4.村の守護神
「はぁ………」
「どうしたの?お兄ちゃん?」
「なんでもない。我が妹よ」
テンは朝からずっとため息を吐いている。
理由は深夜に送ったメールの返答だ。
『アップデート完了まで十年。今までの機能は問題なく使える』
直ぐに、とは言わないが数ヶ月以内には終わると思っていたアプデはかなりの長期間だった。
それまで考えていた予定を大きく変えてしまう事ゆえに、今も引きずっている。
「昨日は守り神様の唸り声はせんかったのう」
「そうじゃな。なんぞあったんかいの?」
村の老人達の話し声がテンたちの耳に届いた。
「お兄ちゃん、もりがみさまって?」
「知らぬ」
「そなの?」
「知らぬ」
嘘です。バリバリの関係者というより、犯人です!
〔唸り声とか出してない!〕
村の外周を音速超えで走り回ってたら変な音ぐらい出るでしょ。
〔………〕
貴方が夜中に走り回るようになってから、動物とか魔物は村から離れましたが、狩猟する人たちは大変でしょうね。
狩るために片道三時間の道のりらしいですよ。
〔村から三時間ならかなり近いだろ〕
もちろん、狩猟小屋からですよ?
村からかなり離れてるのに、今じゃ動物が居なくて小屋をもっと深くに建て直そうとか会議されているらしいですね!
〔………〕
おやおや~?
守り神さま~?どうされました~?
村の為とか言って、本当は化け物ステータスに悦に入りたくて力自慢みたく、無作為に走って遊んでる守り神さま~?
「お兄ちゃん?おめめ赤い赤いしてるよ?ぽんぽん痛いの?」
「だ、大丈夫…だ。なんでも、ない!」
そう言ったテンは、涙が溢れないように遠い遠い空を見上げながら歩いていく。
〔いつか絶対に後悔させてやる〕
………心優しいテンは小さな事など、気にしないのだ!
ぜっっっったいに!気にしないのだ!
〔あ゛ぁ゛?〕
くぁwせdrftgyふじこlp。