彩乃さんも元アイドルでしょ?」
「うん」
「商品に手を出すとは…」
「そういう人いるでしょ?」
「んまーきちんと分けてる人もいるが、手を出す人も無視できないぐらい入る。であの子もDNAの持ち主だ」
「可愛くないわけじゃないんだよ。ただ私の嗅覚がうーんってなる」
「アイドルユニットなんてそんなものだよ。後僕が二人の妊活手伝ったんだ。昔は僕ら育ててるから避けてるのかな?って思ってたけど、それっていやじゃない?」
「うんうん」
「子供がたまたま出来なかったんだよね。だからこそ僕らかわいがってくれたのもある。でも年食ってできた子だし可愛いだろ。ほぼ桃子ちゃん二人の姉同然だ。姉妹ユニットでのけ者だめしょ?」
「そうだね、ただ後で苦労するだろうな」
「良いんだよ社長夫妻が一番知ってるだろ。アイドルのその後なんて基本駄目なのが当たり前なんだからちゃんとケアするだろ。それにさそれ言うならうちの胡桃ちゃんどうなの?」
「私は分からないよ。どーせママとの生活からでしょ?」
「うんあの人はアイドル以外微妙だからな…、アイドルとして擦り切れるまでやれなかったというのもあるが、じゃ擦り切れた後何するの?と言うと苦しいよな」
「演技は多分駄目」
「なんで映画とか出て評判もいいじゃない?」
「あれはさ、くるみとしての見せ方が良いからだよ。悪い意味で高倉健さんだよ」
「演じ分けが難しい?」
「うん多分駄目だとは思う。起用側が試してないから分からないけど、本物を見ちゃうとね」
「檸檬は野薔薇さん2世ですか?」
「私と違うように、いろんな活動させるつもりだから、若いころにすでに私を超えてくれるといいね。と言うかその話だよ。檸檬からと思ってたけど、胡桃もなら、子供がいるの発表しないとね」
「ああタイミングは大事にしてよ。まだ僕は野薔薇さん過去の人なので」
「ええお兄ちゃんちゃんと見てる?」
「うん、子役全盛期はこんなものじゃなかったので、やっと今あの人元子役の人じゃないって浸透が終わったばかり、それじゃ駄目、野薔薇ローズさんが過去みたいに売れてきたって確信できないとね。すごい話題性ある内容でも、誰が言うか?で全然違うからね」
「お兄ちゃんって忙しいのじゃないの?私のエゴサしまくってない?私あまりしてないよ?お兄ちゃんがなんか選別した情報くれるから…」
「僕のとても大切な息抜きだよ」
「お兄ちゃんってアウトゾーンのシスコンだと思ってたけど、マザコンだね…」
「母さん僕といる時活動辞めてたからね。過去の活動じゃなくて今の活動に飢えてたんだよ」
なんだかいろいろ決まったが、肝心のユニット名お兄ちゃんが提案してきた。
「ミラクルシスターズ駄目?」
「うわださー」
「分かってないな、確実に売れるぞって思うならありきたりなほうが良いんだよ。裏を返せれば誰でも知ってる安直な言葉だからね。後ミラシスとごり押ししなさい…」
「ああそれ確かに悪くないね」
「いやこの手の短縮って公式が定着しないとかなり問題なんだよね…、本来は自然にファンから出てくるものだから。今回短縮前がダサくてね」
「なら何故その名前」
「考えすぎてパンクした…」
ああ確かにそういうのあるね…。後数年って言うの確かに正しいな、子供たちもまだ小さいや。それに桃子ちゃんの事二人に話さないとな。