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冬の物語  作者: 柳 空
8/10

七頁目 「冬の終わり」

こんばんわ。

残すところ、今年もあとわずかとなりました。

みなさん、今年はどうでしたか?


楽しんで読んで頂けたら幸いです!

「それで、一体どうしてこんなに人が居るの?」

ようやく子供たちから開放された冬の女王様は、まだ遊んでいる子供たちを眺めながらウィリーに聞きました。

「簡単だよ。みんなに冬の良さを教えたからさ。」

ウィリーは話しました。

夏の女王様に言われて、冬には氷と雪という冬にしかないものがあると気づきました。

なら、その氷と雪を使って遊べば、きっとみんな冬の良さに気づいてくれる。

思い立ったウィリーは、早速雪ん子たちといっしょに街の子供たちを、雪遊びに誘いました。

「だけど、よく大人が外へ出る事を許したわね?どうやったの?」

ウィリーの話を聞いていた冬の女王様が、ウィリーに聞きました。

「それはね、」

ウィリーは話を続けました。

もちろん、大人たちは反対して、ウィリーを叱りました。

寒い冬の外へ出るなんて、と。

しかし、ウィリーは言いました。

冬は確かに寒いよ。でも、雪の中は、本当はあったかいんだよ、と。

その証拠に、雪ん子が作ったカマクラは、とても温かく、子供たちが入ったり、おしくら饅頭を教えてもらった子供たちは、笑いながらお互いを押し合って楽しそうでした。

しかし、大人たちはまだ言いました。

氷の上は危ないだろう。と。

ウィリーはスノーマンと顔を見合わせて笑いました。

その心配も、必要ないよ。と。

そう言って、ウィリーは凍っている地面に向かって飛びました。

「だ、大丈夫だったの!?」

冬の女王様は慌ててウィリーを見ました。

しかし、ウィリーはケロッとしていて、怪我の一つもしていないようでした。

「大丈夫さ。なんたって、スノーマンが居るからね。」

ウィリーの隣で、スノーマンが胸を張りました。

「任せてください。硬い氷の上に転んでも、私たち雪ん子なら、柔らかい雪をすぐに出せますから。怪我の心配はありませんよ。」

その言葉に、冬の女王様はホッと息を吐きました。

「よかったぁ。」

冬の女王様はそう言って、微笑みました。

その時、ウィリーと冬の女王様の前に、影ができました。

「冬の女王様。」

二人が顔を上げると、そこにはウィリーのお父さんや、お母さん、街の大人たちがいました。

「冬の女王様、申し訳ありませんでした。」

ウィリーのお父さんの言葉を合図に、大人たちは、みんな冬の女王様に向かって、頭を下げました。

「み、みなさん?」

それに困ったのは冬の女王様。

初めて声を掛けられた上に、いきなり謝られたため、訳が分からないのです。

しかし、大人たちは続けます。

「今まで、あなたの事を冷たい人だと、勝手に言ったり、子供たちにも、外へ出てはいけないなど、言っていました。ですが、今日、ウィリーに教えられました。」

顔を上げた大人たちは真剣な顔をしていました。

「人を、簡単にこんな人だと決めつけてはいけないと。どうか、こんなばかな私たちを許してはいただけませんか?」

そして、もう一度頭を下げました。

ようやく意味が分かった冬の女王様は慌てました。

「そんな、許すだなんて!私は、みんなと遊べるだけで充分です!どうか、顔を上げてください。私は、そんなこと、もう気にしていませんよ。」

その言葉に、大人たちは笑いました。

「本当だ。冬の女王様はお優しい方だったんだ!」

「ね、僕の言う通りだったでしょ。」

「そうだな、ウィリー。」

「えぇ、あなたの言う通りだったわ。」

ウィリーはお父さんとお母さんの言葉に、ニッコリと笑いました。

それから、冬の女王様に向き直りました。

「冬の女王様、もう一度、僕に謝らせてください。」

ウィリーは冬の女王様の手を握りました。

「僕は、あなたに酷い事を言ってしまいました。でも、本当は君が優しいことを知ってる。だって、優しくなかったら、こんなに雪ん子たちが、あなたの事を心配したりなんかしないもん。」

ウィリーは冬の女王様と目を合わせました。

「ごめんなさい。あなたを傷つけて、ごめんなさい。」

ウィリーの言葉に、冬の女王様も言いました。

「私の方も、ごめんなさい。心配をかけたわ。」

冬の女王様は少し迷ってから、ウィリーに聞きました。

「ねぇ、ウィリー。また来年も、こうやって遊んでくれる?」

「もちろん!」

ウィリーの言葉に、冬の女王様は思わずウィリーに抱きつきました。

「ありがとう、ウィリー!」


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