第72話 王命 不可侵条約
パレットはそれからも訓練を重ね、部隊の練度を上げていった。
兵士たちも、様々な戦術が取れるようになった。匍匐前進はもちろん、個別での戦いや集中攻撃、ゲリラ戦もこなせるようになった。
1ヵ月ほどたったころ、パレットたちは王に呼び出された。
フェドとエレオノーラはすっかり部下になっている。待遇に満足しているようだ。
「良く来たな、パレット」
王は言った。
「もちろんです。お呼びとあらば」
パレットは言った。
「お前の訓練は見事だ。この軍があればどんなことでもできるだろう。それ故心苦しいが、お前に重要な任務を与えたい」
王はそう言った。
「と、言いますと?」
パレットは聞いた。
「シーベルエンダだ。かの国に行き、不可侵条約を結んできてほしいのだ」
王はそう言った。
「不可侵ですか? しかしジェルメーヌ様がこの国に攻めてくることは考え難いかと」
エステルはそう言った。同じセラの王族だ。
「いや、それがそうでもない。私は以前、西のクリスタ教団を滅ぼし、虐殺したことがあるからな。どうも恨みを買っているようなのだ」
王は言った。
「まあそりゃ買いますよね。何故そんなことを?」
グラシアが聞いた。
「連中は盗賊団とも繋がっていたしな。殺すしかなかったのだ」
王は言った。
「そういうことなら、私が行かざるを得ませんね。欲を言えば、我々に協力して欲しいものですが」
パレットは言った。
「難しいだろうな。あいつは頭が固いからな」
王はそう言った。
「確かに、正義感の強い方ですからね。ボリッドメントに協力するとは思えませんね」
エステルは言った。
「それでは、すぐさま出立しましょう」
パレットは言った。
「護衛は要らんか?」
王は聞いた。
「不要です。あ、でもエステルさんとグラシアさんは来ますよね?」
パレットは言った。
「もちろん」「当然だ」
二人は言った。
「そうか。なら安心だな。まあ、気を付けてくれ。物騒だからな」
王はそう言った。
「了解です。必ずや、使命を果たしてまいります」
パレットは言った。




