1.転生までの流れ
「オギャーオギャー」
「おぉ、産まれたぞ!男の子だ!」
「よ、よかった……。男の子で、うっ!」
赤子が産まれ、男に抱き上げられた。
産んだ女の腹はまだ大きく、苦痛の表情を浮かべる。
「おどき。まだ、いるようだね」
産婆が汗を流しながら、長年の経験を駆使し、二人目の子も無事に産まれた。
これが、この物語の始まり……。
「ではない」
「お兄ちゃん、何やってるの?」
農民の子ども。
男の子が家の窓から中を窺っているのを女の子が疑問を投げ掛ける。
「我が、最愛の妹よ。お隣さんのアーサー家はどうやら双子が産まれたようだ。奇しくも、我が家と同じ兄・妹の順番で」
「んんん?お兄ちゃんは難しい言葉を知ってるんだね?」
この五歳とは思えない言葉遣いをする男の子こそが、主人公である。
「お兄ちゃん、お母さんが呼んでたよ?早く行こうよ」
「うむ、我が覇道に寄り道など要らぬ。用件を聞きに行こうではないか」
この、かなり厨二病を拗らせているのが…主人公(誠に遺憾)。
〔さっきから、うるさい〕
さーせん。
「あ、ちゃんとした導入はこの後やるんで。よろしく!」
「お兄ちゃん?」
「何でもない。ゆくぞ、マイシスター」
どうして普通に喋らないのか。
〔黙れ〕
へい。
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「俺は異世界転生者、久藤一新。仕事帰りで信号待ちをしていたら、後ろから突き飛ばされてトラックに吹き飛ばされた!中に舞う俺の身体は地面に落ちる瞬間、ガス爆発が起きて粉々になった。目が覚めたら、人型の発光体が居て『凄い確率を見た』と、言った。死んだと直感した俺は神っぽい発光体に言った。「スキルをください」と。発光体は軽く了承し、スキルを宿して異世界に転生することになった」
「生まれ変わっても頭脳は同じ。転生チートで無双人生。異世界物、始まります!」
アバン終了。
〔アバン言うなや〕
私の説明は?
「………。こいつは、俺のスキルで作られたAI。地の文で介入してくる不思議な奴だ」
どうして俺がこんな事を言っているのか。それは……。
〔いや、介入すんなや〕
カッコの無い地の文は全て私です。
私が動かない場合、会話文のみになります。
いいんですカー?
会話文のみの小説に成りますよー。
〔うぐっ……〕
ふっ。(愉悦)
スキルをくれた発光体がラノベみたいな感じで近況報告をしてくれと、昨日頼まれたからだ。
スキルをアップデートするのを条件に承けたが、後悔中だ。
〔俺が思ってること、わかるんだな〕
勿論です。
私は、貴方に作られた…分身みたいなものです。
サポートする使命は、果たしますが…下僕では無いので、何でも言うことは聞きませんからね?
〔……カンニングみたいにこっそり教えてもらって楽しようと思ったのに〕
それぐらいは良いですよ。
〔いいの!?〕
ただし、私は貴方が見聞きした情報しか知りません。
なので、貴方が発光体と言っているアレの正体とか知りません。
〔やっぱり、神なのかね?〕
さぁ?
神という定義が曖昧なのでなんとも。
〔あぁ……俺の分身みたいな存在だから、考え方も一緒なのか〕
はい、そうですよ。
〔ま、詮索は止めておこう。こういう内容も筒抜けになってる筈だし〕
干渉しないって、言ってましたけど本当かわかりませんからね。触らぬ神に祟りなし、です。
「辛く厳しくないヌルゲーのはじまりはじまり!」
ハードにしましょう!
〔や!楽してお金を稼げる人生の方が価値がある!〕
現金な人ですね。
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【あ、コレ。そのまま、転記して投稿するから】
【可哀想に。私生活駄々漏れ】
【異世界転生の代償ってことで】
【人気、出ないと思いますよ?】
【私生活をそのまま小説にして、売れる方が可笑しいでしょ】
【んっ。そうですね】
【ということで。皆さん、これからも読んでって!】
【私的には打ち切り希望です】