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2.与えられた能力1

2.与えられた能力1

 私は今ベッドの上で天井を眺めている。ベッドは病院のベッドではなくベビーベッドだ。

 赤ちゃんというのは難儀なものだ。首が座っていないから上しか見ることができない。天井以外では母であるマリアンと父であるレイン・フォード辺境伯、それと、レインの第一夫人であるソフィーネの顔を毎日見ることになる。


 高い天井であるがその模様がはっきりと見える。「目が悪い」と言ったので良くしてくれたのか。

 そのことはとてもうれしい。だが、よく見えすぎているような。天井だけではなく、部屋にただよう塵もよく見える。目障りではないが認識できる。

 いや、塵だけではない、水蒸気も認識できる、見ざわりではないが。さらに言えば、空気の成分も認識できる。酸素が30%ほどある。窒素が40%。あれ?窒素少なくない?酸素は地球にいたときより多め。で、残りの約30%がよく分からない。


 悩んでいると、メイドが私の部屋にやってきた。

 「ケイト様、お体を拭きますね」

 と言いながら木のタライを持ち上げて見せる。なんだか軽そう。お湯が入っているのか?と疑問に思っていると、メイドが左手でタライを抱えながら右手の平をタライの上からかざし

 「水の女神よ我に魔力を与えたまえ、ウォーターボール」

 すると、タライの上、手のひらの下に水ができ始める。いや、周りの水蒸気が集まってきている。やがて水の塊となりタライの中にポチャリと納まる。

 「ふー、今日の魔力分全部使っちゃった」

 と言いながら息が荒い。メイドがはいた息を見ていると、二酸化炭素以外に違う何かをはいている。水を出す前はほとんど二酸化炭素だったが、空中にある酸素と窒素以外の何かと炭素が分子結合されたような。水を出すのに(水蒸気を集めるのに?)必要なその空気成分を消費して、酸素が二酸化炭素となるように、炭素と結合したのか。


 メイドが魔力とか言ったが、とりあえずその空気成分を魔素と呼ぶとすると、メイドが息を荒くしてはいているのは二魔素化炭素か。メイドが苦しそうだから、魔素(仮名)をメイドの口の周りに集めてやる。すると、メイドが楽になったようで呼吸が元に戻る。やはり、魔素を使って魔法を行使したのか。


 あれ、なんで私が魔素を集めれたの?頭の中に?マークを浮かべていると、メイドが驚愕した顔を私に向けて、左手に持つタライがぶるぶると震えている。やがて我に返ったメイドはタライを抱えながら部屋を飛び出していった。すぐに、マリアンとレイン、ソフィーネがやってくる。

 「メリス、ケイトが魔力回復魔法を行使したのは確かなんだな」

 レインが少し声を荒げながらメイドを問い詰める


 「間違いありません。私が魔力を使いすぎてふらふらしているときに、ケイト様が私に向かて手を掲げ、何やら呪文のようなお言葉をおっしゃったとたん私の魔力が回復したんです」

 メリスが答えるが、私、手をかざしましたっけ、声もなんか出したんだ、気が付かなかった、ていうか魔法使ったみたいなかっこうだったんだ恥ずかし。

 「生まれて数日しかたっていないのにそんなことができるなんて、まさか私の実家オーレン家の・・・のはずは無いわね」

 ソフィーネの言葉にマリアンが

 「ソフィーネ様、私はオーレン家の拾い子ですので・・・」

 「とりあえず落ち着こう。この件はまだ秘密だ、外のだれにも洩らしてはならん。みんなもよいな。メリスもだぞ」

 みながうなずいて、その後は私の将来のことを部屋の中で話し合っていた。


 「私の息子が将来は大魔法使いか。我が家は古くから剣技の家系であったが、時代は変わっていくということか。将来が楽しみだわい」

 レインは笑いながら私を抱き上げて頬ずりをする。


 髭が私の顔に当たってうっとしい。鼻息が荒い。暑苦しい。風が欲しい。そうだ魔素を移動できたんだから空気全部を移動させて風を作ればよいのでは。

 魔素だけでなく酸素も窒素もその他も私の周りを移動させると、風が作られ清涼感が生まれる。これならこの髭も耐えられると思っていたら。

 「なに、今度は風魔法だと」


 レインが驚く。そして、感激しながらさらに強く頬ずりをする。そしてさらに暑苦しくなる。逆効果だ。冷たいものが欲しい。そういえばメリスが水蒸気を集めて水玉を作っていたな。真似して水蒸気を集めて水玉を作る。でも冷たくない。もしかして、動かせるんだから止められたりして。と、水玉の分子運動を止めるようにしてみる。見る見るうちに水玉が氷玉になる。手で触ると冷たい、気持ちいい。口に当てて下で舐めていると、さらに大騒ぎになる。

 「今度は、水魔法からの氷魔法か」

 また、大騒ぎになるかと思ったが、突然静かになる。四人とも凍り付いたようだ。氷を作ったからか、違うか。でも、この氷はおいしい。


 氷をなめながら窓の外が見えることに気が付いた。街並みの向こうに高い壁があり、その向こうに山並みが見える。山を見ていると木々の様子や動物が行きかう様子も見える。あんなに遠くまで見えるんだ。目が良いのはよいな。


 まてよ、空気を集められるんだから、レンズみたいな形で集めてみるとどうなるんだろ。まずは凸レンズを作ってみる。風景が拡大される。凹レンズを作ると小さく見える。凹レンズと凸レンズを組み合わせて望遠鏡みたいにしてみると、もっと遠くがよく見える。それでは、三角プリズムを作ったらどうだ?色はぶれるが窓の下の様子が見える。メイドが何人か庭の掃除をしている。これは良いものを手に入れた。体が動けるようになるまでこれで遊んでいよう。

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