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浄化

作者: 岩木田翔海
掲載日:2018/11/11

透き通った美しさ


私は海を前にしてそれを感じる。


世間一般には『海』といえば夏だけれども人々の集い騒ぎ立てる夏の海は私の性に合わない。もっと冬ような誰もいなくて、ただただ波打つ音だけが明瞭に聴こえる透き通った空間が私は美しく感じる。身も心も洗われるような透き通った音色。それに私は心を奪われた。

そして、この海が心を満たしてくれる。

何もかもを忘れてしまえる。

私を浄化してくれる気がする。


私は海に捕らわれた。

いっそ不純な自分に戻るのならば、このまま頭まで浸かってしまおうか。


やはり水は冷たかった。でもその冷たさが無性に心地よい。


そのまましばらく海をその深き方へと歩いていった。

心地よかった冷たさは、いつしか寒さに変わった。


生憎ここには私しかいない。

冬の海に入るなんて馬鹿なことをしていても笑い声一つ聞こえない。

きっとこのまま進んでも、誰にも咎められることはない。


きっと冬と言えば雪山で、それでも季節外れの海を好む私は、やはり世間と離れているのだと思う。言い換えるのならば異端児とも言えそうだが、この景色を前にできるならそう呼ばれても構わないとも思う。


そろそろ限界だ。


この億劫な人生も、体が震える寒さも。


このまま進むか、それとも戻るか。


不純に帰るべきか、純真を貫くべきか。


私は空を仰いで神の声を待った。

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