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もうひとつの昔話(パロディ)

わらしべ長者(もうひとつの昔話 39)

作者: keikato
掲載日:2020/02/19

 今夜はお城で舞踏会。

 町の娘たちはおしゃれをし、はなやかなドレスをまとってお城に向かいました。

 シンデレラの姉さん二人も、せいいっぱいのおしゃれをして出かけていきました。


――わたしも舞踏会に行きたいな。

 シンデレラの目に涙。

 でも、ドレスがないので行かれません。

 そんなとき。

 妖精のおばあさんがあらわれました。

「きれいにしてあげるから、おまえもお城に行っておどっておいで」

 おばあさんが魔法のツエをひとふりします。

 するとなんと、カボチャは馬車に、ネズミは馬に変わりました。

「でも、こんな服じゃ……」

 シンデレラは灰まみれの服と靴を見ました。

「それもきれいにしてあげるよ」

 おばあさんがツエをふります。

 灰だらけの服はステキなドレスに、すりへった靴はきれいなガラスの靴になりました。

「さあ、早くお行き。魔法のききめは十二時までだからね」

「ありがとう、おばあさん」

 カボチャの馬車に乗って、シンデレラは王子様のいるお城へと向かいました。


 舞踏会が始まります。

 シンデレラの美しさに目をうばわれた、王子様。すぐにおどりを申しこみました。

「はい、よろこんで」

 シンデレラは王子様とおどりました。

 夢のような時間はまたたくまに過ぎてゆき、やがて十二時を告げる鐘が鳴り始めます。

――たいへん、魔法がとけちゃう!

 シンデレラはあわてて舞踏会場を飛び出しました。

 靴がぬげましたがかまっちゃいられません。

 鐘が鳴り終わりました。

 すると馬車はカボチャに、馬はネズミに、そしてシンデレラはもとの灰まみれ。


 家に帰ったシンデレラは、イスにどたりと座りこみました。

「もう、おなかペコペコよ」

「そんなにおどったのかい」

 おばあさんがあきれた顔をします。

「だって、楽しかったんだもの。ねえ、なにか食べるものはないかしら?」

「しかたのない子だねえ」

 おばあさんがツエをふりますと、カボチャはパンプキンパイに、ネズミはステーキになりました。

「なんて、おいしいのかしら」

 シンデレラはパンプキンパイとステーキをすっかりたいらげました。

 それからのシンデレラ。

 朝、昼、夜と、かかさずパンプキンパイとネズミのステーキを食べ続けました。


 ひと月後。

 シンデレラのもとへ、王子様がガラスの靴を持ってやってきました。

 その王子様。

――ここにはいないな。

 シンデレラをチラッと見ただけで、すぐに帰っていきました。

 悲しい目をして王子を見送る、むっちり太った足のシンデレラでした。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 拝読しました。 良いお話でした。ラストはちょっと不思議な感覚ですね。自分解釈では、またここからドラマが始まるのです。(^。^) > 作家になりたいと思ってる方。  いつか作家になれると…
[一言] 一本のわらから呼び込むたくさんの幸せ。 でもいちばんの幸せをよびこむ理由は、若者に執着心がないということかな。 最後のオチ。あららという感じでしたか、まだ希望を持てる終わり方でしたね。 最…
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