エピソード9
「異国からの人間のくせにふしだらよ!最低ね!」レノさんの罵声が医務室全体に響く。
「レノ、落ち着け。落ち着くんだ」紺髪の男性がレノを諭す。
そして、レノさんはこう言った。
「本当は貧血なんかじゃないんでしょ」
「演技にしても下手すぎるわ!公爵様に色目を使うなんて、本当に情けない……。私の判断が見誤ったわ。」
それに対し、オズは「貧血は演技じゃない。何故なら、血液と魔力を飲ませたらみるみるうちに元気になったから。見ていた私が証明する」と言った。
「おい!オズウェル公爵。嬢ちゃんの前でそういう事言ったらマズいんじゃ……」と茶髪の青年は言った。
(オズウェル公爵?血を飲ませた?)心の中で私はそう思った。
「あの、私は血を飲んだのですか?」
「なんでもない」オズは平静を装う。
どうやら、貧血の処置というのが獣の血液とオズの魔力を注いだというものだった。あまりにもエグい内容なのでここは伏せておこう。
「オズさん……オズさんの言ってる事柄を私は信じるわ。でも、なんで……」そう言うレノの目からは大量の雫が零れた。
何でレノさんがオズさんを好いているのかは分からなかった。でも、彼女なりに抱えているものがあるのだと私はそう思うことにした。
レノさんは紺髪の男性に連れられ、この部屋を後にした。もう一緒に冒険や探索といった旅は出来ないだろうと思った。