第17話 バランス部
それから、三年の月日が流れた。
パレットも6歳になった。その豊富な知識と絶大な魔力、多彩な魔術で、パレットは魔法学園のみならず、べアール帝国でも一目置かれる存在になっていた。
「こ、こんにちは! パレットちゃん!」
そんなパレットを気に入ったのが彼、ターヴィ。
パレットの3つ上の少年だ。パレットを一目見た時から気に入っていた。一目惚れだ。
「どうも、ターヴィ君。何か用?」
COOLに聞くパレット。
「きょ、今日もいい天気だね! なんて…… えへへ」
そんなことを言うターヴィ君。
「やあ、ターヴィ君にパレット」
話しかけてきたのはシオーネ。彼女はエルフだ。何歳だろう? しかし聞くわけにもいかないだろう。
「シオーネさんですか。如何なさいました?」
そう聞くパレット。
「別に用とかないけどさ。パレットは、何か部活とか入らないわけ?」
そう聞くシオーネ。
パレットは考える。部活?
「そんなものありましたっけ?」
パレットは聞いた。
「あるよ! 知らないの? 魔法学園には、魔法関連の部活があるんだよ」
シオーネは言った。
「僕は『大地魔法部』だけどね。パレットちゃんの精霊は?」
そう聞くターヴィ。
「私は全精霊使えるし。クラブとか必要ないね」
パレットは言った。
「天才少女様は違いますなあ。しかしそれなら、オリジナルのクラブでも作ってみたら? 何ならあたしが入ってやっても良いよ。私帰宅部だしさ」
割とぼっちなエルフ。
「ぼ、僕も、パレットちゃんのクラブなら入っても良いかなって」
ターヴィは言った。
「良いかもね。んじゃこう、『バランス部』みたいな感じで」
そういうパレット。
「ん? 何それ」
そう聞くシオーネ。
「いや、人生にはバランスが必要だと思うんだよね。何事も中道が一番だよ。やり過ぎずやらなすぎずね」
パレットは言った。
「いや、そうかもしれないけどさ。パレットちゃんって、割と人生を達観してるんだね」
ターヴィは言った。
「エルフだとそういう事言う奴も多いけどな。ま、あたしはそれでも良いよ。何するかよくわかんないけどさ」
シオーネは言った。
「んじゃ決定ね。それじゃ今日は、べアールで何か美味しいものでも食べに行こうか」
遊ぶ気満々のパレット。
「よし! 行こう!」
大賛成のシオーネ。
「やった! パレットちゃんとデートだ!」
楽しそうなターヴィ。
こうして、『バランス部』が誕生した。