そして、きれいな寝息で眠る
1 ね、姫?
忘れがちだけど人って人に
好かれるために努力しているんだ
願いを叶えるために。
好かれることを放棄する
気楽な人もなかにはいるけど、ね、姫?
2 生き埋め姫、推参
助けてと
魂切る声で 叫んだの
遠い風景 夢の中だけ
人形の
ようだといわれた こともない
信じず 愛さず やって来たけど
好きだった
わけなく惨めな気持ちのときも
自分を好きでいられたあの頃
泣き出すし
ひとりで生きていくための
いちばん綺麗な こころが欲しくて
ああ だから
助けて欲しいとのぞんだの
お願いですから あたしに言葉を
嘘みたい
こんなになるまで 弱かった?
星の見方も しってた はずよね
星ひとつ
見えない絶望 知らないふりして
はしゃいで はしゃぎきり 明日は信じた
ひとりでも
生きていけると誇った日
生き埋められても 歯をむき 笑った
3 そして、きれいな寝息で
生まれ育ったあの街から離れ
この無駄に騒がしい、白い都会で過ごす
いまこのとき
何人の女が、どこで、どれほど、泣いているのだろう
どんな目にあって。
そしてどんな目にあったとしても
そんなに簡単に
思いどおりにはなりはしないから
思いどおりにしようとも、願えなかった。
願えないまま、風吹くたそがれに遠い目が乾く。
あしたが来ない夜を
すごしたこと、おあり?
私はあります 決して明けない
だから、夜を、生きるのです。
だからですよ。
だから、人に好かれるかどうかは問題じゃあ、ない
ほんとうに、やりたいかどうか──ですよ
ですよ、ね?
こころに闇なき気楽な姫よ、どうか
あなたがどうか、汚されてしまいませんように
いつも
綺麗な寝息で 、眠れますように。