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迷いとは立ち止まらず歩き続けている証拠である2

荒れ狂った波が穏やかになったのは、俺の意識が朦朧とし始めた頃だった。


闇色だった水はエメラルド色に変わっている。


意識はそのエメラルド色に変わった瞬間に覚醒していた。


水中の中だというのに・・・呼吸をしている。


俺、いつの間に人間辞めたんだ?


先程の恐怖心はどこへやら・・・いや、寧ろ居心地が良い。


(ああ。一生ここに居ても良いなぁ)


しかし「安全か?」と聞かれればそうではない。


辺りには魚のシルエットをした黒い影が悠揚(ゆうよう)と泳いでいる。


時には俺の数十倍もの大きさをした影も居る。


見つかったら俺は喰われるのだろうと直感する。


だから俺は、そんな彼らに見つからない様、即刻尻尾を巻いて逃げられる様、機器察知アンテナを常に張り巡らせているのだ。


(本能が・・・本能がそうしろと叫んでいる・・・!)


俺はこの瞬間、幸せを感じた。


(今、自分は生きている)


『生』を実感出来ているから、ね。


けれどそれが言えるのは、今が温和な状況下にあるからだ。


ゆったりした時間も束の間。


不意に小魚のシルエットをした影が落ち着きのない様子で素早く移動を始めた。


平和は人をボケさせる。


本能が語っていたじゃないか。


危機管理。


どこへ行ったしまったの危機管理。


怠惰()本能(意思)が厳かにされた・・・!


幸福の悟りが警戒心を怠けさせる。


つまり一瞬気が抜けていた。


その一瞬がここでは命取り。


(人間だったらどれだけ胡坐をかいても許されるのに・・・)


俺は人ではない。


巨大な影が俺を補足した。


俺はくるっと影から背を向け、泳ぎ出す。


影の大きさは俺の数百倍はあるだろう。


俺みたいな小さな生き物がいくら逃げても大きな生き物にとってはただの一歩だ。


口を開けばもう口の中。


パクっと閉じてしまえば逃げ道はなくなる。


俺の人生・・・刺激的ッ!!


てか、過激っ!?


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