第18話 恋多きドワーフ
バランス部のメンバーは街へと繰り出した。
べアールの城下町は大きい。しかし、そんなに見るべきものがあるわけでもない。
「どこに行きます?」
聞くシオーネ。
「うーん、どこに行くべきかな……」
悩むターヴィ。
「とりあえず酒場に行きましょう」
そういうパレット。
「いやいや。酒場はちょっと。あなたたち子どもでしょ」
そういうシオーネ。
「でもそれぐらいしか人と会ったり食事できる場所無いでしょ」
パレットは言った。
「い、良いんですかね? まあ、街をほっつき歩くのも危険ですしね」
ターヴィは言った。
そうして、酒場に入る三人。すると。
「オラオラマスター! もっと酒持ってこい!」
大量のビールを飲みまくるドワーフがそこにいた。
「コンラートさん。それぐらいにしておいた方が良いんじゃないですかねえ」
マスターは言った。
「うるせえ! 飲まずにいられるかってんだ。まったく……」
そんなことを言うコンラート。
「どうかされたんですか?」
普通に話しかけるパレット。
「どうしたもこうしたもあるか! ドワーフだからって馬鹿にしやがって。もう女なんて金輪際要らねえからな!」
叫ぶコンラート。
「めんどくさいドワーフね。まあ、ドワーフ自体めんどくさいものだけど……」
そういうシオーネ。
「くそう……。うう……」
朦朧とするコンラート。
「すいませんねお客さんたち。まあお客さんとしては小さすぎる気もしますけど……」
そういうマスター。
「マスター、何か食べさせてくださいよ」
パレットは言った。
「まあ、金さえくれるなら構わねえけどさ。んじゃ、適当に鶏肉と海老の焼き物でも作ってやるよ」
マスターは言った。
しばらくすると、マスターが焼き物を配って行った。
食べるパレット達。香ばしい香り。ジューシーな肉と海老の味が口の中に広がる。
「おいしい!」
驚くシオーネ。
「本当においしいですね」
ターヴィは言った。
「ほらコンラートさん。あなたにも上げますよ」
マスターは言った。
「ん? ……いいのか?」
そういうコンラート。
「良いですよ。これ食って帰ってくださいよ」
そういうマスター。
「ああ、すまねえな……」
そう言って、食べるコンラート。
「美味いな。流石だな、マスター」
コンラートは満足した。
「どういたしまして」
マスターは言った。
「きっとまた、良い人に会えますよ」
パレットは言った。
「そうだな……。む、お嬢ちゃん」
コンラートは言った。
「何ですか?」
聞くパレット。
「可愛いな。俺と付き合ってくれ」
そんなことを言うコンラート。
「ふざけんな」
流石にキレるパレット。
「うわあ…… それはないわ……」
呆れるシオーネ。
「まあ、パレットさんは可愛いですからね」
ターヴィは言った。
「あ、言い忘れてたが、俺はコンラート。最強のドワーフさ。必ずお前を俺の物にして見せる!」
宣言するコンラート。
「マジで勘弁してください……」
関わらなければよかったと思うパレット。
「あはは、パレットちゃんも大変ですね。ちなみにコンラートさんは冒険者としては腕利きですよ」
マスターは言った。
「そうなんですか。どうでもいいですけどね……」
どうでも良さそうなパレット。