六頁目 「冬の遊び」
さて、こんばんわ。
そして、メリークリスマス。
皆さん、サンタさんが何故いないかご存知ですか?
それはですね、サンタさんは昔の人だから、とっくに亡くなられているからです。
なんて、どうでもいい話でした。
楽しんで読んで頂けたら幸いです!
冬の女王様は、氷で作ったおもちゃで、一人ぼっちで遊んでいました。
誰かと遊びたい。
あの日、明け方に外へ出たのも、誰か居ないかと、遊んでくれないかと思っていたからです。
でも、気が付いてもいたのです。
自分が街の人たちに嫌われている事に。
それを、否定して欲しかったのに、
ウィリーの一言が、冬の女王様の心を氷漬けにしてしまったのです。
本当は優しい冬の女王様。
本当は寂しがり屋の冬の女王様は、その日からずっと部屋に引きこもっていました。
「嫌いよ。みんな、大っ嫌い。」
ズキズキと痛む胸を抑えて、涙がこぼれそうになるたびに冬の女王様はそれを拭いました。
そんな事を、何回も繰り返したでしょうか。
クイクイと服を引っ張られる感覚に、冬の女王様は振り返りました。
そこには、追い出したはずのウィリーと、雪ん子のスノーマンが居ました。
「な、何しに来たのよ!」
冬の女王様は慌てておもちゃを背中に隠しました。
「ねぇ、冬の女王様。僕に、一度だけチャンスをちょうだい。」
そう言うと、ウィリーとスノーマンは冬の女王様の腕を引きました。
「や、やめて!私は外に出ないの!」
「いいから!」
自分の声をかき消すウィリーの声に、思わず冬の女王様は黙ってしまいました。
そのまま引っ張られるように外へ出た冬の女王様が見たのは、
「あ、女王様だ!」
「冬の女王様だ!」
「みんな!冬の女王様が季節の塔から出て来たよ!」
こんな場所に居ないはずの、子供たちでした。
「こらこら、そんなに一度にみんなで行くんじゃないぞ!」
その中には、チラホラと大人の姿も見えました。
「女王様!」
子供たちは、大人の止める声を気に止めることもなく、冬の女王様に駆け寄りました。
「女王様、遊ぼうよ!雪ん子たちがね、氷で滑り台作ってくれたんだ!」
「あとねあとね、みんなで雪合戦もやってみたい!」
子供たちは、冬の女王様の腕をウィリーに変わってどんどん引いていきます。
訳の分からない冬の女王様は、近くに寄ってきた女王様たちを見上げました。
「あら、ずいぶん間の抜けた顔ね。」
夏の女王様は、その困り顔を笑いました。
「仕方ないわよ。いきなりこんなにたくさんの人に囲まれたのだもの。」
と春の女王様が夏の女王様をたしなめます。
「冬の女王、今は素直に遊んでいらっしゃい。これが、ウィリーなりの謝り方なのです。」
「謝る。」
「女王様!こっち来て!」
冬の女王様がほかの女王様に何かを言う前に、子供たちが冬の女王様を連れて行ってしまいました。
それからしばらく、冬の女王様は子供たちといっしょに、初めて、楽しく遊んだのでした。