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太陽の女神

皆さん、ごきげんよう。


私は


第7宇宙にあるソウラ王国の母


太陽の女神オスカよ。





ソウラ王国の中には、


全宇宙の情報が集約される


約束の場所


『トワイライトガーデン』


と呼ばれる 幻の庭園があってね、



私はその庭園の主を任されているの。



宇宙中から仲間たちが訪れる、



賑やかな庭園よ。








ここに住む花の妖精たちは、



愛の星"地球"の竜島からやってきていて



その島の季節を通し


1年の長さと


繊細で豊かな情緒を


宇宙中に共有しているわ。






代々受け継がれる生命の種は、


風に揺られて漂い


いつしか大地と出会い


そこに根を張る。





彼らが育つ姿を


私はそっと見守っているの。










飛んできた種は、


可愛い芽を出して


うららかな春の訪れを


知らせてくれる。





芽が小さくてね、


毎年 見つけ出すのが大変なの。


でも代々継がれた大切な絆!


ここで命のバトンを


絶やすわけにはいかないわ!


生命の赤ちゃんは繊細だから、


ちゃんと目をかけてあげないとね。


春は大忙しなのよ。









やがて


雨が多く降る頃になると、


スクスク大きくなって


ぷっくりとした蕾を付ける。


まもなく


季節が移り変わることを


知らせてくれるわ。





この瞬間って、


何度見ても感動するの。





やっとここまで育ったのね!


って。



あともう少しよ!


って。



生命の力強い姿に、



私は勇気をもらっているわ。









雷がひとしきり轟き


空に大きな虹がかかると、


ついに


私が特別まぶしい季節、夏よ!!





花が開き、


妖精たちは無邪気な笑顔で咲き誇る。


私も思わずつられて


笑顔いっぱいになってしまうわ。





昆虫たちに蜜を分け与え、


優しい香りで安らぎを届け、


愛らしい笑顔を振りまくの。





小さな頃から見守ってきた


生命の喜びは 全て、


私にとっても最高の幸福!





ありがとう


ありがとう


そんな気持ちが自然と溢れてくるわ。






生まれてきてくれて


本当にありがとう!


って。



生きていてくれて


本当にありがとう!


って。


毎日がとても華やぐ季節。


私は夏が大好きよ。











花の妖精たちは


命の限りを 惜しむことはしない。



葉の色を 赤や茶に染めて


美しく枯れ始める。


これが、秋の知らせ。





次の世代に託す 子の命、


種を生成すると


それらは昆虫や 風に連れられて


ここではないどこかへ向かう。





一心に 未来を祈るのよ。





私はこんなに心がキュッとするのに、


当の本人は


あっけらかん として


凛とした笑顔…





真っ直ぐに


命の全てを果たす健気な姿は、


とても崇高でかっこいいわ。











葉を落とし 茎を枯らし


ついに彼らは根を絶やす。


そして、


嬉々として


大地と一つになっていく…





命の果てとともに


冬の訪れを知らせるのよ。





こんなに切ない事はないわ。


何度見送っても


涙でいっぱいになるの。





また逢えるって、


わかっているのにね。



また逢いましょうねって、


約束するのにね。





どうしてかしら…





同じ姿ではもう逢えないから?


それとも


ずっと 成長を見守ってきたから?


ただそれだけ?


…違う。


そんなんじゃないの。








私はいつまで経っても


彼らのように 強くなれないな・・





いつか私も


命を終える最期に、


あんなに綺麗な笑顔で


その時を迎えられるのかしら?











そんなことを考えていたら、


どうしても


生命すべてを


愛おしく 尊く感じてしまうの。





こんなの私の勝手な想いよ?





でもね。


彼らの笑顔を守りたいの!





だから私は


太陽の女神らしく


笑顔の輝きを


決して絶やすことはしない。


彼らのためなら、


どんなときも笑ってみせる!


一人になんてさせないわ。


・・いいえ、


一人にさせるもんですか!





なんて…


弱くて寂しがりで臆病な自分自身を


叱咤して奮起しているわ。











ねぇ?


あなたも 寂しくなったら


思い出して。


私はいつだって


あなたを見守っている。


あなたのために私が居るの。





私は、生命を遍く照らす光よ。





あなたは安心して


生きることに専念したらいいの。





大丈夫、


その先に必ず 私はいるわ。

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