繰り返す
あの事故いや事件……
私は涙が止まらなくなりました!
俺は人生を繰り返している。
繰り返すこと4回だ!
1度目は蝉だ、何年も地中にいて出て来ると7日間であったが……意外と充実していた。
2度目は犬であり、15年は人間に飼われこれも充実した毎日を過ごした。
3度目は人間だ。
しかし、人間の人生は充実には程遠く死んだあとは……怨みしかのこらなかった。
それでは、人間だった頃の話しをしよう!
俺の名前は駿太、2歳!
今日は母と買い物に行くため、俺はベビーカーに乗っている。
父はサラリーマンであり、母は専業主婦であった。
俺は待望の子供で、父方、母方の両家にとっても初孫として誕生した。
その日は天気も良く、近くのスーパーで買い物をし家路へと向かってた。
母は俺に愛情を注ぎ、いろいろと遊んでくれた。
公園とかで良く遊んでくれたのが、かくれんぼである。
かくれんぼと言っても2歳児相手であるため軽く隠れる程度であったが、なぜか俺はキャッキャと笑って機嫌良くなってしまうのだった。
「駿太、どーこだ…!」と言いながら、ベビーカーの後ろに隠れ、俺がキョロキョロしている姿が愛おしいと感じている母がいた。
だが、その幸せも一瞬だった!
母はベビーカーを押し、交差点で信号待ちをしていた。
その瞬間、母と俺は宙を舞った!
ガシャーンという激しい音と共に。
俺はベビーカーごと車に跳ねられて地面に叩きつけられ、30m離れた所に母も倒れていた。
ブレーキとアクセルを踏み違えた車が、猛スピードで突っ込んできたのだ!
俺はその場で息を引きとった。
運転していたのは、足の悪い杖を付いた高齢男性であった。
その事故は、死傷者十数名を出した大惨事であった!
母は何とか一命を取り止めたが、重症で自力で歩けなくなっていた。
そして、父や親族は悲しみのどん底に突き落とされたのだ。
それに拍車をかけたのが、加害者の高齢男性がブレーキを踏んでも止まらなかったと、車の不具合だと主張し続けていたからだ。
それが、5年以上続いている。
俺の人間での人生は、わずか2年で終えてしまった。
怨みだけをのこしてーー
そして、4度目はカラスだ。
大空に羽ばたき、そして下降する。
北からやって来た車の行手を阻む様に、フロントガラスに向かって大きく翼を広げた!
車は、ハンドルを右に切り勢いよく崖から転落をし大破した。
「これでも、車の不具合と主張するのか!」
車を運転していたのはあの高齢男性である。
俺には分かっていた。
あの高齢男性がパニックになるとブレーキとアクセルを踏み違う事を!
だが、それだけでは怨みは消えず、崖に落ちた車に落ち葉や木々を仲間と大量に運んだ。
俺の大好きだった母との「かくれんぼ」のように……
「どーこだ!」と、聞いても返答は永遠に無いと思うのだが!
そして、俺は大空に飛びたった!
………おわり
ありがとうございました。