宇宙の図書館長 1
「大丈夫です。
我々の生命は全て、
データに過ぎません。
あなたが感じている罪の意識でさえ、
生命の共鳴が生み出すデータです。
果てしない数列と配合によって計算し、
割り出せるもの。
それらは、
仕組まれた生命の設定
ともいえましょう。」
「なぜそう言い切れる・・?」
「…僕は、天文学と占星術の
使い手ですから。」
「ふんっ…」
「カノさん 行きましょう。
みんな 帰りを待ってますから。」
「俺を待っている場所なんざ、
生まれた時から この世にはねぇ。」
♪
相変わらずカノは意固地ですねぇ~
♪
わたしのダンスでもお披露目して、
心休めていただきまっしょ~う♪
♪
ふんふんふふ~ん♪
わたしは、
おもむろにカノの前に現れて
鼻歌交じりに
華麗なステップを踏みましたよ~♪
「くっ。・・ナニソレ、目障りだ。」
♪
ふっふ~~ん♪
♪
「はぁ…。ほっといてくれよ。」
♪
「カーーノーーー♪
さみしんぼの顔をしたくなったら、
踊るのですよー♪
おこりんぼの顔をしたくなったら、
歌うのですよー♪
うれしんぼの顔になったら、
あなたはもうひとりじゃなぁーい♪
さあカノじぃよぉ~、
君の音を 聴かせておくれ~♪」
「・・・・・」
♪
「先生、御無沙汰しております。」
この 深々と首を垂れる、
清楚で礼儀正しい青年は
わたしの可愛い可愛い教え子くん♪
「おっと。トッモエくーん♪
最近踊ってるー?
堅いよ、堅いよ、表情堅いよぉ~♪」
♪
「は、はい。
最近はレッスンを受けに来られず
申し訳ご・・わぁぁ!」
トモエ君が全て言い切る前に、
わたしは彼の身体を踊らせましたよ~♪
うーん。
筋がいいなぁ♪
「ちょっ・・
ちょっと、先っせ・・い?!
や、や、やめ‥
ていただけ・・ま・、わぁぁぁぁ」
踊らされているトモエ君に、
わたしは踊りながら
彼に話しかけるので~す♪
「さあ、これは天文学と占星術で
割り出せるような設定ですか〜?♪」
「あーーーわわわ!!!
い、いえ!こ・・これは、ああぁ
僕には到底ぃぃぃ!!?」
うんうん♪
筋がいいなぁ♪
パチンッ!
「はぁ、はぁ、はぁ・・。」
トモエ君は息を切らして
大汗をかいていますね~
良しとしましょっ♪
「先生・・・
久しぶりにレッスンをしていただき
ありがとうございました。
はぁ、はぁ・・。」
♪
「・・・ちっ」
カノはふてくされて、舌打ちですか?
困った老人ですね~♪
♪
「ところで、どうしましたか~?♪」
「ついでみたいに聞くな。」
カノのイライラっとした空気に、
トモエ君が気を利かせたのか
わたしに説明をし始めましたよ~♪
「カノさんは、
あの星の命を滅したと言いました。
星の気温を操り、
表層温度を
宇宙の限界値-270℃越えまで
一気に引き下げ、
その後 一気に核融合を活性化させ
星の中心核の温度を
100億℃に引き上げました。
星はたちまち耐えられず、
超新星爆発をした・・と。
…これは罪を問われること。
で、ですが!
何か理由があったのかも
知れませんし、
一概に罪に問うことは……
…先生?」
♪
「んっふっふ~ん♪」
「・・呑気だな。」
♪
仕方がない老人ですねっ。
「トモエく〜ん、
羅針盤を出してくださぁ〜い」
トモエ君は
慌てた素振りを一瞬見せましたが
すぐに平常を取り戻していましたよ~♪
いいですねぇ~
もう少し
ポーカーフェイスの練習が
必要ですね~♪
シュワンッ・・
「こちらでいかがでしょうか?」
「はぁ~い、いいですよ~♪」
そしてわたしは、
トモエ君の羅針盤に向かって
いつも持ち歩いている
お気に入りのステッキで、
ちょんっと触れましたよ~♪
カッ、、!
・・・