第89話 ハーフエルフ ハンナ
ハーフエルフ。人間とエルフの子。
その中間に居るこの種族は、エルフからも人間からも差別され、排除される存在だった。
いつしか彼らは団結し、カヤの西方、エルフィアの東方にある中間点、通称「見捨てられた土地」に集まるようになった。
その別に肥沃でも何でもない土地で、細々と暮らしていたのだ。
しかしそんな生活に満足できないものたちも居た。そういう連中は、カヤの街のスラム街に飛び込み、ありとあらゆる犯罪行為に手を染め、生きていた。
それ故、ハーフエルフは更に迫害された。悪循環だ。
その悪循環は終わることなく。彼らは今や呪われた存在として、タブーにすらなっていた。
そして、見捨てられた土地。
そこにパレットたちは足を踏み入れた。
ビシュン! と矢が飛んできた。パレットの前に矢が突き刺さった。
威嚇だろうか。
「すいません、ハーフエルフとお話をしたいのですが」
パレットは言った。
すると一人が出てきた。弓矢を構えている。
髪を結い、活動的そうな褐色のハーフエルフ。殺意を持って睨む。
「ハッ、お話? お断りだね。人間なんて私は信じない」
少女はそう言った。
「お金をあげると言っても?」
パレットは聞いた。
「いくらだい?」
少女は聞いた。
「いくらでもあげますよ」
パレットは言った。
「面白いねえ。じゃあ金貨100枚頂戴な」
少女は言った。
「そんな無茶な……」
クリスは言った。
「あたしはできもしないことを言う奴は大嫌いなんだよ!」
少女はそう言った。
『金貨作成』
パレットは能力を使った。
ジャラジャラジャラ、と金貨が湧きだす。流石に少女も驚いた。
「どうぞ。あなたのものですよ」
パレットは言った。
「……」
少女は出てきて、その金貨を確かめる。噛んで傷をつけた。本物だ。
「何なんだあんたは?」
少女は聞いた。
「私はパレット。あなたは?」
パレットはそう聞いた。
「あたしはハンナさ。これだけあれば、楽に生きてけそうだねえ」
ハンナは言った。
「そうでしょう? でもちょっとお手伝いして欲しい事があるんですが」
パレットは言った。
「何だい?」
ハンナは聞く。
「ハーフエルフを部下にしたいんですよ。できるだけ多くね」
パレットはそう言った。
「あたしは色々悪い事もしてきた。しかし、仲間を売るようなことはできない」
ハンナは言った。
「これだけ払うと言っても?」
パレットは聞く。
「……」
ハンナは悩む。
「何も仲間を売れとは言いません。私はお金持ちでね。みんなを幸せにしてあげたいんですよ」
パレットは言った。
「面白いねえ。あんたは天使か何かか?」
ハンナは笑った。
「ただの転生者ですよ」
パレットは言った。
「転生者か……。変わり者が多いって聞いたことはあるな。よし。それじゃあハーフエルフを集めてやるよ。ただ質は期待するなよ? 後、一人でも傷つけたりしたらお前を殺すからな」
ハンナはそう言った。
「そんなことはしませんよ。まあ、それでいいですよ」
パレットは言った。
「わかった。んじゃちょっと待ってな」
ハンナはそう言って、村へと走って行った。




