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万色のパレット  作者: 秀一
四周目 冷酷少女パレット
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第89話 ハーフエルフ ハンナ

 ハーフエルフ。人間とエルフの子。

 その中間に居るこの種族は、エルフからも人間からも差別され、排除される存在だった。

 

 いつしか彼らは団結し、カヤの西方、エルフィアの東方にある中間点、通称「見捨てられた土地」に集まるようになった。

 

 その別に肥沃でも何でもない土地で、細々と暮らしていたのだ。

 

 しかしそんな生活に満足できないものたちも居た。そういう連中は、カヤの街のスラム街に飛び込み、ありとあらゆる犯罪行為に手を染め、生きていた。

 

 それ故、ハーフエルフは更に迫害された。悪循環だ。

 その悪循環は終わることなく。彼らは今や呪われた存在として、タブーにすらなっていた。

 

 そして、見捨てられた土地。

 そこにパレットたちは足を踏み入れた。

 

 ビシュン! と矢が飛んできた。パレットの前に矢が突き刺さった。

 

 威嚇だろうか。

 

「すいません、ハーフエルフとお話をしたいのですが」

 パレットは言った。

 

 すると一人が出てきた。弓矢を構えている。

 髪を結い、活動的そうな褐色のハーフエルフ。殺意を持って睨む。

 

「ハッ、お話? お断りだね。人間なんて私は信じない」

 少女はそう言った。

 

「お金をあげると言っても?」

 パレットは聞いた。

「いくらだい?」

 少女は聞いた。

「いくらでもあげますよ」

 パレットは言った。

 

「面白いねえ。じゃあ金貨100枚頂戴な」

 少女は言った。

「そんな無茶な……」

 クリスは言った。

「あたしはできもしないことを言う奴は大嫌いなんだよ!」

 少女はそう言った。

 

『金貨作成』

 パレットは能力を使った。

 

 ジャラジャラジャラ、と金貨が湧きだす。流石に少女も驚いた。

 

「どうぞ。あなたのものですよ」

 パレットは言った。

「……」

 少女は出てきて、その金貨を確かめる。噛んで傷をつけた。本物だ。

 

「何なんだあんたは?」

 少女は聞いた。

「私はパレット。あなたは?」

 パレットはそう聞いた。

「あたしはハンナさ。これだけあれば、楽に生きてけそうだねえ」

 ハンナは言った。

 

「そうでしょう? でもちょっとお手伝いして欲しい事があるんですが」

 パレットは言った。

「何だい?」

 ハンナは聞く。

「ハーフエルフを部下にしたいんですよ。できるだけ多くね」

 パレットはそう言った。

 

「あたしは色々悪い事もしてきた。しかし、仲間を売るようなことはできない」

 ハンナは言った。

「これだけ払うと言っても?」

 パレットは聞く。

「……」

 ハンナは悩む。

 

「何も仲間を売れとは言いません。私はお金持ちでね。みんなを幸せにしてあげたいんですよ」

 パレットは言った。

「面白いねえ。あんたは天使か何かか?」

 ハンナは笑った。

「ただの転生者ですよ」

 パレットは言った。

 

「転生者か……。変わり者が多いって聞いたことはあるな。よし。それじゃあハーフエルフを集めてやるよ。ただ質は期待するなよ? 後、一人でも傷つけたりしたらお前を殺すからな」

 ハンナはそう言った。

「そんなことはしませんよ。まあ、それでいいですよ」

 パレットは言った。

「わかった。んじゃちょっと待ってな」

 ハンナはそう言って、村へと走って行った。

 


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