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エピソード17


 オズさんはイギリス風の街並みのレンガの大きな建物の裏で何やらティーカップを持って何かを飲んでいる。


紅茶かコーヒーだろうか。


「お、木林さん、下僕お疲れ様。よく頑張ったな。褒めてやる」


「ありがとうございます。こんな素敵な冒険に行けて楽しかったです」


「いえいえ。礼など必要ない。任務をしただけだから。成長できたようで何よりだ」


オズは謙虚な態度を見せた。


「下僕って言い方酷すぎません?」


カインが横からツッコむ。

それに対し、オズは無視した。


「それで戦いの結果はどうだった?」


「僕がめちゃくちゃ頑張りましたー!」


オズは森子のLvに着目した。


「木林さんのLvが少ししか上がっていないようだが」


確かによく見てみるとLv27から34にしか上がっていない。


「僕一人で倒しちゃったからかな……」


「な、なんだって!?」


モンスターの近い位置を歩いてるだけで確かに経験値は上がる。だが、敵を倒したり戦わないと大きな経験値は得ない。


「おい、お前ふざけるな。何の為に冒険に行かせたと思ってる、木林さんを強くさせる為だぞ。下手したら皇帝様に叱られる案件だ」


「まさか持ってった癒物と合体魔法とか使ってないだろうな。木林さんを守る為に使うならいいんだ」 


オズの予測は的中していた。


「戦闘不能になりそうなので使っちゃいました、魔法。木林様じゃなくて、僕の為に」


「それはチートじゃねぇか!!お前が戦っても意味がない!」


(オズさんもこんな言葉遣いするんだ)と私は思った。


爵がある人は実にしがらみや象徴でもあるのでこうあらないといけないとかの性格の型決め、ルール等が厳しい。自由な所は本当に自由にしている。陰で表では見せない本性を見せることが多い。


「森子ちゃん、火に弱そうだったから」


「それは私が教えてなかったのも非がある。それは謝ろう、免除する。でも次はないからな」


「はい」とカインは言った。


「それでこいつに何か言われたり、変なことされたりしなかったか?」


「えっと」


(しー)カインは口に人差し指を当てている。


「何か言われてた気はしますが、変な事はされてません」


「濁さなくていいよ。正直な事言っていいからね」


オズは何か言われてたという言葉を聞き、カインの頭を手でコツンとした。


「あの、ほっぺにキスをされました。あとセクハラ発言もしばしば」


「やっぱり。駄犬は女に手を出す常習犯なんだ。すまない」


(猫です)という声も微か、首根っこを掴まれている。悲声が聞こえる。


「やめてあげて下さい」


森子が言うからやめてやった。


「森子ちゃんに婚願しただけだもん!何で僕は結婚できないのー」


「知るか」


「じゃあ、断られたから不束ふつつか者ですが、オズウェル公爵、この僕と結婚して!」


「は?何言ってるんだ?前も言ったが癒物と人は結婚できない」


もう癒物という領域も性別の領域も貴族の領域も超えている。勿論、同性婚は認められてない。それは人同士でも。


「アイリンはどうした?お似合いだと思うが」


「あの子は魅力的だけど、もてあそばれてるっていうか可愛さが無いんだよね」


「誰とでも良いという割には我儘わがままだな」


そうしてカインは癒物控え室に仕舞われた。


(おいぃぃーやめてぇー)


何か聞こえるが聞かない事にしよう。


「人の癒物も収納できるんですね」


「ああ。YキーとSHIFTキーの同時押しでできる」


「そうなんですね」


(無視しないでよ。不要な知識教えないであげて)カインは冷や汗をかいている。


「お前はいいから黙ってろ」


(うわぁーん)


オズはそう言い、紅茶を一口飲んだ。私とオズさんはベンチで二人で座っていた。後ろから誰かが来る気配がした。







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