第16話 読書
パレットは本を読む。
元々、読書は大好きだ。今回は魔術の本。興味深いし、その必要もある。
パレットは読む。
(精霊の本……)
この世界の精霊は8つ。風、森、炎、大地、水、氷、光、闇。
精霊の力を借りないと、魔法は使えない。ただし、例外として錬金術は使える。
まずは、魔術を徹底的に頭に叩き込んでいく。
重要な魔術は何か?
(加速魔法……)
自らの速度を上げる魔術。
(隠密魔法……)
隠れる魔法。
(そして、探索魔法か……)
見つける魔法。
(強化魔法もある。そして、召喚魔法……)
これらの魔術も重要だ。
(回復魔法か。これも重要だな)
回復魔術も多い。
パレットはひたすら魔術を覚えていく。そしてしばしばそれらを使い、確かめる。
何事も徹底してきっちり覚えるのがパレットのやり方だ。
「《風の精霊》よ……《アクセライト》」
ビュン! と加速するパレット。
そして一つ、また一つと、自分の物にしていく。
授業にも出ず、ひたすら魔術修行。独学だ。
そして三カ月が過ぎた頃には、パレットはほぼすべての魔術をマスターした。
更に、この世界の地理。
(大きいな、この世界。東には大きな島があるのか)
歴史。
(セラという国がかつて大きかったのか。しかしこの場所だと、早晩滅びてしまうな)
科学。
(錬金術も発達している。とはいえ、科学力には難があるか)
宗教。
(強力な宗教は無さそうだな。ありがたいことだ……)
そして、文化。
(音楽、詩文、絵画……。色々あるみたいだな)
料理。
(小麦粉主体みたいだけど、肉料理だけじゃなくて魚料理もあるみたいだ)
パレットはひたすら本を読み続けた……。