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万色のパレット  作者: 秀一
二周目 家出少女パレット
53/99

第52話 ミングス城の陥落

「全軍、進撃せよ!」


 クイント王は、宣言した。王自らの出陣。

 兵力は500人程。セプテッタの出せる全力だ。

 

「遅れるなよ! 進撃!」

 ドワーフ王フェルナンドが続く。ドワーフの数は40。もちろん、精鋭だ。

 

 パレットやブラック達もそれに続く。

 

「凄い人数ですね」

 ターヴィはそう言った。

「そうだね。これなら勝てるでしょ」

 シオーネは言った。

 

「油断は禁物だよ。あのゴーレムの力は良く解らない」

 パレットはそう言った。

「パレット、お前はゴーレムと戦ったことがあるのか?」

 ブラックは聞く。

「前の周回でね。魔法が通じないんだよね」

 パレットは言った。

 

「魔法が通じないとなると、私達はあまり役に立てませんね」

 マリアはそう言った。

「まあ、ドワーフに任せようぜ。何とでもなるさ」

 コンラートはそう言った。

 

 砂煙を上げ、前進する軍団。そして。

 

 ミングスの城の旗が見えた。周りをゴーレムたちが囲む。

 金色に輝くゴーレムたち。

 

「あれか……」

 クイント王はそうつぶやいた。

「クイント王、油断なさらず」

 フェルナンド王は忠告する。

 

 クイント王は少し考えたが。

 

「戦場では流れも大事よ。ここまで我々は進撃してきた。ここは一気に仕掛けよう」

 クイント王は言った。

「ふむ」

 フェルナンド王は納得する。

 

「全軍突撃!」

 クイント王は命令を下した。

 

「うわああああああああああああああああ!」

 騎兵隊が突撃を開始した。ランスを構え、ゴーレムに一直線!

 

 ガシイ! と突撃が決まり、ゴーレムたちが損傷する。

 更に歩兵隊が格闘戦を仕掛ける。槍や剣を持って、ゴーレムたちを痛めつける。

 

 ……だが。

 

 ゴーレムたちはこちらを向くと、その巨大な腕で兵士たちを殴り始めた。

 バキイ!

「ぐあっ……」

 兵士が気絶する。

 

 バキイ! ズガア! ガスウ!

 そこいらじゅうで悲鳴が上がり、兵士たちは次々と倒れていく。

 

「ひいいっ」

 恐怖にかられ、逃げ出す兵士。恐慌が伝染し、退却し始める兵。

「ひるむな!」

 王は言うが。

 

 ドドドドド! とゴーレムたちが突撃してくる。その数、10程か。

 バキバキ! と兵士たちが吹き飛ばされ、踏みつぶされ、死んでいく。

 

「うわあああああ!」

 王は馬を返し、退却する。パレット達も続いた。

 

「だらしねえな」

 フェルナンド王はそう言って、斧を構える。ドワーフたちが続く。

 

「叩きのめせ!」

 ドワーフ王の命と共に、巨大な斧でゴーレムと戦うドワーフたち。

 

 バキ! ズガア!

 

 そこらじゅうで叩き合いとなった。一体のゴーレムが集中攻撃を受け、損傷が大きくなり、倒れた。

 

「仕留めたぞ!」

 ガルムが叫んだ。

 

「うおおおおおおおお!」

 ドワーフたちが歓声を上げた。それを聞いて、人間の兵士たちも己を取り戻す。

 

「ドワーフたちに負けるな! 突撃だ!」

 クイント王は叫んだ。

 その命に従い、兵士たちもゴーレムにぶつかっていく。

 

 恐るべき強さのゴーレム。だが、ドワーフも人間も、負けてはいない。

 激しい戦いで、一体、また一体と、ゴーレムを仕留めていく。

 

「厳しい戦いだが、絶望とまではいかなそうだな」

 ブラックは言った。

 

「良し。では、城に行ってまいりますよ」

 パレットはそう言った。

「わかった。気を付けろよ、パレット」

 ブラック王子は言った。

「ええ」

 パレットはそう言って、『飛行』の力を使った。

 

 空を飛ぶパレット。相変わらず激しい戦場で、兵士が死んでいく。

 

 そこから遠く離れた空の上へと舞い上がるパレット。戦場を飛び越え、城へと向かう。

 今のところ、パレットの邪魔をするものはいない。パレットはそのまま、城の中へと入った。

 

 パレットの辿り着いたのは、城の最も重要な部分。最後の砦。

 

 そこで一人の少女が祈りを捧げていた。甲冑で身を固めている。

 

「あなたは?」

 パレットは聞く。

「えっ」

 少女は驚いた。

 

 少女は警戒する。

「何者……。魔王の手下か?」

 少女は悲痛な声で言った。

 

「違いますよ。あなたはセラの王女様?」

 パレットは聞いた。

「……そうだ。お前は、何だ?」

 王女は聞く。

 

「救世主ですよ。あなたの名前は?」

 パレットは聞く。

「エステル」

 エステルは言った。

 

「良い名前ですね。私と共に行きましょう」

 パレットは手を差し出した。

「しかし、ここの人たちを見捨てて行くのは……」

 躊躇するエステル。

 

 ドーン! ドーン! と破壊音。

 悲鳴が、断末魔が上がる。

 

「もうあなたは誰も救えません。さあ、行きましょう」

 パレットはそう言った。

「嫌! もう見捨てるのは嫌なの!」

 エステルは泣いて、わめく。

 

「甘えるな! あなたが死ねば、希望は失われる!」

 パレットは叫ぶ。

「……! うう、うわあああ!」

 手を掴むエステル。

 

 パレットは飛んだ。エステルを抱いて。

 

 城が、崩れる。旗が落ちる。

 ミングス城は陥落し、藻屑と化していく。

 

「ああ、ああ、なんてこと……」

 悲しむエステル。

「行きましょう。きっとあなたにも、希望が待っていますよ」

 パレットはそう言った。

 


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