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万色のパレット  作者: 秀一
四周目 冷酷少女パレット
88/99

第85話 川下りの少年 クリス

 3人は森を抜け、平原に入った。

 

 カヤの平原は多くが人間の農地になっている。農家も多く、のどかだ。

 

「ちょっとそこの旅の人~♪」

 そんな風に話しかける男の子。軽装だ。船を操る櫂を持っている。

 

「どうかしましたか?」

 パレットは答えた。

「今から船で河口のカヤまで行くんだけどさ。乗ってかない?」

 男の子は言った。

 

「良いんじゃないか?」

 タバサは言った。

「川下りですね。料金は?」

 アマリアは聞いた。

「本来は銀貨三枚だけど、二枚で良いよ。どう?」

 男の子は聞く。

 

「んじゃお願いしますよ」

 パレットは銀貨二枚を払った。

「ありがと! じゃ、行こうか」

 三人と男の子を船に乗せ、船は下り始めた。

 

 川の流れはそれ程ではない。故に、船ものんびりと下っていく。

 

「三人は家族とか? 友達?」

 男の子は聞いて来た。

「んー、友達かな。ま、そんな感じだよね」

 タバサは言った。

「そうですね」「そうですね」

 パレット・アマリアも同意した。

 

「へえ、良いね。僕も旅に出たいものだよ」

 少年は言った。

「そうなんですか? ちなみにこの川下りは仕事で?」

 パレットは聞いた。

「まあね。材木を運んだりすることが多いけどね」

 男の子は言った。

 

 舟はのんびりと下っていく。割と暇だ。

 

「ふわあ……。暇ですね」

 暇すぎて眠そうなアマリア。

 

「良かったら、旅の話でもしてくださいよ」

 男のは言った。

「良いですよ」

 パレットは言った。

 

 パレットは話しはじめた。魔法学校の話。病気の母親(そういえば、そんなの居たなあと思いだした)。ゴブリンやマンティコアとの戦い。先ほどのヴァンパイアとの戦いとか。

 

 男の子は目を輝かせ、聞き入っていた。

「すげえ! そんなことが! 凄いじゃん!」

 超感動する男の子。

「あはは、それ全部本当の話なの? 盛ってない?」

 そう聞くタバサ。

「嘘は言ってないよ。まあ、前世のものもあるけどね」

 パレットはそう言った。

 

「すげえなあ。やっぱりさ、俺も連れて行ってくれよ!」

 男の子は言った。

「いやいや、親とか居るんじゃないの?」

 パレットは聞いた。

「いないよ。親は居ないんだ、俺」

 男の子は暗い表情になった。

 

「そうなんだ。それならいいんじゃ?」

 アマリアは言った。

「そうだね。一緒に行こうよ。名前は?」

 タバサは聞いた。

「クリストフ。クリスって呼ばれることが多いね。女の子みたいだけどさ」

 クリストフは言った。

「クリスか。良い名前じゃん。じゃ、そう呼ぶよ」

 パレットは言った。

「そう呼ばれるのは嫌なんだけどなあ。まあ、パレットに呼ばれるのは良いけどさ」

 クリスはそう言って、笑った。

 


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