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万色のパレット  作者: 秀一
二周目 家出少女パレット
13/99

第12話 家出のパレット

 パレットは、また生を受けた。

 

 3歳になると、記憶が戻って来る。それと共に、戦略を組みなおす。

 

(まずは……。家出するか)


 そう決めるパレット。親には申し訳ないが、仕方ない。世界の危機みたいだし。大体、何で世界が危機に陥っているのかとかさっぱりわからない。何がどうなっているのか?

 

『衣服生成』


 パレットはまず、自身の服を生成した。チュニックにズボン、活動的な服装だ。親はそういう服をくれないから仕方ない。

 

『飛行』


 窓から空を飛んで飛び出す。自由自在、高速に飛び回る。あっという間に、空高くに舞い上がった。

 風が強い。吹き飛ばされそうだ。


「ふう」

 それでも、その風に相対し、それを逆用して飛ぶ。慣れてくれば問題ない。

 

 高速で空を飛ぶパレット。思い出の小学校が見える。よく行った、マーゼルの街並みも見える。

 

「こうして見ると、ここも故郷だよね」


 パレットはそう言った。

 

 北部へと飛ぶパレット。飛んでいると、モンスターに襲われることも無いようだ。鳥は飛んでいるが、強力なモンスターは飛んでいない。

 

 山岳地帯が見える。複雑だが、パレットはそこをよく覚えている。

 

「ラックだね」


 幸運の地、ラック。ドリューと過ごした地。

 そんな思い出を思い出しながら、更に北部へと飛んでいくパレット。

 

 見えるのはべアールの城塞。堀に囲まれ、複雑な櫓を持つ堅牢な城だ。

 べアール城についても知らないわけではない。パレットは一週目で、手続きやら何やらでこの城に来たこともあるからだ。

 

「さてと」

 パレットは目立たない場所に降り立った。そこから、べアールの城下町を目指す。

 

 城下町に入った。3歳の女の子は珍しいが、いないわけではない。べアールの街にはなんでもある。

 とりあえず酒場に入るパレット。

 

「いらっしゃい……、っておい。ずいぶんと可愛い客だな」

 マスターが言った。

「すいません。情報を買いたいのですが」

 パレットは言った。

 

「わけありか? あんまりそういうのは感心しねえなあ」

 マスターは言った。

 

『資金生成』

 

 パレットはこっそりと金貨や銀貨を生成した。

 

「魔法学園について教えて欲しいのですが」

 パレットは聞いた。

「うーん。まあ、隠すような事じゃねえけど。べアールの北にあるぞ。郊外だな。王子も噛んでるって噂だ」

 マスターは言った。

 

「入学するには?」

 聞くパレット。

「魔術の才能さえありゃオールオーケーだとよ。お嬢ちゃん、自信があるのかい? 何なら俺が口利いてやってもいいぜ」

 マスターが言った。

 

「そりゃありがたいですが……。いいので?」

 聞くパレット。

「流石にタダでとはいかねえが。いくら出せるんだ?」

 聞くマスター。

「とりあえず、これでどうでしょう」

 そう言って、銀貨3枚を出すパレット。

 

「おいおい。これじゃ多すぎだぞ。金持ちなのか? お嬢ちゃん」

 そう聞くマスター。

「まあ、気持ちという事で」

 そんなことを言うパレット。

「へえ。まあ太っ腹なのはいいけどね。んじゃ遠慮なく頂いておくぜ」

 マスターは言った。

 


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