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万色のパレット  作者: 秀一
二周目 家出少女パレット
55/99

第54話 魔王パヴリナ

「私の妹は、本当に良い子でした……」

 エステルは語り始めた。

 

 エステルの妹の名前はパヴリナ。明るく元気、美しく、誰とでも仲良くなる。

 絵に描いたようなお姫様。誰もが彼女を愛し、そして彼女もまた、全ての人を愛した。

 

 ある時パヴリナは恋をした。相手はセラの騎士。二人は愛し合った。

 

 しかしパヴリナは湖の国へと政略結婚に出された。二人は別れざるを得なかった。

 

 ……そして。

 

 もう誰も、彼女を愛してはくれなかった。湖の国の政治状況は複雑で、彼女は邪魔者として扱われた。拷問もされた。

 

 不遇の日々。そこから抜け出すこともできなかった。

 彼女は絶望した。

 

 彼女には特技があった。薬の作成。そして、毒の作成。

 

 自殺するため、たくさんの毒を作った。そして彼女は思った。この毒で殺そうと。自分を痛めつける人たちを、許せない人たちを殺してやろうと。

 

 そして彼女は実行した。

 

 みずからの夫を。そしてライバルたちを。

 一人ずつ確実に。目立たぬように。

 

 たくさんの人が死に、パヴリナは湖の国の支配者となった。

 

 しかし彼女は満足しなかった。もっとたくさん殺したい。この世界を滅ぼしたい。

 

 その彼女の願いに応えるように、湖の国の北、エンドポイントには呪われし力があった。

 

 魔剣。

 

 その力を手にしたものは、世界を滅ぼす力を得る。

 

 そして彼女は手にした。

 

 決して手にしてはいけない力を。

 

 そして彼女は魔王となり、ゴーレムたちを率い、世界に宣戦布告したのだ。

 


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