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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百合短編

深夜、彼女に、おこった話

作者: 転生新語

他サイトでの企画で、777字ジャストの百合短編を書いてみました。

彼女「あれは三月三日の夜だったわ、その日は今年と同じく金曜日でね。確か五年前だったかな、私と貴女(あなた)が付き合う以前(いぜん)の話ね」


私「…………うん」


彼女「その日は今みたいに、深夜の時間帯でね。私は犬の散歩をしていたのよ。で、犬が寒そうに(ふる)えてて言うの。『ご主人さま、()ずかしいです……』って」


私「え、犬が?」


彼女「それで私が犬に、『コートを一枚、()せてあげてるでしょう? 文句を言うと、その一枚だけの服を()がせちゃうわよ?』って、そう言ったのね」


私「……ん、()かりたくないけど()かったわ」


彼女「犬は()ずかしそうだったけど、首輪の(ひも)を私が持ってるからね。そのまま散歩を続けてたのよ。すると(おどろ)くべき事が起こったの、犬と私の前に現れたのが──」


私「ストップ。話の途中で悪いけど、(みっ)つ、貴女に指摘(してき)したい事があるわ。まず、(ひと)()。五年じゃなくて、六年前じゃないかしら。三月三日が金曜日なのは今年と、(ちょっ)(きん)では二〇一七年だから」


彼女「え?……言われれば、そうかもね」


私「そして(ふた)()。私と貴女が付き合い始めたのは、七年前からなのよ。(おぼ)えてる?」


彼女「ああ……そうだっけ? いいじゃない、(こま)かい事は」


私「へー、(こま)かい事ねぇ。貴女、最初に言ってたわよね。『五年前だったかな、私と貴女が付き合う以前の話ね』って。正確には七年前から付き合ってるのよ、私達。五年と七年じゃ大違(おおちが)いじゃない?」


彼女「いや、ほら。私の恋人は貴女だけど、ペットは別の(あつか)いだから」


私「深夜にコート一枚を羽織(はお)らせて散歩するペットでしょ! そして(みっ)()! 三月三日が何の日か(おぼ)えてる?」


彼女「……ひな(まつ)りでしょ? (ほか)にはゴミの収集日?」


私「私の誕生日よ! 貴女って人は、いつも大切な事を忘れて! 私を放置(ほうち)して、深夜にペットの散歩!?」


彼女「いや、今は深夜だから。あんまり大声(おおごえ)は出さないで()()こうね」




 これが深夜、私が彼女に、(おこ)った話。

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