アイビーの報告書1
ある疑問が浮かんだ。
それは「時空間の捉え方は間違えているのではないか?」だ。
時空――まあ、時間で良いか。
時間は過去から現在、そして未来に流れる。
これが、古来の考え方だ。
専門用語では「時空連続体」と言う。
時空が連続している。普通に生きているならそう感じているだろう。
しかし、時として未来から過去に流れるケースをオレは知った。話すと長くなるので、ある思考実験をしよう。
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例えば、完全なる予言者が「善を象徴する女と悪を象徴する男が戦い、そして多くの犠牲を生む」という予言をしたとしよう。
この予言を男に知らせたとする。男は涙流して、改心した。改心した事で、男と女は仲良くなり犠牲者を生まなかった。
こう聞くと、ハッピーエンドに見えるだろう。
しかし、問題が一つ残っている。
完全なる予言はどうなるのか?
絶対に外れない予言が外れた事になる。
そうすると、どうなるか。
改変された未来の情報が過去に流れる事となる。そして、過去が改変される事により、改変される筈の未来に影響が起きる。
その繰り返しで、未来が思わぬ方向へ進む。つまり、世界は――。
おっと、話が脱線したな。
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この様に、未来改変で時空が別時空に影響する事から「時空連鎖体」とオレは呼んでいる。
時空連鎖体を研究する事により、この世界の秘密が明らかになるだろう。
そして、ポインセチアノート問題も――。
カルミアへ
読まずにこの書類は破棄してくれ。
頼むよ。
まあ、破棄しないんだろうな。知っているよ
アイビーより