表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最も嫌われている最凶の悪役に転生《コミカライズ連載》  作者: 灰色の鼠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/194

第27話 聞く耳をもたない勇者様

 英傑の騎士団本部の外には、闘技場のような建物があった。

 手枷を付けられた状態でそこまで連れていかれた俺は、会場で待ち構える見覚えのある団員たちに睨まれる。


 かつて俺が主人公として信頼を寄せていた仲間たちだった。

 だが、今の俺はロベリア――悪役だ。


「ここ数か月、音沙汰がなかったから何を企んでいたのかは知り得なかったが、まさか俺の大切な仲間にあんなマネをするとはな」


 待ち構えていたのは、地面に剣を突き立てている勇者ラインハルだった。


 黒髪、黒目、童顔で常に無表情。

 ゲームではそうだったが、実際に会ってみるとそのイメージはガラッと変わる。


 こいつは俺の知っているラインハルではない。

 力を得て、富や名声を得て、その頂に達した権力者のような顔だ。


「手を出すなら俺にしろ。お前の狙いは俺なんだろ?」

「…」

「ここで正々堂々、俺と決闘しろ」

「なぜ?」


 どうしてそのような方向に話が進んだのか。

 疑問でしかなかったため、思わず素の声が漏れる。


 決闘って、一対一ならお前の方が不利だろ。

 今までだって、単独でロベリアに勝ったことなど一度もないのに、よくもそんな自信満々に提案できたな。


「俺の手で直々に、お前を断罪するためだ」

「その前に、話し合うという選択肢はなかったのか、愚か者」

「お前と俺とで何を話し合えって言うんだ!?」


 闘技場を震わせるほどの怒声が響き渡る。

 仲間が傷つけられたことで、考えることを放棄している。


「……俺はやっていないんだが」

「証拠はあるんだぞ! 言い逃れができると思っているのか!?」

「ゾルデアが暴走してな――」

「黙れ! 嘘を積み重ねるな!」


 今ので、さすがに俺もイラッときた。

 本気でこいつを半殺しにしてやろうかと思ったが、できないのが惜しい。


「お前の真の目的が何なのかは分からないが、ロベリア、俺はお前を許さない」


 本当に自分が正しいと疑わないからこその自信。

 悪い意味で、こいつは本当の主人公だな、ラインハルは。


 手枷が解かれ、魔導書を返される。

 どうやら本当に正々堂々と勝負したいらしい。


 徹底的に痛めつけてから真実を話してやりたいところだが、どうせラインハルが倒れれば団員たちの怒りを買うだけだ。

 ならば、俺のやることは最初から決まっている。


 魔導書を開き、全身に黒魔力を循環させる。

 対してラインハルは眩い光を放つ聖剣を構えた。


 英傑の騎士団ギルドマスター勇者ラインハルと、傲慢の魔術師ロベリアの戦いが始まった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ