第8話 旅立ち
パレット達が居るのは、この世界の最南端、マーゼル王国。
パレットとドリューは、士官学校へと入り、兵士としての訓練を積むことになった。
「総員、中央広場に集結しろ!」
上官の命令が下された。
パレット、ドリューはすぐさま集結した。しかし遅れた者もいた。
「何をしてるか! 腕立て伏せをしろ!」
そんなことを言う上官。
仕方ないので腕立て伏せをやらされるパレット達。
「もういいぞ。パレット」
上官は言った。
「はい」
パレットは答えた。
「お前に特命がある。司令官室に直行せよ」
上官は言った。
「了解しました」
パレットは答えた。
すぐさま司令官室へと行くパレット。
門番に一礼し、中に入った。
「失礼いたします!」
パレットは言った。
「来たか。まあ座りたまえ」
司令官は言った。壮年の男性だ。
「失礼いたします」
パレットは座った。
「どうかね、パレット。ここの生活は」
司令官が言う。
「辛い事もありますが、充実しています」
パレットは、そう言った。
「うむ。ただ、ワシとしても君にあまり負担をかけるのもどうかと思ってな」
司令官は言った。
「お気になさらず」
パレットは言った。
「まあいずれにせよ、君には少し旅に出て欲しい」
司令官は言った。
「旅ですか?」
パレットは聞いた。
「名目としては、北部のべアール国の調査だ」
司令官は言った。
「なるほど。しかし、名目ですか?」
聞くパレット。
「本音としては、君にはもう少し色々と世界を見て欲しいと思ってな。こんな狭い国ではなく」
司令官は言った。
「ありがたいですが、よろしいので?」
そう聞くパレット。
「うむ。君もまだ若いじゃないか。したいことも色々あるだろう」
司令官は言った。
「まあ……」
パレットとしても、それはそうかもしれない、と思った。
「ドリュー君にはワシから伝えておく。荷物はそこに置いた。行きたまえ」
司令官は言った。
「命令とあらば。ありがとうございます、司令官」
パレットは言った。
「うむ。気を付けてな」
司令官は言った。