第62話 エステルの旅立ち
「それじゃあ、決闘はこれで終わりよ。解散!」
宣言するエステル。
しかし一部の兵士は残った。
「ん、どうしたの?」
エステルは聞く。
「いや、姫様。大丈夫なのですか? この少女、魔王の手先か何かでは」
兵士は不安がる。
「んなわけないでしょ。それなら私もう死んでるわよ」
エステルは言った。
「まあ、それはそうかもしれませんが……」
やはり警戒する兵士たち。
「警戒されるのは当然ですが、信頼して貰わないといけませんね」
パレットは言った。
「んー、どうすればいいかな? まあぶっちゃけ私も完全に信頼してるわけじゃないけどね」
エステルは言った。
「そもそもパレットさんは何をしにここに?」
兵士は聞いた。
「危険を知らせるためでもあるし、できればエステルさんを連れていきたいんだけど」
パレットは言った。
「そりゃ無理じゃないですかねえ。姫様ですし……」
兵士はそう言った。
「父上とも話してみるわよ。それでいいでしょ?」
エステルは言った。
「まあ、王が賛成されるならば私から何も言う事はありませんが」
兵士はそう言った。
エステルとパレット、そして兵士たちは玉座へと向かった。
王もいつもそこにいるわけではない。しかし、しばらくするとやって来た。
「ふむ、苦しゅうない。それで、パレットとか言ったか?」
王は聞いた。
「はい」
パレットは答えた。
「何か用があるなら、ちゃんと正門から来てほしいものだが……」
王は言った。
「申し訳ございません。それでは、エステル様に会えるとは思えませんでしたので」
パレットは言った。
「まあ、そりゃそうじゃのう。それで、エステルを連れていきたいと?」
王は聞いた。
「はい。魔王に対するには、世界中の力を集めねばなりません。そうでなければ早晩、この国は滅びてしまいます。あと数年もすれば、ゴーレムが跋扈する廃墟となるでしょう」
パレットは言った。
「父上。この者は女神に愛されし転生者。その言葉、真実かと思います」
エステルは言った。
「ううむ。事態はそこまで切迫していたか……。まあ、我が娘の蒔いた種。エステルがそれを刈り取れるならば道理かもしれぬが、しかし……」
王は悩む。
「エステルよ、パヴリナをお前が殺すのか?」
王は聞いた。
「……」
無言になるエステル。
「王よ、魔王は私が倒します」
パレットは言った。
「そうか……。そうかもしれんな」
王はそう言った。
「わかった。お主に任せようか」
王は言った。
「よろしいので?」
エステルは聞いた。
「お前ももう子供じゃないしな。自分の道は自分で決めよ」
王はそう言った。
「わかりました。必ずや、使命を果たしてまいります」
エステルは言った。




