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万色のパレット  作者: 秀一
四周目 冷酷少女パレット
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第91話 希望と絶望と

 それから数カ月、パレットは紫色部隊を訓練した。

 

 訓練は相変わらず厳しかったが、ハーフエルフたちはよく耐えた。元々苦労しているし、ここから逃げて行くところもないからだ。

 

 それにハーフエルフたちは、まともに教育を受けていなかったが、パレットはしっかりと教えた。文字はもちろん、文学や数学、科学や社会など。

 そう言ったものを学べば、様々な事に役に立つ。ハーフエルフたちは希望を取り戻し、週末にはカヤの街で遊ぶほどになった。

 

「ねえねえ。コーヒー飲みに行こうよ!」

「いくいく~♪」

 そんな感じでカフェを楽しむ感じにもなってきた少女達。少年たちも食べ歩きやスポーツを楽しむようになってきた。

 

「みんな余裕が出てきたみたいだね」

 アマリアは言った。

「良い事だよ。希望が無いほど悲しいことは無いからね」

 クリスはそう言った。

「お前らだって遊んで来れば良いじゃん」

 タバサはそう言った。

「私は別に……。クリスは?」

 アマリアは聞いた。

「たまにあいつらと遊びに行くこともあるけどね。そんな言うほど嫌われても居ないしな」

 クリスはそう言った。

 

 カヤの街の人たちはそれほどハーフエルフを差別しているわけでもないようだ。もちろんそういう人も居るが、物を売らなかったり店に入れないなんて人は少数だ。金払いも抜群に良いのであまり気にしていない人が多い。むしろ結構歓迎されているようだ。

 

 その時、ハンナが酒場に飛び込んできた。

「お前たち、パレット様を知らないか?」

 ハンナは言った。

「ん? 知らんけど。お前と一緒じゃなかったの?」

 タバサは言った。

「緊急事態だ。アルカディアがカヤ城に呼んでいる。すぐさまパレット様を呼ばなければ」

 ハンナはそう言って、駆けて行った。

 

 タバサたちは城へと戻った。城の広場に、部隊が集結しつつある。

「赤色1番隊、集結しました」

「紫色4番隊、準備完了しています」

「うん……」

 部隊を集め、アルカディアがつぶやいた。

 

「アルカディア様、ここはもはや行動すべきでは」

 ハーフエルフの一人が言った。

「いやいや。パレットもいないのに何も出来んだろう」

 アルカディアはそう言った。

 

「一体どうしたんだ?」

 タバサがやってきて、聞いた。

「何かドラゴンが出たらしいぞ。アイジールが危険だ」

 アルカディアは言った。

「マジかよ。冗談じゃないな」

 驚くタバサ。

「ドラゴン!?」「ドラゴンですか!?」

 驚くクリス、アマリア。

 

「ドラゴンの大きさは?」

 アルカディアは聞いた。

「通常クラスだ。大したことは無い」

 アルカディアは言った。

「へえ、色は?」

 クリスが聞いた。

「赤だ」

 アルカディアが答えた。

「うはあ! レッドドラゴンじゃん!」

 テンションが上がるクリス。

「クリス、喜んでる場合じゃないと思うんだけど……」

 苦笑するアマリア。

 

 その時、ハーフエルフたちを連れてパレットが戻ってきた。

「すまない、遅くなった。状況を知らせよ」

 パレットは言った。

「レッドドラゴンです。アイジールが危険です」

 アルカディアは言った。

「すぐさま出撃しよう。全軍で行く」

 パレットは言った。

 

 この部隊は、すぐさま即応できるように日々訓練されている。パレットとハーフエルフたちが街で遊んでいたのでちょっと遅れを取ったが、出撃した。

 

 パレット達は行軍を開始した。急ぎはしない。長い旅になる。目標はアイジール。

 カヤからアイジールまでは50kmほどはある。もっとも、普段の訓練でもその距離を目指しており、アイジールまで訓練で行くこともあるから、慣れた道ではある。

 

 中間点の川に差し掛かった。その時、矢が飛んできた。

「!?」

 パレットが気付いた。ハーフエルフたちも気付く。

「うああ!」

 赤色の一人が矢に撃たれ、倒れた。ぞろぞろと汚い身なりの連中が出てきた。

 

「おとなしくしろ! 金目の物を出せ!」

 どうやら、盗賊団のようだ。見えているだけでも数人、数は居そうだ。

 

「なめられたものだ。殲滅しろ!」

 叫ぶパレット。

「了解!」「了解!」「了解!」

 すぐさま銃を構え、放つ兵士たち。

 ダダダダダダキューン!

「ぐわあああああ!」「ぎゃあああああ!」「何だあああああ!?」

 凄まじい銃撃を浴び、次々と血を噴き出して倒れる盗賊たち。

 

『敵感知』

 パレットは能力を使った。

 

 やはり相当な敵がいる。とはいえ、あと7人程か。

 

「この程度の兵力でとはな。損害は出したくないし、殺すか」

 パレットは森の中へと入る。

 

『隠密』

 パレットは能力を使い、隠れた。魔剣を抜く。

 ズシャア! と斬りつけ、隠れていた盗賊を仕留めた。

 

「ぐああああああ!」

 叫び、倒れる盗賊。

 

 一人、また一人とパレットは殺していく。容赦はない。

 

「ひいい! 何なんだ!?」

 混乱する盗賊たち。その首を刎ねるパレット。

 

「ま、待ってくれ! 俺が悪かっ」

 その言葉が終わる前に、パレットはそれを仕留めた。

 

 盗賊は死んでいき、残ったのは少年の盗賊のみ。恐怖で震えている。

 

「お前も殺すが、何か言い残すことでも?」

 パレットは言った。

「ま、待ってよ! 僕には、妹が……」

「関係ないね」

 多分嘘だろうな、とか思ってパレットはその少年も首を刎ね、殺した。

 


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