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万色のパレット  作者: 秀一
二周目 家出少女パレット
15/99

第14話 第二王子ブラック

 パレットはもちろん次の日、時間通りに魔法学園へと行った。

 

 そこには多くの生徒が並んでいた。パレットもそこに並ぶ。

 

 その時、耳の長い人が話しかけてきた。

 

「やあ、あなたも合格者だったわね。可愛い魔術師ちゃん」

 その女性はそう言った。

 彼女も信じ難いほどの美人だ。女神にも負けていない。黄金色の長髪と翠色の瞳が輝く。背も非常に高く、スタイル抜群だ。

 

「パレットと申します。あなたは?」

 聞くパレット。

「良い子ね。私はシオーネ。エルフよ」

 シオーネは言った。

 

「エルフですか。エルフを見るのは初めてです」

 パレットは言った。

「そうなの? まあそうかもね。最近は数も少なくなったしね」

 シオーネは言った。

 

「シオーネさんは、魔術に自信がおありで?」

 そう聞くパレット。

「まあね。剣術にも自信はあるわよ。もちろん弓矢もね。ていうか、あなたのほうが魔力の値が優れていた気もするんだけど」

 そういうシオーネ。

「まあそれだけが取り柄ですので。剣も弓矢もできませんよ、私」

 謙遜するパレット。

 

「へえ、気に入ったわ。仲良くしましょう? パレットちゃん」

 シオーネは言った。

「ぜひ、お願いしますよ、シオーネさん」

 パレットは言った。

 

「静粛に!」

 その時、兵士が叫んだ。

 一斉に視線が集まる。

 

「これより、第二王子ブラック様よりお言葉を頂く! 各自、粗相の無い様にせよ!」

 兵士は叫んだ。

 

 大勢の兵士に囲まれ、黒いマントを着た男がやってきた。

 まだ少年だろうか。あどけなさを残す。気品はあまり感じられないが、難しい顔をしている。

 

「やあ、諸君」

 王子はそう言った。

 

「我が国のため、ここに来てくれてありがとう。まあ、我が国のためでなくても良いけどな。とにかく、魔術を極める仲間が増えるのは嬉しい限りだ」

 王子は続ける。

「王子、そのような余計な事は……」

 たしなめる兵士。

「いいじゃん。黙ってろよ」

 そういう王子。

「はあ……」

 兵士は黙った。

 

「昨今の世界情勢は複雑だ。我が国も危機的状況にある。迅速に有能な魔術師を集めねばならぬ。……ところで、今回の検査で魔力値10000以上を出したものが居るとか」

 王子は聞いた。

「誰だ! 名乗り出よ!」

 叫ぶ兵士。

 

「私ですが」

 パレットは言った。

 

「お、お前か!? ずいぶんと小さいじゃないか」

 そういう王子。

「まあ、3歳ですからね」

 パレットは言った。

「3歳だと!? ははは、そりゃ凄いな」

 笑う王子。

 

「お嬢ちゃん。この人は偉い人なんだよ。もう少し敬意というものをだな……」

 兵士は言った。

「ああ、そんなのはどうでも良いよ。どうかなお嬢ちゃん。ちょっとお兄ちゃんとお話ししないか?」

 そういう王子。

「それは構いませんが……」

 パレットは言った。

「それじゃあ後でな」

 王子は言った。

 

「あー、とにかく、みんな一生懸命魔術の研鑽を積んでくれたまえ。じゃ、これで演説は終わりだ」

 王子はそう言った。

 


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