第85話 川下りの少年 クリス
3人は森を抜け、平原に入った。
カヤの平原は多くが人間の農地になっている。農家も多く、のどかだ。
「ちょっとそこの旅の人~♪」
そんな風に話しかける男の子。軽装だ。船を操る櫂を持っている。
「どうかしましたか?」
パレットは答えた。
「今から船で河口のカヤまで行くんだけどさ。乗ってかない?」
男の子は言った。
「良いんじゃないか?」
タバサは言った。
「川下りですね。料金は?」
アマリアは聞いた。
「本来は銀貨三枚だけど、二枚で良いよ。どう?」
男の子は聞く。
「んじゃお願いしますよ」
パレットは銀貨二枚を払った。
「ありがと! じゃ、行こうか」
三人と男の子を船に乗せ、船は下り始めた。
川の流れはそれ程ではない。故に、船ものんびりと下っていく。
「三人は家族とか? 友達?」
男の子は聞いて来た。
「んー、友達かな。ま、そんな感じだよね」
タバサは言った。
「そうですね」「そうですね」
パレット・アマリアも同意した。
「へえ、良いね。僕も旅に出たいものだよ」
少年は言った。
「そうなんですか? ちなみにこの川下りは仕事で?」
パレットは聞いた。
「まあね。材木を運んだりすることが多いけどね」
男の子は言った。
舟はのんびりと下っていく。割と暇だ。
「ふわあ……。暇ですね」
暇すぎて眠そうなアマリア。
「良かったら、旅の話でもしてくださいよ」
男のは言った。
「良いですよ」
パレットは言った。
パレットは話しはじめた。魔法学校の話。病気の母親(そういえば、そんなの居たなあと思いだした)。ゴブリンやマンティコアとの戦い。先ほどのヴァンパイアとの戦いとか。
男の子は目を輝かせ、聞き入っていた。
「すげえ! そんなことが! 凄いじゃん!」
超感動する男の子。
「あはは、それ全部本当の話なの? 盛ってない?」
そう聞くタバサ。
「嘘は言ってないよ。まあ、前世のものもあるけどね」
パレットはそう言った。
「すげえなあ。やっぱりさ、俺も連れて行ってくれよ!」
男の子は言った。
「いやいや、親とか居るんじゃないの?」
パレットは聞いた。
「いないよ。親は居ないんだ、俺」
男の子は暗い表情になった。
「そうなんだ。それならいいんじゃ?」
アマリアは言った。
「そうだね。一緒に行こうよ。名前は?」
タバサは聞いた。
「クリストフ。クリスって呼ばれることが多いね。女の子みたいだけどさ」
クリストフは言った。
「クリスか。良い名前じゃん。じゃ、そう呼ぶよ」
パレットは言った。
「そう呼ばれるのは嫌なんだけどなあ。まあ、パレットに呼ばれるのは良いけどさ」
クリスはそう言って、笑った。




