3.スキルのアップデート
虫の声が聞こえるほど静かな深夜。
それは、唐突に来た。
【こんばんわ。アップデートの準備が出来たので、欲しい機能を1つだけ書いて転送してください】
「………、物理的なメールが来た」
テンの手元には光輝く手紙がある。
寝ている顔にこの手紙が届き、眩しくて目覚めてしまった。
不信に思いながら読んだのだ。
「書く欄があるから、ここに書けばいいのはわかるが、ペン無いんだが?」
不満を呟くと、万年筆(カートリッジ式)が目の前に現れた。
テンは欲しい機能を1つだけ書いた。
手紙はテンが書き終えた瞬間に消え、万年筆も消えてしまった。
この化け物は何を願ったのか………。
〔化け物、やめろ〕
はっはっはっ。
乾燥した木を等分に輪切り・薪に丁度いい大きさに分割。
それらを全て、手でやった人を化け物と呼ばずになんとお呼びすればいいので?
〔………〕
それで、化け物さん。
何をお願いしたのですか?
〔お金以外も取り出せるようにしてもらった〕
なんでお金は取り出せたんですか?
〔俺のスキルはスマホゲームを参考に作られた。発光体に俺が遊んでた工場の放置系ゲームをさせて、いろんな知識を注ぎ込んでたら発光体と一ヶ月は生活してた。その間に課金とかステータス強化とかも教えたから、スキルに対して課金出来るようにされてた。勿論、今のこの異常な身体能力もステータス強化の影響。発光体的には課金出来て、ステータスに影響も与えれるからお金も引き出せるようにしただけ〕
何故、お金以外は取り出せなかったんですか?
〔ゲームのアイテムはゲームだけでの物だろ?取り出せる方が変〕
お金とステータスはいいんですか………。
〔そこは無いと困るから通した〕
・・・・・。
「ま、これで。もっと好き勝手に出来る」
これが将来、世界に恐怖と混乱を撒き散らす魔王誕生の瞬間だった。
〔勝手に魔王にしないで?〕
支配とかするんでしょ?
〔いや?天空城とか作って「人がアリのようだ」って言いたいだけ。ゴーレムとか造れば管理出来るだろ〕
バ○ス!
〔壊そうとするな!〕
しかし、そんな都合よく作れますか?
浮遊する動力とかどうするんですか?
〔衛星とかステーションってさ、常に落ち続けてるらしいんだわ〕
まぁ、そうですね。
軌道の高さで惑星との位置関係が常に同じに静止させたり、数日後に同じ場所を通過させたりと複数の軌道があります。
公転と自転をしている地球から衛星が外れないのは重力で落ち続けて付かず離れずの状態になるように精密な計算をされているからです。
まさか、それをするつもりで?
〔この間、スキルで量子コンピュータの量産に成功したんだよ。後は、スキルで高性能AIを作れればそいつに任せてしまえば、俺は材料を揃えるだけでよくなる。完璧な計画だ〕
駄目そうな計画にしか思えない。
というか、剣と魔法のファンタジーで科学ごりごりの天空城ですか。
〔正に、SF〕
Science Fiction?
〔すーぱー ふぁんたじー〕
ファンタジー要素も入れてくださいよ?